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DIPROニュース

2014

7月号

2014.07.10

CAEへのデータ書き出し自動化による形状 / 性能連成評価システム

弊社が新たに開発しました、製品開発の前倒しに効果的な、形状と性能が連携したシステムのご紹介をさせていただきます。このシステムは、現在自動車OEM様を始めとする複数のお客様にご利用いただいております。

システム化の狙い

近年の地球環境保護に対する関心の高まりにより、自動車の製品開発においても、形状のコンパクト化による重量の低減や更なるエネルギー効率の向上が求められています。これにより設計者は、よりコンパクトでかつより良い性能要件を満たすために具体的な解の組み合わせを何度も繰り返し検討する必要に迫られています。

下記に自動車の製品開発プロセスの現状について例を示します。

自動車の製品開発プロセスの現状

従来の方法では、1Dの性能解析をもとにCADでモデリング,レイアウト検討し、各種(流体、構造、振動)性能の確認を順次行い、何十パターンもの検討を繰り返した後にようやく最良の解を見つけ出すことができます。しかしこれでは、膨大な工数と期間が必要になります。

そこで今回ご紹介する新たに開発した手法では、レイアウト検討と各種性能解析を同時進行させることにより形状と性能の最適解を短期間で見つけることができます。

新たに開発した手法

特にレイアウト検討に必要な、形状のキーになる寸法をエクセルとNXのスプレッドシート機能によりパラメータ化し、形状変更をする度にCADのメニューを開いて寸法を手動で入力するという煩雑な作業を省くことができます。

システムの特徴と操作の流れ

今回、コンプレッサーの外形形状の変更と、それによる基本性能の影響を、より具体的なツールの機能と併せてご紹介します。

まず、過去の実験結果及び設計性能を左右する形状定義数値をエクセルを使って入力します。エクセル入力して出来るパターンデータ数の論理的制限はありません。

入力データ毎にCADデータを自動作成します。(表示も可能)

オリジナルのNX形状履歴をエクセルと連携させ、お客様独自のメニューを作成
オリジナルのNX形状履歴をエクセルと連携させ、お客様独自のメニューを作成

その作成したCAD形状はパラメトリックに変形(モーフィング)することが可能です。

エクセル入力して自動で作成したパターン形状
エクセル入力して自動で作成したパターン形状(赤字部がポイントになる数値領域)
NXのデータ履歴を利用して自動で空間形状(中子)
NXのデータ履歴を利用して自動で空間形状(中子)

出力したCADデータは解析で読み込めるフォーマットに自動出力されます。その際、構造解析又は流体解析に必要な中間フォーマット(STEP,PARASOLID等)にわけて作成され、同時に自動作成されたフォルダーに格納することができます。

今回開発したシステムを適用することにより、コンプレッサーの基本性能に大きな影響を与える、パイプや本体の長さ、外径の変更をNX 3Dモデルでの外形形状、中子形状変化に自動的に反映することができ、その形状を用いた構造解析、流体解析に直ちに結びつけることができます。

従来、解析結果を見てはCADに戻って形状の変更を手作業で修正するという作業が必要でしたが、性能に影響する数値を複数(パターン毎)入力して形状作成、解析することにより検討作業の効率化や時間短縮に非常に効果のあるシステムになっております。

弊社ならではのNXの使いこなし技術と高い解析技術を組み合わせた本システムをご活用ください。

本誌掲載の画像は、弊社作成イメージ画像です。

(デジタルコンテンツサービス部 シニアエキスパート 平木文夫)

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