この度、システム導入支援の仕事でルーマニアに行って参りました。今回は日本人にとってあまり馴染みのない現地の雰囲気を中心にご紹介させていただきます。
ルーマニアはどこにあるかご存知ですか?
ルーマニア政府観光局のホームページを見ると、「ブルガリア、ハンガリー、ウクライナ、モルドバ、セルビア、黒海に囲まれた国」と書いてありますが、一般的に日本人にとっては、地図を見て何となく分かるという感じではないでしょうか。
広さは日本の本州と同じくらいです。日本からの直行便はなく、パリなどを経由します。日本からパリまでが12時間、パリからルーマニアまでが3時間ほどかかる遠い国です。
ルーマニアというとまず思い浮かぶのはドラキュラ。ちょっと暗く寒そうなイメージを抱いてしまいがちです。訪問した7月は日本と同じ夏でしたが、ギリシャ方向からの熱風で気温は30℃を超えていたにも関わらず、湿度が低いため日本よりも快適に感じました。しかし、昨年の夏は40℃を越えた日もあれば、冬は-20℃にも達する日もあり、かなり厳しい気候のようです。
現在はEU加盟国であり、共和制をとるルーマニアですが、日本では共産主義時代のチャウシェスク元大統領に聞き覚えのある人が多いのではないでしょうか。任期後半は独裁状態となり、衝撃的な最期を伝えるニュースが世界中を驚かせました。1980年代に建設された「国民の館」と呼ばれる国会議事堂は、米国のペンタゴン(米国国防総省)に次ぐ大きさで、部屋数は3千以上、贅を極めたものとなっており、その時代を象徴しています。
今回は建物内を見学することはできませんでしたが、外見以上に圧倒されるそうで、必見です。その正面には、1kmほど噴水が続く道路が走り、両脇に木陰のある、綺麗な町並みが広がります。しかし、元共産党本部の近くの建物を見ると、壁などに弾痕があり、銃撃戦の跡が生々しく残っています。そんなルーマニアですが、一方で大変綺麗なお城があることでも有名です。
今回の訪問場所である、Dacia社のMatrite工場は綺麗な町並みの首都ブカレストから約200km離れたPitestiという小さな工場の町にあります。ブカレストからは(唯一の?)高速道路が通っており、その終点がPitestiになります。
しかし、迎えの運転手さんがほとんど一般道を使用してくれたおかげで、当地の状況をつぶさに見ることができました。砂利道あり、橋が落ちている箇所あり、舗装道路でも路面は悪く穴だらけ、道端には牛が闊歩し、馬車は悠然と走っています。その先には広大な土地が広がっていました。
田舎では、ルーマニアNo.1のDacia社のLoganという車が多く走っています。Dacia社は1966年に設立され、1999年ルノー社が株式の過半数を取得しています。写真のLoganは洗練されたルノーデザインの最新型ですが、数十年前のボロボロな旧型Loganも走っています。ある事情でそんな旧型に乗車することになりましたが、車内にはガソリンの匂いが充満しているなど、年代を強く感じることができました。バイクは路面状態が悪いためかブカレスト市内以外はほとんど目にすることはありませんでした。
訪問先のDacia社のMatrite工場は、現在、新しい工場を建設中で、来年1月末頃に完成予定とのことです。地震はほとんどない国ですが、現地の方は「国内の建物は震度7まで耐えられる」と豪語していらっしゃいました・・・。オフィス内では男性も女性も半々ぐらいでしょうか。共産主義時代の男女平等の労働事情がこの辺りに表れているのかと思われます。
ところで、外国に行って、最大の関心事の一つが、食べ物。鶏、豚、牛肉を焼いたもの、スパゲティーやピザ、乳製品を使ったものなど、ルーマニアの食べ物は、日本人の味覚に合っていると思います。純粋なルーマニア料理は牛の胃袋を煮込んだ「チョルバ・デ・ブルタ」などのスープ、ロールキャベツを煮込んだ「サルマーレ」、肉を焼いたものなどがあります。ただし、日本の感覚であれもこれもと次々に注文してしまうと、ボリューム満点ですので食べきれない量がテーブルに並んでしまうので注意が必要です。お酒もビール、ワインはもちろん、プルーンを発酵・蒸留させたツイカと呼ばれる地酒(焼酎に近い)があり、どれも美味しいものです。問題は、飲み物が出るまで15分、それから料理が出るまで30分なんて店もありますのでご注意を。声を掛けると「すぐに行きます」と言っている言葉(おそらく)が「チョットマッテテネー」と聞こえます。
仕事はお陰様で無事に終えることができましたが、色々と問題もありました。仕事をする上で苦労したことは、まずは時間です。時差は-6時間(夏季)、ルーマニアの朝が日本の昼になります。日本との連絡をいち早くとるために、連日かなり早起きをしていました。また、現地はサマータイム期間中で、担当者が早く帰ってしまうため、かなり無理を言って残業していただきました。
次に言葉です。相手はルーマニア語で、こちらは日本語。お互いたどたどしい英語で会話していました。(それがかえって良かったのかもしれませんが・・・)
もう1つが仕事の進め方です。例えば、ある作業手順について、日本人ならばポイントだけ書いて進めていくところを、現地の人は一つ一つ細かく指示していないと何もしてくれません。仕事の進め方の違いを強く感じさせられました。その他にも様々な問題が起こりました。同行したメンバーから、「座っていた椅子が汗で変色している」とも言われながら(元からです。決して、問題が起きたからではありません)、様々な問題に奮闘する日々でした。そんな中、ご支援していただきました関係者の方々には、大変感謝しております。これからも工場の立ち上げがスムーズに運ぶよう、サポートしてまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
(プロダクションエンジニアリング部 課長SE 鍬間 直樹)
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