明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年も引き続きお引き立ていただきますようお願い申し上げます。
昨年は、新しい時代「令和」の幕開け、ラグビーW杯の日本での初開催、そして、初の8強入りを果たしたラグビー日本代表をはじめ、テニスやゴルフなどスポーツ分野でのアスリートの活躍など、明るく、夢の膨らむ多くの話題がありました。一方、地球温暖化による気候変動や、台風、大雨、森林火災などの大規模な自然災害が一段と深刻さを増す大変な一年となりました。
経済に目を向けると、米中貿易摩擦の長期化、中東・北朝鮮などの地政学リスク、英国のEU離脱問題、香港でのデモの広がりなどから、世界経済の減速懸念が高まりました。国際通貨基金(IMF)は、10月に世界経済見通し(WEO)の中で2019年の成長率を3.0%に下方修正しました。この結果、四半期毎の改定では5期連続の下方修正となり、「世界全体の90%の国・地域で経済が減速している」と指摘しました。
一方、国内経済は、なんとか横ばい圏内で推移しました。これは、個人消費が堅調に推移したことと、人手不足への対応や生産性向上への投資に加えて、研究開発、デジタル化への投資などが増えて、設備投資がプラス基調を維持したことによると言われています。しかしながら、世界経済の減速に伴う下振れリスクから、経済の先行きへの警戒が強まりました。更に、消費税の引き上げと大型台風の影響が重なり、景気に急ブレーキがかかり、停滞が長引くとの見方もあるようです。
このように、経済の面では、不透明な先行きへの警戒と、停滞の長期化への懸念を抱え込んだ一年だったように思います。
産業界においては、グローバル化とデジタル化の急速な進展が、あらゆる産業に劇的な環境変化をもたらす中で、デジタルトランスフォーメーションの重要性も高まりました。製造業では、「電動化」、「知能化」、「コネクテッド」といった分野での『次世代技術開発』が加速しています。そして、自動車業界が進める自動運転や電動化などのCASEや、移動手段のサービス化を表すMaaSといった分野の進展は、人を取り巻くモビリティ社会の変革を推し進めると言われています。
一方で、製品開発やモノづくりの既存技術、従来型部品の開発においても、更なる効率化、コスト削減の必要性に迫られていますし、加えて、熟練者の方々の高齢化、少子化による労働力不足が深刻化していることを背景に、『生産革新』に向けた取り組みも活発化してきました。
こうした『次世代技術開発』と『生産革新』への設備投資が、経済を支える大きな要因となっていると同時に、こうした動きに呼応したオープンイノベーションやアライアンスの報道も多く目にするようになりました。急速な技術革新やグローバルな技術開発競争が進む中で、今後は、異業種を含む企業連携による共創をはじめとするダイナミックな動きが、更に加速していくように思われます。そして、この動きは、今後5~10年程度の間に、産業構造に留まらず、社会基盤や生活様式にも大きな変革をもたらす可能性が有ると思われます。
このような環境の中で、製造業のお客さまも、多くの変革への取り組みを進められていると思います。この変革の取り組みの中で、製品開発プロセスやPLMといった領域も、そのニーズやソリューションといった観点で大きく変容していくと思います。弊社のセミナーなどでも、AI、IoTなどのデジタル技術活用や、MBD・MBSEといった新たな手法の開発プロセスへの適用などの悩みを多くお聴きするようになりました。一方、依然として、開発・生産準備の現場でのデータ管理や流通、部門間連携などのデータマネジメントについての悩みも多くお伺いします。製造業のプロセス革新をご支援させて頂いている私共にとっても、こうしたニーズの変化を受けて、質的変化が求められていると考えています。今後も、弊社の4つのコア機能である『パッケージビジネス』、『ソフト開発』、『エンジニアリングソリューション』、『コンテンツサービス』に磨きをかけると共に、それらを融合したトータルソリューションをご提供し、お客さまのニーズにお応えしていきたいと思います。
「令和」で迎える最初の新年にあたり、製造業のお客さまとともに、大きな環境変化と技術革新の大波の中で、新たな開発・生産準備プロセスの構築にチャレンジし、更なる成長を遂げたいとの思いを改めて深めています。今年も、大きな変化への対応力とスピードが重要と思います。当社ならではの『モノづくりの現場に根差したソリューションとサービス』のタイムリーなご提供を目指して、お客さまと「One Team」になれるように、精一杯取り組んでまいる所存です。改めて、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
今年は「子年」で、新たな十二支のサイクルが始まる年です。そして、2度目の東京でのオリンピックが開催される節目の年でもあります。調べてみますと、ねずみはたくさんの子を産むことから繁栄の象徴だそうです。製造業の企業と技術者が取り組んでいる新規技術開発と新製品開発が成果となり、新たな製品やサービスとして市場に導入され、景気が持ち直す節目の年、そしてスマートな社会の繁栄を目指して躍進する一年になってくれればと思っています。
重ねまして、本年も従来同様お引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
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