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DIPROニュース

2020

1月号

2020.01.10

核となるのはメカ・エレキの連携機能
~Solid Edge 2020のご紹介

EDA(電子設計自動化)ベンダー大手のメンターグラフィックスの買収により、シーメンス社は機械設計の領域だけでなく電気設計の領域までカバーするポートフォリオ(製品群)を獲得しました。このメンターグラフィックスの製品の一部や、その技術をそれぞれの製品に特化したオプションの形式の製品の提供が開始されています。

本記事では、エレキとメカの連携のための基本的な技術や、Solid Edgeでの実現機能をご紹介します。

PCB設計におけるエレキとメカでの情報共有

データ交換フォーマットの進展

PCB設計ツールとのデータ交換においては、現在IDXというフォーマットが規定されています。

従来は、IDFフォーマットがあり、これによって電気CADと機械CADのデータ交換が行われてきました。しかしこのフォーマットは、一度交換を行って設計変更などが発生した場合に、その変更箇所だけの情報のやりとりができず、また、どこが変わったかということを確認することができない問題がありました。

これに対して、IDXフォーマットを使うと、最初のBaselineのデータのやり取りを行った後は変更箇所だけの情報のやり取りが可能となり、さらには変更を受け入れる(Accept)のか拒否する(Reject)のかを受け取り側が選択する機能が備わっており、より効率的に電気CADと機械CADのデータ交換ができるように進化しています。

電気CADと機械CADのデータ交換

Solid EdgeにおけるPCB情報変換機能の実現

Solid Edge 2020より新たにコラボレーションオプションを提供開始しました。これによりIDXフォーマットの入出力が可能となります。またこの変換機能は最上位の構成Solid Edge Premiumにも搭載されています。Solid Edge PremiumにはPCBの変換機能の他にも、後で説明するElectrical Routing などの各種オプションが標準で備わっており、より高度な設計を標準的に実行できます。

熱流体解析

電気CADとメカCADの連携で効果があるのは熱流体解析の分野です。電気CADで設計した基板と実装される部品の情報をメカCADに渡すことにより、装置全体の熱流体解析を簡易に行うことができます。

Solid Edge FLOEFD

Solid Edgeに完全に統合され連動して動作する熱流体解析ソフトSolid Edge FLOEFDがオプションとして提供されています。PCBの形状情報をIDX経由で受けとり、機械CAD側で設計を行っている装置全体と統合することにより、効率的に精度の高い熱流体解析が行えます。

熱流体解析

小型電気部品での熱解析

最近の電子部品は小型化が進み、電子部品の放熱が部品自体からは行われず、基板や筐体を経由して行われる割合の方が高くなってきています。このようなケースでは基板の熱伝達の状態まで考慮した熱解析が必要となります。

Solid Edge FLOEFDのPCB情報取得のオプションを実装することにより、基板のパターンまで考慮した熱解析が行えます。解析対象や解析精度をどこに求めるかなどにより、適切なシステムを選定する必要があります。

ハーネス設計におけるエレキとメカでの情報共有

電気の領域では、回路の設計と回路間の配線設計の領域があります。配線設計に関しては、空間内でのハーネス配線設計を機械的な観点で行うオプションを従来から持っていましたが、電気的な回路・ハーネス設計機能が加わっています。

Electrical Routing

Electrical RoutingはSolid Edgeのメカの機能として、ハーネスの3次元的な配線を行う機能です。空間内の通過場所の指示や、長さの指示による配線設計、また、電気CADの情報を読み込み指定された端子間を自動接続するような配線設計ができるオプションです。

Electrical Routing

Wiring Design / Harness Design

Wiring Design / Harness Designはそれぞれ、主に電気的回路設計を行うオプション、主に電気的ハーネス配線設計を行うオプションです。これらの製品は単独で動作可能な電気CADですが、Electrical Routingと連動してリアルタイムに電気機械の両方の情報をやり取りしながら、設計が進められるような機能として提供されています。

Wiring Design Harness Design

数多くの新機能を搭載したSolid Edge 2020は来年初頭の出荷を計画しております。

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NX の詳細はこちら

(第一エンジニアリングサービス部 課長SE 宮沢)

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