アドヴィックス様はブレーキペダルを踏む瞬間から車が停止するまでの全システムを提供するブレーキシステムサプライヤーで、世界中の自動車メーカーに先進的で高品質なブレーキシステムを供給されています。
本稿では、アドヴィックス様における生産準備業務のフロントローディングに向けた取り組みとして、弊社VRソフトのXphereを活用されている事例をご紹介します。
会社名 |
株式会社アドヴィックス |
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本社所在地 |
愛知県刈谷市昭和町2-1 |
設立 |
2001年7月3日 |
代表者 |
代表取締役社長 秋山 晃 |
資本金 |
122億円 |
売上高 |
連結 8,106億円 単独 4,484億円(2024年3月31日現在) |
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主な事業内容 |
自動車用ブレーキシステム及びコンポーネントの開発・生産・販売 |
WEB |
アドヴィックス様では、車の自動化・電動化に伴い、新規立ち上げラインの増加や構造が複雑化する一方、競争激化に対応するため、開発期間の短縮が必要と考えておられます。このような状況下で、生産設備の実機完成後に作業性・安全面などに対する指摘改善に多くの工数を費やしており、新規ラインの垂直立上げに苦慮されていました。
そこで、実機完成前にデジタル技術を活用し早期に課題を洗い出すことで、やり直し工数を削減する活動を始めました。「実機完成前に誰でも“活躍できるデジタル検証現場”づくりを“推し進め”る」をミッションに、工程整備前のフェーズでVR空間での体感による課題抽出精度向上のため、Xphereを導入いただきました。
仕様検討・作製プロセスにおいて、VRを用いてデータ確認、課題抽出、反映の短いサイクルを繰り返し行うことで、生産工程の全体最適化に繋げられました。実機を作製する前に、VR空間内にリアルスケールで確認することで、新人でも熟練者と近いレベルで課題抽出ができるようになりました。また、設計目線や製造目線といった各セクションからの視点の違いによる課題を可視化することでこれまで実機ができてから発覚していた課題も前段階で抽出できるようになりました。
このような効果を得るために、アドヴィックス様では「(D)泥臭く(X)クロスフィアを使い倒し仲間をつくる」のスローガンを掲げられ、様々な取り組みをされています。
例えば、必要な時にVRを利用できるように3Dモデルを提供する体制を作ったり、特別体験会を開いて効果の事例を紹介したり、関係者が集えるVRルームを作り若手が意見を言いやすく仲間を拡げることができるような工夫をされています。
ここからは、Xphereを利用した具体的事例についてご紹介します。
建屋を3Dで再現し、VR空間で課題を抽出された事例です。
設計段階で建屋の3DデータをVR上で確認することにより、動線を考慮した通路幅が確保されているか、周囲が見えやすいような窓が設定されているか、天井の配管や梁が設備搬入時に障害とならないかなど、安全上および設備設置時における課題を洗い出すことができました。
さらに、着工承認会にもXphereを活用し、承認者に分かりやすく説明することで、一発承認に繋げることができました。
現ラインの改善をしつつ、並行して次期ラインの工程検討を効率的に進めた事例です。
VRルームに現・新ラインの生産準備メンバーを集め、現ラインの最新状態を織り込んだモデルをXphereで再現し、次期ラインへの最適な作業工程仕様を検討されました。
Xphereを使うことでモデルをリアルタイムで変更し、体感で作業性を確認しながら共通認識することで、仕様案出しからメーカー仕様提示までを同一空間で即座に対応することができました。
複数メーカーのモデルをVR空間に集約しXphereを使って効率的にレイアウト検討を行われました。
これまで各ユニットの対応メーカーが複数社に渡る場合、集約した姿は各社の図面を見比べて想像するしかありませんでした。これらを集約して統一モデル化し、Xphereでグループ会社のメンバーと一緒に検討されることにより、将来のエリア拡張を想定した設備レイアウトの検討、ロボット配置の最適化、作業性検証を効率的に実施することができました。
検討会にXphereを活用した結果、コミュニケーションが円滑になり、発言や会話の時間が従来に比べ7%向上し、課題の抽出率が従来に比べ21%向上しました。
また、あるプロジェクトでは、実機完成後のやり直しや指摘を前もって洗い出し、対応できたため、やり直しに伴う部品手配や組立、調整、試運転が削減され、結果として約65時間、割合にして18.9%の工数を削減されました。
アドヴィックス様より、CADで設定した動作の取り込みや、Xphereで検証した際のフィードバック情報を文字情報で確認できるようにするなど、さらなる機能拡張に期待をいただいています。私たちデジタルプロセスは、アドヴィックス様の生産準備業務の効率化およびデジタルデータ活用に寄与できるよう、製品・サービスの強化、支援を行ってまいります。
機能の詳細を紹介した動画は、右記の会員制情報サイト“DIPRO Product & Solution Gallery”内でご覧いただけます。
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