8月下旬にリリースを予定しておりますNXの最新バージョン「NX8」についてご紹介いたします。
NX8ではNX Nastranを含め、CAE機能が大幅に強化されました。また、製品設計に対する機能強化としては、さらにパワフルで効率的なモデリング機能、製図機能、検証機能に加え、より適切な意思決定を支援するHD3Dの機能が拡張されています。
NX 8のHD3Dは操作方法の改善やビジュアルレポート、解析ツールの拡張など多くの機能が拡張されています。ビジュアルレポートでは、あらかじめ設定されたレポート数と対象範囲が拡張され、より簡単にレポートを作成、カスタマイズすることが可能となりました。
また、設計検証ツールも強化されており、設計者が製品開発目標を理解し実現するのに役立ちます。NX 8の検証機能では、フロー・リスト、ビジュアルタグ、InfoView、ツールチップ、およびシースルー表示モードなどの標準的なHD3D機能により、視覚性に富んだ、より柔軟なフィードバック環境が提供されています。それらの環境は、問題を迅速に特定、診断および修正し、製品が確実に規格に準拠し、設計要件を満足できるようにします。
ビジュアルレポート
設計検証
NX 8では新たにパートモジュールという考え方が取り入れられています。このパートモジュールにより、複雑な設計を独立した自己完結型の機能エレメントに細かく分割できます。独立した機能エレメントに分割して設計することにより、複数の設計者が並行して設計作業を進めることができます。また、分割した設計要素は体系化された構造で管理することができるため、再利用や再配置、設計変更および更新が容易になります。
シンクロナス・テクノロジーを搭載してから4回目のリリースとなるNX 8ではモデリングの柔軟性が向上し、使いやすさと変更のしやすさがさらに強化されています。これにより、履歴のないモデル修正について今まで以上に幅広い修正・変更が可能となっております。
今回、追加・拡張された機能について、いくつかご紹介いたします。
ヒストリモードで「断面を編集」コマンドが利用可能になり、定義した断面の再利用性が向上しています。NX 7.5までの「断面を編集」コマンドでは定義した断面はそのコマンド実行時のみ利用可能で、コマンドを終了した際に定義した断面は残りませんでした。NX 8ではヒストリモードで「断面を編集」コマンドを利用することにより、定義した断面が履歴として残るようになりました。そのため、同じ断面を再度利用して形状変更する際の手数が削減されます。また、定義した断面に拘束が付加できるため意図した形状変更が可能となります。
「フェースの移動」「同一平面上にする」などのコマンドによるフェースの変更では、曲率が連続した、より高品質な延長サーフェスを得ることができるようになりました。また、「同一平面上にする」「長さ寸法」「フェースの置換」などのコマンドでパート間オブジェクトを選択できるようになり、ほかの部品への参照やリンクを使用したモデリングを簡単に行うことができます。
最後にブレンドの再オーダーについてご紹介いたします。NX 8では新たに「ブレンドの再オーダー」コマンドが追加されました。これにより履歴のないモデルであってもブレンドの実行順を変更することができるようになりました。
この他にもシンクロナス・モデリングのコマンドを利用してフェース修正を行った際に作成されるサーフェス品質の向上や、フェースを削除した際にソリットボディをシートボディに変更するか否かを制御する「修復」オプションの追加など、幅広い変更に対応する機能の追加・拡張がなされています。
(第一エンジニアリングサービス部 沼田)
ジオメトリ機能とCAEプリプロセッシングの統合が強化され、ジオメトリの編集プロセスが容易になりました。例えば、多角形ボディの高解像度化や、シートボディの穴の抑制などの解析モデリング用のジオメトリ編集機能が強化されています。また、品質を視覚的に確認しながら要素修正が可能となるなど、操作性の改善も図られています。
その他にも、設計者の構想をアシストする最適化の機能や、大規模モデルに対応する新機能が追加されています。
トポロジーの最適化を設計の早い段階で行い、設計者がその構造を設計のヒントとして使用することで、より短時間で最適な設計案に到達することができます。あるコンポーネントの設計領域に、荷重条件を設定し最適化計算を行うと、軽量化を考慮した構造が出力されます。出力された結果はダイレクトに3D形状データとして取り込むことが可能です。
最適化後の形状
トポロジー最適化のプロセスイメージ
外部スーパーエレメントを使用した、システムモデルの構築、解析、およびポストの一連の処理がアセンブリFEMを使用したGUI環境で、容易に行うことができるようになりました。外部スーパーエレメントとは、方程式の数を減らすこと(縮体化)により、計算時間を減らすことができる機能です。例えば、ある部品に着目して解析を行うとき、その部品が取り付くアセンブリをスーパ-エレメント化し計算することで、計算時間を減らすことができます。加えて、ジオメトリの簡略表現機能により、モデルの詳細を他社に開示したくない場合に、セキュリティ面のメリットがあります。
並列プロセスによる流体解析の実行が可能になりました。分散メモリ並列(DMP)コンピューティングで、大規模な計算流体力学(CFD)シミュレーションを多数のプロセッサに分散させることで、解析時間を10~20分の1に短縮できます。
今回、ご紹介いたしました機能の他にもNX 8では、お客様の声を基にした多くの機能が強化、拡張されています。NX 8に関する詳細、またはご不明点などございましたら弊社までお問い合わせください。
(デジタルコンテンツサービス部 課長SE 布袋田)
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