DIPROのCADモデリング領域では、コスト競争力を保つための方策として、インド、韓国、中国など海外の人材活用を行っています。本号ではその中でマレーシアのDreamEDGE社との協業をご紹介いたします。
本紙で何度かご紹介をさせていただきましたDreamEDGE社は、マレーシアの首都クアラルンプール近くにあるサイバージャヤに事務所を置き、DIPROの支援の下マレーシア出身のDIPRO社員が3年前に起業した会社です。日本とマレーシアの架け橋となるべく、DIPROが取り扱っている製品を中心に、CAD、CAE、PDMなどのパッケージソフトの販売からサポートサービスまで幅広く行っており、マレーシアのモノづくりの発展を目指しています。(DIPROニュース 2008年4月号)
最近では、マレーシア政府機関が主体となって進めるプログラムETPに採用され、2011年5月から活動を開始しています。本プログラムでDreamEDGE社は自動車業界を担当し、2020年までに数千人のエンジニアを育成するという任務を担っており、弊社はDreamEDGE社をバックアップする役割を担っています。(DIPROニュース 2011年5月号)
DreamEDGE社と弊社とは、これまでにCADモデリング作業を中心とした協業を進めています。このCADモデリング作業の実施に向けては、弊社のモデリング手法やCADデータ作成のノウハウ、さらにはいかに品質を確保するかについてを習得してもらうことからスタートしています。
弊社社員向けに実施しているCADモデリング教育プログラムを活用した育成を当初計画していたのですが、平行して現地企業でのモデリング業務受注活動を進めていたため、そこまでの時間的余裕がまったくありませんでした。
しかしながら、メンバー全員が優秀でCATIAのベーススキルを持っているため、習得スピードは予想以上に速く、何より弊社メンバーの途切れながらの英単語をDreamEDGEメンバーが理解しようと努力してくれることが、両社の協業が進められている大きな要因の一つとなっています。
このような中2009年、マレーシア国内企業の業務を初めて受注し、弊社と共にCATIAでのCADモデリング業務を実施しました。モデリング業務はあくまでDreamEDGEメンバー主体で進め、スケジュールや課題管理等を弊社が担当し、時にはお客様の現場に入り込みながらプロジェクトを遂行しました。
お客様要件の変更など紆余曲折はありましたが、無事に納品を終える頃には、メンバーのスキルも格段に上達していました。そして、初めてのモデリング業務の成功が次の業務の受注へと繋がり、現在ではDreamEDGE社単独でCADのモデリング業務を実施するまでになっています。
マレーシア現地での実務取り組みに続き、最近では日本国内のCADモデリング実務へと徐々に拡大しています。NXやI-deasを使用した日本国内のお客様先向けCADモデリング業務に参加し、現在も2名が弊社メンバーと共にお客様先に常駐しています。
ところで、DreamEDGE社ではモデリング業務をお客様先のみでなく、自社内でも実施しており、お客様から信頼されるほどのセキュリティレベルを確保しています。個人情報、機密情報の管理徹底はもちろん、全従業員にセキュリティ性の高いICカードの携帯を徹底させ、入退室の管理、さらにはオフィス内に監視カメラを設置し、社外からもオフィス内を監視できるようになっています。このようなシステム的な取り組みと共に、社員への教育によるセキュリティ意識の向上に努めています。
更なる協業の拡大に向け、現在弊社にてCADナレッジとCAD上でのツール構築技術習得、DIPROが培ったCAE技術習得、Imagewareを活用したリバースエンジニアリング技術習得の研修を、DreamEDGEメンバーに対して実施しています。
中でも、海外技術者の受入制度を活用し日本での研修を実施しているメンバーは、技術と共に、日本語の習得も平行して進めています。
近い将来、日本国内のお客様業務をマレーシア現地で実施する、DreamEDGEを活用したオフショア業務を実現し、お客様のコスト低減の一助となるべく進めてまいります。
日本国内での海外人材活用、およびマレーシアでの開発拠点(R&D)開設に伴うCADエンジニアの調達を考えておられるお客様がいらっしゃいましたら、弊社宛ぜひご一報ください。
DreamEDGE社のホームページ URL : http://www.dreamedge.jp/
(デジタルコンテンツサービス部 課長SE 平木)
DreamEDGE社が、現在マレーシア政府(経済産業省)から支援を受けている各領域のご紹介。
PEMANDU (PERFORMANCE MANAGEMENT DELIVERY UNIT)
PEMANDUは2009年9月に設立された、政府による「ETP」および「GTP」の監督機関です。DreamEDGEは、マレーシアの経済を変革するためのプログラム「ETP」に参加しています。成長の動力となる12の重点経済領域が優先的に公共投資や政策支援を受け、マレーシアの経済成長を図ります。 ※ETP ; Economic Transformation Programme ※GTP ; Government Transformation Programme
NCER (NORTHERN CORRIDOR ECONOMIC REGION)
NCIAは、北部回廊経済地域での経済成長を牽引しながら世界レベルの地に発展させることを目指しています。DreamEDGEは設備投資などの援助を受け、新しいオフィスをタイピンに開設します。NCIAと協力しながらペラ州を産業の地として発展させていきます。 ※NCIA ; Norhern Corridor Implemantation Authority
MITI (MINISTRY OF INTERNATIONAL TRADE & INDUSTRY)
MITI管理下にあるMATRADEは、マレーシアの対外貿易、特に製品や半製品、サービスの輸出促進対策を行っている機関です。また、マレーシア輸出業者のマーケティングスキルを高めるために講習も実施し、貿易業の促進やマレーシアの国際貿易利益を守る活動をしています。年に3回、海外での展示会に参加できますので、DreamEDGEのデジタルエンジニアリングサービスを各国に紹介していきます。その他、MIDAやSME Corp.などの機関とも連携して取り組んでいます。
※MATRADE ; Malaysia External Trade Development Corporation
MIDA (Ministry of Industrial Development Authority)
MIDAは、マレーシアにおける工業発展の促進と調整を担うマレーシア政府の主要機関です。MIDAは、製造業や関連サービス部門への事業進出に関心のある企業をサポートし、プロジェクトの実施と運営を円滑に進めます。MIDAは、投資機会の情報提供、ジョイント・ベンチャーのパートナーをお探しの企業のサポートなどを行っています。
SME Corp. (Small Medium Enterprise Corporation)
SME Corp.は中小企業の成長に拍車をかけるため、インフラ設備支援や財政援助、顧問サービスなどのプログラムを提供しています。
UKAS (Unit Kerjasama Awam Swasta)
マレーシア首相府直下のUKASからの援助を受けることが決まったばかりです。具体的な取り組みについては議論している段階ですが、DreamEDGE社のビジネスを広げられると考えています。
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