DIPROニュースではこれまで数回に渡り、ActiveWorkspace(Teamcenterの新ユーザインターフェース)の概念や新機能などを中心にご紹介してきました。これまでの記事をご覧いただいたRichClient(Teamcenterの従来のユーザインターフェース)のユーザから、以下のような現場目線でのご質問をいただきました。
今回はご質問にお答えする形で、ActiveWorkspaceの基本機能についてRichClientとの比較を交えてご紹介いたします。
RichClientでは、全ての作業はMyTeamcenterの「HOME」から始まります。ActiveWorkspaceはタイルメニューから作業開始になりますが、MyTeamcenterと同様に「HOME」も使用する事ができます。これまでRichClientに慣れ親しんでいるユーザは「HOME」を起点に作業を開始していただくと、直感的にActiveWorkspaceを使用することができます。
またActiveWorkspaceはWEBアプリケーションであることを活かし、複数のウインドウやタブで作業画面を開くことができます。各ウインドウ・タブ同士はリンクしており、画面間でのコピー・ペーストなども可能です。
RichClientのクイック検索・詳細検索機能などは、ActiveWorkspaceでも同じ検索が可能です。
更に、2017/11月号の記事でご紹介したように、既存の検索に加えて全文検索も使用することができます。全文検索は高速・高精度であり、結果をドリルダウンで絞り込むことができます。RichClientよりも利便性の高い検索ができます。
アセンブリ構造を持つデータを『ツリー表示』することで、ActiveWorkspaceでもRichClientにおける構成マネージャと類似するCADの構成表示が可能です。また、コピー・ペーストで構成を作り変えることもできます。
CADから生成したJTファイルが用意されていれば、RichClient同様3Dモデルも表示できます。しかも、サーバ側にレンダリング用のVisualizationサーバを導入すれば、クライアント側にTeamcenterVisualizationを導入しなくても3Dモデルの表示が可能で、断面表示・計測などのViewer機能も使用できます。
ActiveWorkspaceはRichClientと同様にNX、CATIA、SolidWorksをはじめとする、数多くのCADと連携が可能です。またRichClientでは扱うCADによりロード方法が異なりますが、Active Workspaceでは扱うCADが異なっていても、共通の操作画面でロードが可能になっていますのでRichClientよりも扱いやすく、高い親和性を持っています。
ある子部品が、どの親部品から参照されているかを確認したい時に用いるImpactAnalysis(影響分析)機能について、ActiveWorkspaceでも同様に参照している親子関係を確認することができます。
RichClientで作成したワークフローテンプレートがそのままほぼ同様の操作方法で使用できます。
まずサーバ側ですが、ActiveWorkspaceを導入するためには、ベースとしてTeamcenterの4-Tier環境が必要です。既に4-Tier環境をお使いであれば、そのWebApplicationにActiveWorkspace用のwarファイル(Webアプリケーションのパッケージ)をデプロイすることで、簡単に導入できます。これに加え、全文検索用サーバやレンダリング用サーバを追加することで、それぞれの機能を必要なシーンに応じて利用できるようになります。
次にクライアント側ですが、Webブラウザが利用できる環境であれば、従来の様にRichClientのアプリケーションをインストールする必要はありません。対応ブラウザもInternetExplorer・Chromeを始め、主要なものはほぼサポートされています。
これまで多くの労力を費やしてきたRichClient導入作業ですが、ActiveWorkspaceではその殆どが無くなると言って良いでしょう。
サーバ側はこれまでのバージョンアップとほぼ同じですが、前項での通りクライアント側はそもそもアプリケーションをインストールしていないため、バージョンアップの作業自体が必要ありません。
更にNXでは最新のContinuous Releaseでバージョンアップの自動化を実現しています。ActiveWorkspaceとNXを組み合わせることで、サイレントインストーラの作成や配信などの作業が不要となるため、大きな負担となっていたクライアント端末のバージョンアップ作業から解放されます。
如何でしょうか?
ActiveWorkspaceはRichClientの良いところを取り入れつつ、使いやすさを求める独自の進化を続けています。多くのユーザに本当に必要なメニューのみを表示し、重要な情報を見やすくした画面は、従来のRichClientと比較して、より短い時間で習熟が可能になっていますので、これまでRichClientに親しまれたユーザにとっても、新規のユーザにとってもスムーズにお使いいただけると確信しています。
また、クラウド環境がビジネスシーンの大きな土台となっている今日、様々な分野でシンクライアントが再び脚光を浴びていますが、ActiveWorkspaceは、まさにクラウド環境を活用しての展開に最適なソリューションです。これまでのRichClientを大きく超えた、大きなスケールのビジネススタイルを生み出すことができます。
PLMの世界でも、新しい時代を切り開くにふさわしいActiveWorkspaceを、この機会に一度体験してみてください。
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