Computer Aided Engineering=CAEは、日本語で「解析・シミュレーション」と訳されることが多い。実物で起こる現象を数値モデルに置き換えてコンピュータで計算し、構造強度や流れ特性などを評価する。
大胆に分類すれば、解析・シミュレーションの目的は以下のふたつと定義できる。
電機・精密分野を代表に多くのメーカーは、製品の技術開発や問題解決のためのCAEに主眼を置き、前者の目的を重視してきた。これは、製品の特性から「手間を要するシミュレーションモデル作成」より、「実物試作品により、実物評価」をした方が早く製品を纏め上げられるからである。
それに対し自動車会社や部品メーカーは、後者の実現に注力し、デジタル試作、デジタル実験を志向して、実物に代わる評価技術としてのCAEを発展させてきた。どちらも、製品の特性に合わせた活用法であり価値ある活用法と言える。
自動車業界をはじめ、多くの製造業で「ソリッドCAD」が定着し、設計担当からCADモデルがリリースされるようになり、性能評価のための「解析モデル」を作りやすい環境になった。その結果、製品開発プロセスに組み込まれ、定常的に「解析による性能評価」が行われるようになり、飛躍的にCAE業務のボリウムが拡大しつつある。その意味で、まさにCAE活用が重要課題に格上げされ、2008年はCAE本格適用元年と呼べる年になりそうに感じる。
しかしながら、まだ現実にCAEを使いこなしているエンジニアは解析の専門家に限定させていることが多い。「CAEの理論の難しさ」「解析計算のクセをわかっていないと結果の判断を間違える」などのハードルが設計者をCAEから遠ざけている。
専門家によるCAEのルーチンワーク化に加えて、設計者が自身の設計行為の中でCAEを使いこなせるように、使いこなしの容易化など課題は多い。
2008年を「CAE本格適用元年」と自信を持って言える様にするために、デジタルコンテンツサービス部の解析グループメンバーが総力を上げて、取り組んで行きたい。お客様方と個々の具体的な課題に一緒に取り組み、一刻も早い実務定着と「設計者CAE」を実現したいと考えております。
CAD関係を担当するメンバーを含め、総力を挙げて皆様のお仕事を支援させていただく所存です。
本年もよろしくお願いいたします。
(取締役 デジタルコンテンツサービス部 部長 加藤 廣)
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