CAD/CAM/CAEやPLM・BOMなどのシステム開発や各種技術サービスにおける弊社の強みは、単なるITツールや技術の提供ではなく、モノづくりの現場を熟知し、実際の業務に役立つITツールや技術の提供にあると考えています。
弊社では、モノづくりの大変さとつくる喜びを体験し、自分達の業務を創成型・提案型に変革させていけるようにと、昨年度広島大学のご協力をいただき、「DIPRO Paper Bicycle Projectモノづくり講座」を立ち上げました。(DIPROニュース 2007年3月号でご紹介)
昨年度の課長層のトライアル結果を通じて、この教育がモノづくりに関する「共感力」を高めると共に、問題発見・解決能力や創成能力の育成に有効であることが実証されましたので、今年度は、内容をブラッシュアップし、一般社員対象に10月から5ヶ月にわたり、講座を実施しました。
この講座は、自主活動という位置づけでプロジェクト型教育プログラムとして行われるため、忙しい日常業務をやりくりしつつ積極的に参加しようという社員を全社から募集し、4チーム12名の精鋭で取り組みました。
このプロジェクトは、紙を材料として人が乗って走れる自転車を、3名編成のチームにより自分たちでコンセプト立案・設計から製作まで一貫して行い、最終的に競技会でスピードや耐久性を競うものです。評価は単に作って走るだけでなく、設計や製作の過程や内容も加えて行われます。
講座は、5つのフェーズから構成されており、教育効果と日常業務との両立を考慮して、図1のような日程で行われました。
この講座では、単に設計・製作するだけでなく「コンセプト立案」・「構造設計」・「まとめ」終了時に各チームにプレゼンテーションの機会が設けられ、独創性、技術力などを力学的・理論的に立証し、優位性をアピールする場となっています。
昨年の車両重量・直線レースに加え、今回は“曲がる・止まる”、2輪車、高度な駆動方式といった難度の高いテーマに挑戦した場合に加点するレギュレーションを設け、各チーム共果敢に挑戦し、それぞれ独自のコンセプトを打ち出しました。
構造設計では弊社取り扱い製品を利用して設計することとしましたが、専門家ではないメンバーのために有限要素法などの技術教育の場も設け、メンバーが全員で取り組めるよう工夫しました。
製作フェーズでは、安全で充実したモノづくりができるように、集中製作合宿を行いました。
合宿では、まず作業前に2次元図面の検図や部品表・材料取り、作業工程表などの準備を行いました。各チームとも実際の設計、製作は初めての経験でもあり、多くの時間を費やしましたが、同時にチーム内の相互理解を深めることができました。
翌日は体操に始まり、事務局やチームアドバイザーの指導の下にチームメンバーが協力して慣れない加工に取り組みました。
前日までの十分な準備が功を奏し、各チームとも無事故で、合宿期間中に計画した加工工程をほとんど終わらせることができました。
製作合宿後、各チームは、残りの加工工程と組立工程を、多忙な中ひねり出した自主活動の時間を目一杯に使って、車両を完成させました。設計通りに製作できたチーム、途中で設計変更を余儀なくされたチーム、試走で壊れて何回か設計変更、作り直しを強いられたチームと、それぞれモノづくりの大変さと醍醐味を味わいつつ、競技会を迎えました。
競技会は、この講座の意義と成果を多くの社員が共感するために、全社員に集まってもらい選手と応援が一体になって行われました。
出場は講座受講の4チームの他に、モノづくり経験者のマネージャー層からも2チームが特別参加し、合計6チームとなりました。
車両重量や選手体重の計量や調整用ウエイトの準備を行った後、“S字走行”などの基本機能試験や技術評価会を経て、多くの社員が見守る中“スピードレース”と“耐久レース”で競い合いました。
今年度は、車の基本機能や高度な技術に果敢に挑戦したチームが多く、性能試験と技術評価会では、高得点のチームが続出しました。レースは盛大な声援の中、各チーム真剣に競い合いましたが、“耐久レース”で破損して棄権したチームが続出し、残念な結果となってしまいました。その中で特別参加の“モノづくり”経験者の車両がダントツな成績を収めたのは良い手本にもなり、あらためて“モノづくり”の奥行きの深さを感じさせられたレースでした。
この経験を今後の業務に活かし、お客様へのサービスの質の向上につなげてくれるものと確信しています。弊社では今後も“モノづくり”に強くお客様から信頼され、頼られる人財を数多く育成してまいりますのでご期待ください。
(デジタルコンテンツサービス部 アソシエイトマネージャー 関戸 俊男)
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