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DIPROニュース

2019

8月号

2019.08.09

第36回 経営に貢献するCAEセミナー開催のご報告

去る2019年7月12日(金)、東京工業大学(大岡山キャンパス)蔵前会館くらまえホールにて「第36回経営に貢献するCAEセミナー」を開催いたしました。当日は、あいにくの雨模様となりましたが、ご来場いただきました皆様方には厚くお礼申し上げます。

日産自動車株式会社 名取様
日産自動車株式会社 名取様

ご講演では始めに日産自動車株式会社名取様より「日産のグローバルCAEマネジメント」と題しまして、近年車両開発に必要不可欠な技術となっているCAEについて、効率的な活用には技術のみならず適切なプロセスと組織が併せて必要であること、同時に車両開発のCAE業務量は増加の一途を辿っており、マーケットと開発がグローバルに拡大する中、CAEもグローバルな展開が求められているなどの事例をご紹介いただきました。聴講されたお客様からは、「CAEのマネジメントや活用法など普段聞けない内容が聞けました」、といった感想が寄せられました。

オムロン株式会社 岡田様
オムロン株式会社 岡田様

続いて、オムロン株式会社岡田様より「オムロンのエンジニアリングチェーンでのCAE活用法とビッグデータ・AIを融合した今後のCAEについて」と題しまして、「メカ・生産系CAE」、「伝熱・熱流体系CAE」、「電磁場・電磁波ノイズ系CAE」個々の技術を高めながら、製品の機能と損失のトレードオフ、生産への影響を考慮したフロントローディング開発に向けたCAE活用法・人材育成に関するオムロン様の実例をご紹介いただきました。併せて将来に向け推進されている、ビッグデータ・AIとCAEを用いたフロントローディング開発の技術向上活動についてもご紹介いただきました。お客様からは「取組内容の事例発表に留まらず、開発での活用および運用するための考え方が聞けて良かった」といった感想をいただきました。

横浜ゴム株式会社 小石様
横浜ゴム株式会社 小石様

休憩をはさみ、横浜ゴム株式会社小石様より「AIと計算科学を活用した人間中心の設計開発への取組み」と題して講演いただきました。 AI(機械学習)は、データに基づいた予測(順問題)や、探索(逆問題)、データ間の関係性把握(データマイニング)に係る課題解決に役立ちますが、一方で、AIを活用する上でデータの質と量が重要であると指摘されています。横浜ゴム様では、この課題(データの質と量)解決のために計算科学(数値シミュレーション)を利用することで数多くの未経験データを計画的に準備し、AIと計算科学を活用した人間中心の設計開発(ゴム材料とタイヤ)へ取り組まれている事例をご紹介いただきました。お客様からは「CAEもAIも需要なツールであり、どう活用するかを考えさせられた。今後はどんどん使われるようになり設計開発にも活かされるようになるのだと思う」といった感想をいただきました。

近畿大学理工学部 和田様
近畿大学理工学部 和田様

最後に近畿大学理工学部和田様より「深層学習による高精度き裂進展予測 ~AI-driven CAEの構築へ向けて~」と題し、ニューラルネットワークを用いた、き裂進展の予測の可能性および学習の加速方法についてご講演いただきました。機械学習を工学系の問題へ適用する場合の大きな課題は、多次元回帰問題に対して高い予測精度が求められるにも係わらず、“設計変数<観測データ”となり予測品質が保証されないと指摘されています。また、機械学習の精度は、使用するデータの質に依存するため、対象物理現象の支配方程式に基づくCAEによるデータ準備は有効であるとご紹介いただいました。お客様からは「機械学習を使用するためには、準備するデータの質の重要性がよく分かった」といった感想をいただきました。

講演会場の様子
講演会場の様子

講演に続いて、今回は初めての企画として「フリーディスカッション」を、講演いただいた講師の皆様にご参加いただいて行いました。ディスカッションは、お客様からの事前アンケート結果から要望の多かった項目を中心に進めました。講師の方々を中心に、会場も交えての意見交換となり、講演だけでは知ることのできない、率直なご意見を聞くことができた貴重な時間となりました。

また、休憩時間には、デモ会場で富士通グループ各社から、AI技術および各種CAE関連製品を展示・デモでご紹介いたしました。休憩時間を利用した短い時間ではありましたが、多くの方々にご覧いただきました。

講演終了後、会場を移動しての懇親会にも多くのお客様にご参加いただきました。講演者の方々を中心に、ご参加いただいた皆様には、打ち解けた雰囲気の中で交流を深められ、また業種を超えての貴重な情報交換の場として活用いただけたのではと思います。

デモ会場の様子
デモ会場の様子

懇親会の様子
懇親会の様子

これからも皆様からのご要望を反映し、ご期待に沿える魅力あるセミナーになるよう誠心誠意取り組んで参りますので、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

(メカニカルエンジニアリングサービス部 辻村)

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