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DIPROニュース

2010

5月号

2010.05.10

3次元データ活用が広がり始めています!「コンピュータグラフィックス(CG)用 3次元データ作成」

CG業界について

完成したカタログ用CGデータ
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完成したカタログ用CGデータ

E-グラフィックスコミュニケーションズ
株式会社

【拠点】
東京(銀座、三鷹)、名古屋、大阪、福岡

【主要業務】
広告全般(広告、PR、SP、
展示会などイベント他)、
印刷・製作全般、
電子メディア
(Web、CADデータによる画像の製作、
3Dアニメーションの製作)

コンピュータ技術の発展は豊かなCG表現を可能にしました。その表現が豊かになるに従って、CGの活用シーンはますます拡大しています。最近では、仮想未来を現実と見まがうばかりの3Dイメージによって作られた映画が注目を集めたのは記憶に新しいところです。また、テレビや出版物、ホームページ上のバーチャルショールームや駅の電子看板など、私たちの身近にも3Dイメージが利用されたコンテンツが増え、目に触れる機会が多くなっております。

「データ衝」を標榜する弊社は、あらゆる場面で3次元データの有効活用を模索してきました。その新たな試みのひとつに、CG業界での3次元データ活用があります。

この試みにご協力いただいたE-グラフィックスコミュニケーションズ株式会社様(以下、E-グラフィックス様)は、CG業界でもいち早く3次元CADデータをベースにしたデジタルコンテンツやカタログ製作に着手され、現在も3次元データ活用に積極的に取り組まれています。

今回E-グラフィックス様と、CADデータからCG用のデータを作成する機能を共同開発した結果、E-グラフィックス様の作業を単純化し、CGデータの品質精度を向上させることができました。その取り組みについてご紹介させていただきます。

カタログデータ作成業務の課題

加工前3次元データ
加工前3次元データ

製品データ(CADデータ)をもとにCGデータを作成するには次のようなステップが必要となります。まず、製品データに対して、「不要データの削除」を行います。次に、「データ仕分け」を行い、必要な形状データだけにまとめます。その後、形状データに対して、目的に合わせ、データを作成し直し、最後に背景への製品データ埋め込み、光源設定などを行い、CGデータを作成します。

E-グラフィックス様とのお話の中で、これらの業務ステップに、課題となる部分、特に、以下の3点が大きなポイントということが確認できました。

課題①:
製品データが大きく、CG用のソフトで扱えないサイズのため、データを分割する必要がある。そのうえ、分割したデータごとに、不要データの削除、データの仕分けが必要となり、その作業に本来のCGデータ作成業務同等以上の工数を費やしている。

課題②:
形状データが分割されて作成されるため、構成情報や属性情報の付加、制御が難しい。そのため、お客様先からの仕様変更や形状変更などが発生した場合、何が変更されたのか、変更部品の特定にかなりの時間を要している。

課題③:
お客様との画面イメージの検討、打ち合わせに使用するデータを作成するまでに、前述のような作業を踏まなければならないため、打ち合わせ時期が遅れる傾向にある。さらに、検討の結果、修正が発生した場合は、一からデータを作成しなければならないため、大きな手戻りが発生している。

ツール適用後の効果

このような課題に対し、以下3点の機能をE-グラフィックス様と共同開発しました。

機能①:
大規模CADデータをダイレクトで取り込み、表示させる機能

機能②:
CGデータ作成に不要なデータを、自動、半自動で削除可能な陰面処理機能

機能③:
CG系ソフト用中間フォーマットへエクスポートするCGエクスポート機能

ツールを実際の業務に適用いただいた結果、E-グラフィックス様に高い評価をいただけるものとなりました。

効果①:
製品データを、分割せず、取り込めるようになり、製品データの分割、およびデータの組み合わせ作業が不要となった。また、不要データの削除、データ仕分け作業回数が減り、前処理の効率化を図ることができた。

効果②:
製品データを一度に読み込むことが可能になったため、形状データに構成情報を付加することができた。また、名称などの属性情報を付加することが可能なフォーマットを採用したことにより、設計変更が発生した場合、変更部品を特定する時間を短縮することができた。

効果③:
確認用データ作成までの工数の大幅な削減により、クライアントとの最終確認で、修正が必要になった場合の手戻り工数を激減することができた。

以上の効果から、構図検討までの工数を大幅に削減でき、結果として、仕上げ作業に十分な工数をとることができました。さらに、構図検討までの工数が削減されたことにより、お客様との最終確認を早期に行うことが可能となり、修正時の手戻り工数も最小限に抑えることができました。

今回E-グラフィックス様にCG業界が持っている課題を抽出していただき、その課題に対し、弊社が長年にわたり内製CAD・Viewerの開発で培った技術力によって、解決の糸口を見つけ出すことができました。また、製造業に広がる「試作レス」の影響範囲がいかに広いかということと、新しい領域でもお客様のお役に立てる余地がまだまだあるということを改めて認識した取り組みでもありました。

景気の先行きが見えない今だからこそ、弊社は、お客様の要望・課題を明確にし、お客様といっしょに解決し、目に見える効果に変えることに、尽力させていただきます。さらには、今回開発した技術をベースに新製品の開発を進め、2010年度中に発表させていただきたいと考えておりますので、その際は本紙上でご紹介させていただきます。

(技術ソリューション部 二見 広明、営業部 井澤 陽司)

  • ※掲載されている車両(または、その一部)の画像は、E-グラフィックスコミュニケーションズ株式会社様のご提供によります。
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