DIPROニュース9月号では、8月5日から販売開始したVPS新バージョン全般をご紹介しました。
今月は、生産ラインシミュレータVPS GP4の最新情報をより詳細にご案内します。
COVID-19(コロナ禍)において出張や対面での会議が規制される中、生産準備や現場カイゼンはこれまでの3現主義(現場、現物、現実)の考え方を見直す機会となりました(図1)。
テレワークの普及とともに、集合形式で実施していたワイガヤ会議がWeb会議システムに切り替わり、現場に訪問し有識者の声によりスピーディーに解決してきた対応も、難しい状況にあるかと思います。
このような状況において、現場現物を代替えするための3D活用、分散型での業務推進、数値による生産性や作業性の評価を推進するのが、デジタル生産準備ツール VPS(図2)です。
VPSは製品の試作段階から生産準備、現場のカイゼン活動まで、様々な生産準備業務をデジタルに推進することができます。またICTの専門家でなくても、容易な操作性で仮想工場を実現することが可能で、無償提供しているViewerと組み合わせることで、多くの方がデジタル生産準備に取り組むことができます。
この中でVPS GP4は、豊富なライブラリで3Dレイアウトを作成し、作業者動線の自動作成、手動線距離や時間の算出、正味・付随を分類した山積み評価など3Dデータによる工程設計が行えます。人と機械が協調作業するラインを中心に、コンベア、セル、ピッキングなど様々な作業場をデジタルデータで表現し、生産性や作業性を検証することができます。
今回の新バージョンでは、定常状態のサイクルタイム検証、VPS Manufacturingとの連携強化により、生産シミュレーションする際のデータ作成工数の削減に取り組んでいます。
1. 仕掛品を生成する作業手順機能
従来、量産の定常状態の検証を行う際には、1製品を順送り生産するGP4データを元に、組立途中の仕掛品を工程毎にコピーし、さらに仕掛品を取り扱う作業を追加、編集するなど、複数の操作ステップが必要でした。
今回、仕掛品を含む作業手順を検討する機能を強化し、
機能をご用意しました。
複数の工程設計案を短時間で作成できますので、関連部門との合意形成が円滑になり、量産直後からの高い生産性に貢献します。
2. 「VPS Manufacturing」「VPS Viewer」との連携強化
前号では、「VPS Manufacturing」の情報を元に「VPS GP4」の設備を含むレイアウトを自動的に作成する機能をご紹介させていただきました。
この連携機能で作成した「VPS GP4」の手順リストには、「VPS Manufacturing」の製造フローの情報を保有しており、2つのツールを起動しておくことで、該当する作業にジャンプし、詳細情報を確認することが可能です。
複雑な組立アニメーションや注意事項、スナップショットなど、製品組立の詳細情報を確認しながら、GP4の工程設計を進めることが可能です。
なお、この連携機能はGP4 Viewer(無償)とVPS Viewer(無償)間でも可能になります。 データを作成する方だけでなく、閲覧、検証、承認する方々に向けて、VPSの「3D+アニメーション+数値評価」を共有することで、効率良く効果的な情報共有が可能です。
従来の図面や帳票を中心とした工程設計業務が高い精度で可能になります。
3. トライアルガイドのご提供を開始
GP4のトライアル操作をご希望の方や、初心者および久しぶりにGP4をご利用される方に、人と機械の協調作業のライン検討が行えるトライアルガイドのご提供を開始しました。
トライアルガイドは「レイアウトの作成」、「作業手順の作成」、「工程改善の検討」の操作をお試しいただけ、マニュアルを見ながらデータ作成が行えるシナリオになっています。
サンプルの3Dモデルや設備ライブラリもご用意しておりますので、パソコンをご用意いただければ、ご提供後すぐにデータ作成を開始できます。
ご興味の方は、担当営業 / SEまでお気軽にお問合せください。
コロナ禍におきまして、特に海外工場への支援を行っているお客様から、生産ラインの状況把握やカイゼン検討にお困りとの声を頻繁にお聞きするようになりました。
3現主義ならではのカイゼン検討も多々ありますが、3Dならではの上空から俯瞰した物流動線の検証により、これまで気づきにくかったダイナミックなカイゼンが実施できたり、カイゼン案が十分な成果を生まないことが事前検証できたりするなど、仮想ラインならではの活用法も拡大してきております。
今後とも、工程設計に関わる多くの方々に活用いただけるよう機能開発を進めて参りますので、「生産ラインシミュレータVPS GP4」に是非ご期待ください。
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