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DIPROニュース

2009

7月号

2009.07.10

荒波への船出に当たって

代表取締役社長 山田 龍一
代表取締役社長 山田 龍一

6月26日の当社取締役会で代表取締役社長を拝命いたしました。厳しい環境下での船出でもあり、要求される難しい舵取りに責任の重さを強く感じています。しかし、夜明けの来ない夜はないのも事実。そして、新しい方向へ舵を切るにはかえって良いチャンスでもあります。背筋を伸ばし、明日を見据えて進んでいきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

今後の方向性について確たる事が言いにくい時期ですが、日本の製造業は2000年を過ぎたあたりから色々な意味で大きな転機を迎えており、ここに来て降りかかった金融危機を発端とする深刻な景気後退によって、それが際立って見えてきたような気がしています。日本の基幹産業であり、私たちの主要なお客様である自動車産業についても、つい1・2年前までのSUVやフルサイズピックアップといったキーワードから一転し、ハイブリッド、電気自動車に注目が集まり、今後のキーワードは資源・環境・エネルギーと言われています。

これらのキーワードは言われて久しいものですが、いざ実用化するとなると裾野を含めた産業構造自体を大きく変えるだけでなく、社会インフラや、それを使うお客様の考え方や行動様式に大きな変化をもたらすものだけに、なかなか大きな流れになることはありませんでした。しかし、金融危機直前の資源価格高騰や、深刻な経済危機脱出に向けた米国のグリーンニューディールに代表される各国の大規模な経済施策は、そうしたハードルを乗り越えて、変化の流れを加速させるような予感を抱かせます。

こうした変化が本格化すると、もちろん、私たちDIPROにも、お客様に提供すべきソリューションやサービス、そのために追求すべき技術を大きく見直していくことが要求されます。

例えば、いわゆる電動車に必要とされる要素技術や開発手法は従来と大きく変わっていくことが予想され、当社としても電池やモーターといった新しい基幹コンポーネントや新しい車体構造といった領域にかかわる開発手法を、お客様とともに開発し、新たなソフトウェア製品やサービスを提供していくことが必須と考えています。これは、いわゆるメカ中心で育ってきた当社にとって、未知の領域も多く大変なテーマですが、次の10年のために挑戦し続けていくことが重要だと思っています。

そして、このように自動車自体がメカ、エレキ、ソフトの集合体になりつつある変化の中にあって、自動車産業出身という生い立ちと、富士通グループの一員であるという当社の強みを最大限に活かし、より一層お客様のお役に立っていきたいと考えています。

一方、こうした変化への対応という中で、変えてはいけない、堅持して行くべきと考えていることもあります。それは、前任の間瀬を中心に当社が掲げてきた「日本発ソフトウエアの発信」、「ものづくりとITの潮目こそ我々の立脚点」そして「結果責任を負う姿勢」という考え方です。

対応すべき課題や、アプローチすべき分野は時代によって変化します。しかし、こうした企業としての基本姿勢は変えるべきではないと思っていますし、強いて言うならば、こういう変化の激しい時だからこそ、逆に愚直に貫く意志も大切であると考えています。

当社は、ものづくりの経験者、ITのプロフェッショナル、そして元気な若手技術者たちの混成集団で成り立っています。さらに、最近は外国出身の技術者を加え、とても多様な顔を持つようになってきました。このような時期にこそ、そうした多様な引き出しを持つ企業として、真にお客様に役立つご支援を提供できるよう頑張ってまいりますので、新役員体制以下、お引き立てのほど、よろしくお願いいたします。

(代表取締役社長 山田 龍一)

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