自動車や重工業のお客様を中心に活用されているハイエンドCADとして、Dassault SystemsのCATIA V5があります。同社のPLM製品のENOVIA SmarTeamなどで、このデータ管理をされているお客様も多いと思いますが、共有フォルダでデータを持ち回って運用しているというお客様も多数あるようです。
多様なCADとの密連携を得意分野の一つとしているTeamcenterは、CATIA V5のデータ管理にも対応しており、今回はこれら製品の組み合わせにより、業務効率の改善に成功された日野自動車株式会社様の事例をご紹介します。
日野自動車様は、製品開発において2005年より車両系ではCATIA V5、ユニット系ではPro/Eを活用してこられましたが、CATIAはワークファイル(共有ドライブ)上でのデータ管理を行ってこられました。同社の製品「トラック」は車型のバリエーションが多く、レイアウト検討にも膨大な作業工数がかかります。また、ワークファイルの運用では「コピーが増える」、「最新データの把握が難しい」、「CATIAのリンク切れが多発する」などの問題や非効率な作業が発生していたとのことです。
これらの問題を解決する糸口として、PDM製品の導入を検討し、数社の製品比較をした結果、Teamcenterを選定されました。
「最新の正しいデータをいつでもどこでも必要な人が見られる環境を目指し、Teamcenterを導入しました。バリエーション管理はもちろんのこと、従来からPDMで実施したかったモジュール構成のデータ管理まで、Teamcenterに対する期待は大きいです。CATIAとTeamcenterという異なる製品群の組み合わせで、色々苦労はありますが、CATIA V5のデータ管理で苦労している同じ境遇の会社は多いと思っています。一緒に取り組んでいただける仲間を増やし、環境改善に拍車を掛けたいと思っております。」(宮下様)
PDM製品に期待する要件をまとめ、設計作業でPDMを活用する場合における63のチェック項目を作成しました。その項目に従い、各社のPDM製品の検証を行いましたが、様々な課題も見えてきたのが事実です。Teamcenterにも課題がありましたが、他のPDM製品よりは高い評価となりました。
「他のPDM製品は業務で必要な機能はあるが、製品として安定性・操作の煩雑さなどいくつかの問題点がありました。Teamcenterはレスポンスの面で課題がありましたが、他社導入実績や製品サポート体制などを考慮し採用することになりました。」(山田様)
開発中車種でのPDM活用効果を得るために、システムの短期立上げを狙いましたが、実施上では様々な問題が発生しました。PDMを意識した業務運用を定義したり検証する必要がありましたし、PDMに投入しても問題のない様にCADデータを修正する必要もありました。Teamcenterの製品にも問題があり、幾つもの修正を行いました。当初は半年程度で号口を迎えることを予定していましたが、実際には大きく延伸し、1年と3ヶ月をかけて、無事に号口を迎えることができました。
Teamcenterを活用することで、「設計中のCADデータを車両搭載位置で見える」、「車両のレイアウト設計担当と装置設計の担当が協業できるようになった」などの効果が出てきました。これ以外にも、ワークファイルで運用していた時の問題が解消したということは、大きかったと思います。
2012年7月に号口を迎えたTeamcenterのシステムも、新しい車両への適用拡大が進められています。また、将来は後工程でのデータ活用やCADデータ以外の管理なども進めて、更なる業務改善に活用される方向です。
「CADデータと設計情報一元管理の実現へ向けて、今後の製品の性能改善や機能追加に期待しています。デジタルプロセスさんには、今後とも弊社業務に最適な運用提案にご協力をいただきたいと思っています。」(千嶋様)
弊社では、これまで同様にお客様の期待に応えられるよう、パートナー企業とも一致団結して、お客様へのサービスレベル向上に努めていきたいと考えています。
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