2011年1月より出荷を開始しておりますNX最新バージョンについて、先月号でご紹介しました「設計編」に引き続き、今回は「解析編」をお届けいたします。
NX 7では解析についても様々な機能が強化されています。モデル作成から解析結果評価に至る一連のCAEプロセスを大幅に効率化し、CAEモデル作成の生産性向上を実現しています。ポスト処理に関しても、比較結果の追加機能やビームの任意断面での結果表示が可能となるなど、設計検討に関わるより多くの情報を可視化することで、効率的な設計環境を実現します。
また、マルチフィジックスソリューションを拡張することにより、新たに弾性体を考慮した機構解析や、耐久性解析が利用できるようになり、より実際に近い解析が可能になりました。
以下に、強化された主要機能についてご紹介いたします。
シミュレーションナビゲータの表示改善や、属性による自動色分け表示など、CAEモデルの作成プロセスで多用される機能が強化されています。また、薄肉部品のメッシュ作成、ビームとボルトのモデリングを支援する新しいモデル作成ワークフローが提供されるなど、作成効率が大幅に向上しています。
まず、シミュレーションナビゲータ機能の改善です。従来はメッシュタイプごとの表示しかできませんでしたが、タイプに関係無く材料や物性の使用状態を容易に確認できるように「材料ビュー」、「物理プロパティビュー」が選択できるようになりました。その他にも座標系と領域のノードが追加され、管理が容易になっています。複雑な大規模モデルを取り扱うケースでも作業性を向上させています。
次に薄肉部品モデル作成において使用される、中立面作成機能とエッジステッチ機能が強化されています。中立面作成機能ではダイアログが再設計されるとともに、作成に関わる機能が独立したアイコンパネルに集約されており、操作性が向上しています。機能面でも従来は形状が壊れたり接続性が保てなかったようなケースにおいても成功率が向上しています。また、エッジの自動ステッチ機能が追加され、モデル内のフリーエッジとフェースに対して一括して実行できるようになりました。ジオメトリの選択の手間が大幅に軽減されるとともに、形状変更にも追従するため、薄肉部品での初期モデリング時間の短縮や、形状修正のメッシュモデル変更時間の短縮に貢献します。
ビームメッシュ作成のワークフローについては、要素のソリッド表示や、断面方向の設定方法の改善、スケッチ断面の割り当てが可能になるなど、断面の設定が簡単になるとともに、視覚的にもモデルが正しく作成されていることを確認しやすくなりました。
ボルト結合のモデリングプロセスでは、従来W/S径で穴回りを固定させようとした場合、モデリングに切り替えてフェースを分割する必要がありました。NX 7では、円形インプリント機能が追加され、femファイル内で直接円形エッジが作成可能なため、ファイル切り替えの手間が無くなり、作業性が向上しています。ボルト結合モデリングに関しては、一連の操作を集約して自動化されています。穴ジオメトリを使用した簡単なマウス操作で作成が可能となっており、ボルト締結を多用したアセンブリモデルにおいて大幅な作業効率の向上が図られています。
以前からNXを核に各種CAE機能の強化と連携が進められてきましたが、NX 7では弾性体を考慮した機構解析や耐久性解析が可能となっています。
NX Motionに新しく追加されたフレキシブルボディを使用することで、機械的な整合性を考慮した解析が可能です。従来の剛体のみのモデルでは、部品のたわみの影響などを考慮できませんでしたが、NX 7では弾性変形と剛体の動作を組み合わせた忠実度の高いモデルでの検討が可能です。急な衝撃や動作変化などの条件を評価したり、メカニズムの性能や耐久性に与えるコンポーネントの変形による影響までも考慮することができます。
疲労解析機能が拡張されています。従来の疲労解析機能をウィザード化した疲労解析ウィザードに発展しています。また、熟練ユーザー向けにはAdvanced Durabilityが導入され、静荷重や過渡荷重、2軸応力、ノッチ効果などがサポートされています。まずは疲労検討を簡単に行いたいというユーザーから、高度な検討を行うユーザーまで幅広くご満足いただけます。
流体(CFD)と熱解析では、混和性のある気体を含む混合気体や回転、および無回転流など、複雑なシステムのモデルを作成するための新しい機能が用意されています。相対/絶対圧力、およびせん断解の流体オブジェクトのトレースや3次元流体の結果が可視化されるなど、流体システムの動作を直感的に把握できるようになりました。
アドバンスシミュレーションのNX Nastranソリューションシーケンスの中から主なものについてご紹介します。
SOL107、および110を使用した直接複素固有値解析がサポートされました。サーボメカニズムや回転システムの安定性の評価に使用できます。さらに、SOL200の最適化解析がサポートされたため、アドバンスシミュレーションから最適化の煩雑な設定が可能になり、簡単に、より最適な設計検討を行うことができます。また、NX Nastranフレキシブル・ボディ・ソリューションもサポートされており、NX Motionとともにご使用いただけます。
この他にもNastran、Abaqus、およびAnsysの超弾性材料モデルが新たにサポートされているため、非線形材料を取り扱うユーザーは、より高度な性能検討を行うことが可能となっています。
今回ご紹介した機能の他にもNX 7では操作性を改善し、製品開発の生産性を向上させるため、多くの機能が追加、拡張されています。NX 7は単なるCAD/CAM/CAEツールではなく、製品の開発からリリースまでの総合的なプロセスを支援することができるように考慮されたシステムです。進化を続けるNXを安心してお使いいただけるよう、弊社サポートセンターもサービス品質の向上を図ってまいります。
設計内のモデリング作業に留まらず、様々な場面での時間短縮に貢献する新しいNXをぜひともお試しください。
(DIPROサポートセンター)
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