最近、自動車業界で「ISO26262」という言葉を耳にされる方も多いのではないでしょうか。一方でISO26262とは何かを十分にご理解されていない場面に多々出会うことがあります。そこで今回、ISO26262とは何か、そのインパクトやITツールの役割として何があるのか、そして弊社のご支援内容を、以下にご紹介いたします。
車両開発の中で、安全な車載用電子機器を開発するために有効である開発手法や管理方式を体系化し規格としてまとめたものが「ISO26262」です。この規格の生い立ちは、品質規格(ISO9001など)、環境に関する指令(有害物質:ROHS指令など)をベースに、原子力発電の機能安全より生まれた電機業界一般向けのIEC61508の安全目標と安全策やAutomotive-SPICE(組み込みソフトウエア開発の標準プロセスモデル)の運用方法を活用して出来ているものです。その特徴を述べると以下の3項目となります。
本規格は車載用電子機器を開発している企業(自動車会社、協力会社)のすべてが対象となっているものです。適用においては、以下を実現することが要求されています。
現状における自動車産業界の構造を鑑みると、適用においては、自動車会社と協力会社を含めた全体としての取り組みが必要で、関係各企業はそれなりの組織・体制を構築しなければなりません。
一般的には以下のステップで導入していきます。
ITツールの役割としては、大別して2つの種類があります。
まず1つ目は、業務に直結した使い方があります。具体的には、制御モデル/プラントモデル開発や組み込みソフトウエアそのものの開発などへの適用です。例えば、制御シミュレーションツールと制御モデルとの連携を行うITツールなどがあります。
2つ目は、機能安全に関する成果物の構成管理とトレーサビリティーを実現し、運用するシステムがあります。この運用システムでは成果物を管理するため、既存のBOMシステムやCADデータ等の管理で活用させているPDMシステムと密接な関連を持つことが必須となります。その視点から見ると、PDMシステムとして存在させることが重要であると考えております。
お客様がISO26262の要件を確実にご理解いただくことから、具体的な業務改善のご提案まで幅広くご支援させていただきます。
(*1) FIT/GAP分析
お客様の現状業務プロセスの成果物や管理手法を、ISOの要求している成果物、管理手法と比較させていただき、ギャップを洗い出します。
ISO26262は、2011年夏頃正式に発行される予定です。自動車メーカー様をはじめ、サプライヤ各社様では、この規格に準拠した業務の仕組みやシステムを構築すべく活動を開始されていると思います。ISO26262適用における不明点や疑問点などございましたら、ぜひともDIPROをお役立てください。
(第一エンジニアリングサービス部 シニアコンサルタント 今井 守)
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