弊社では、シーメンスのPLMソリューションである Teamcenter®ソフトウェアに対して、自動車サプライヤ様に必要な基本設定をプリセットした、弊社独自のソリューションをTeamcenter Automotive Preset(TCAP)として開発・提供してまいりました。Teamcenter導入時の検討項目を最小限にできるため、製品データ管理の早期立ち上げを実現することが可能です。
近年、自動車業界以外のお客様からも、TCAPのスモールスタートのコンセプトについてお問い合わせをいただいています。そこでこの度、自動車サプライヤ様だけでなく、幅広い業界のお客様にTeamcenter導入時にご活用いただけるよう、プリセット内容をブラッシュアップし、名称を「Teamcenter Assistant Preset(TCAP)」と改めました。
さらに、Teamcenterのバージョンアップに伴い、Webブラウザ版のActive Workspaceにも対応しました。弊社のノウハウが詰まったテンプレートを活用して、貴社業務へのTeamcenter導入をご支援します。
今回はActive Workspace対応とあわせて、Teamcenterのオプション機能である、Change Management(変更管理)機能についてもご紹介します。
Active Workspaceは、TeamcenterのWebクライアントです。従来は、クライアント端末へTeamcenterのリッチクライアントをインストールしてご利用いただいていました。Active Workspaceでは、クライアント端末へのインストールを行わずに、Google ChromeやMicrosoft EdgeなどのWebブラウザからTeamcenterにアクセスすることが可能です。
例えば、承認者がワークフローで回覧された3Dモデルをビューイングしたり(図1)、図面のPDFを確認してコメントを残したり(図2)することが可能となり、社内ネットワークに接続できる環境であれば、タブレット端末などからもアクセス可能です。従来よりも簡単に一元管理された情報へアクセスすることができます。
PLM導入をスモールスタートで実現させるためには、システムの標準機能を最大限に活用して業務を行い、カスタマイズ開発を最小限に留める「Fit to Standard」の考え方で導入を進めていくことがポイントとなります。
しかしながら、管理すべき属性項目や、ワークフローによる承認プロセスなどは、各社固有の設定が必要です。これらの要件を整理するツールとして、従来からTCAPの要件定義書テンプレートを活用いただいていました。今回、この要件定義書テンプレートもブラッシュアップし、Active Workspaceに対応しました。要件定義書テンプレートは、業界を問わず活用いただけるものとして、すでに一部のお客様のTeamcenter導入時にご利用いただいています。
設計変更が発生した際、設計変更通知書を起票して紙に印刷した帳票を回覧して通知に時間がかかっていたり、最新情報ではなく古い情報を参照していたりするケースはありませんか?また、変更をいつ、誰が、何を、どのように実施したか、トレースできないといった課題はありませんか?
TeamcenterのChange Management(変更管理)オプションを活用すれば、3種類の変更オブジェクトを活用して、変更情報を管理することができます。
ある部品に不具合が発生した場合、まずはTeamcenter上にPR(問題報告)を作成し問題となっている事象や対象部品の報告を行います。それらの問題の原因を特定し、ECR(設計変更依頼)で設計変更のリクエストを起票します。リクエストが承認された後はECN(設計変更通知)として設計変更に関する情報を束ねた通知書を起票し変更対応を行います。
複数のPR(問題報告)をまとめて1件のECR(設計変更依頼)を起案し、1件のECN(設計変更通知)で対処するケースや、1件のPRに対して1件のECRが起案されたものの、複数のECNとして設計変更が行われるケースもありますが、3種類のオブジェクトを用いることで、関係性を整理することが可能です(図3)。
3つの変更オブジェクトをご紹介しましたが、ECN(設計変更通知)のみを活用することも可能です。現状の問題が発生している部品に対して、参照する不具合情報や技術情報、影響を受ける部品や親部品を明確化した上で、変更後の部品や親部品、各種ドキュメントを関連付けて管理することができます(図4)。
ECN(設計変更通知)に問題が発生している部品を関連付けした後、対象部品の変更に伴い影響を受ける親部品を影響分析にてリストアップすることが可能です。例えば、ある部品に不具合が発生し設計変更が必要となった場合、その部品が使われている親部品への影響を確認した上で、対象部品の設計変更と親部品への反映が必要となります。
Active Workspace版のChange Managementオプションでは、問題がある部品に対して影響を受ける親部品を明確化するだけでなく、設計変更対象の部品と影響する部品を一括して版数アップ(改版)することが可能となりました。従来も影響分析を行って影響する親部品を確認することはできましたが、それらが多数ある場合には一つずつ改版する処理が必要となり、子部品の改版をすべての親部品に反映することが大変でした。複数の影響部品を一括して版数アップすることで、その後の変更反映をスムーズに、漏れなく行うことが可能です(図5)。
また、ECN(設計変更通知)で問題の部品と影響を受ける親部品を一括版数アップした場合、ECN(設計変更通知)において変更前の版数の状態と、変更後の版数の状態をレッドライン表示にて視覚的に確認することも可能となっています(図6)。
ECN(設計変更通知)から変更前後の版数を確認するだけでなく、部品構成のツリー上でも、対象箇所をレッドライン表示にて確認できるため、変更前後の状態をより把握しやすくなります(図7)。
Change Managementオプションを活用することで、対象のECN(設計変更通知)でどのような変更が行われたのか、対象の部品や変更前後の情報を履歴として残すことができます。変更履歴を確認することができるようになるため、トレーサビリティを実現できます。
現状、様々な場所に情報が点在して管理されており、最新版と思って参照していた情報よりも新しい情報が存在していた、といったケースもあるのではないでしょうか?Teamcenterを活用いただくことで、情報の一元管理を実現することができ、情報へのアクセスを容易にするだけではなく、トレーサビリティも実現します。
しかしながら、Teamcenterの考え方や機能を理解していただいた上で、ゼロから適用準備を開始すると、期間も工数も掛かってしまいます。また、要件を実現することを重視するあまり、アドオン開発が増えていき、将来的なシステムの保守・メンテナンスの工数・費用も増大していくことになります。
「Fit to Standard」としてシステムの標準機能を最大限に活用していく方針のもとで、新しくなったTeamcenter Assistant Preset(TCAP)を活用いただくことで、アドオン開発を最小限にとどめていただけるように支援いたします。Teamcenterの導入をご検討の際は、ぜひ弊社へお声がけください。
TCAP (Teamcenter Automotive Preset) の詳細はこちら
PICK UP