DIRPOニュース2021年5月号でご紹介した「歯冠自動設計機能」は、「AICAD」として商標登録申請中です。今回は商品化まであと一歩というところまで来たAICADTMの現状をご紹介します。
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日本最大手の歯科技工所 和田精密歯研(株)様にご評価いただいた記事が「DIGITAL DENTISTRY YEARBOOK 2022」に掲載されました。DIGITAL DENTISTRY YEARBOOKは、歯科のデジタル化の最新情報をまとめた日本デジタル歯科学会監修の雑誌で、年1回5月に発刊されています。
約300ケースでAICADを利用してみた結果、「基本的にはAICADが導きだした形態を変更することは少ない」、「一部どうしても修正しなければいけない箇所に関しては手作業で行うが、さほど時間はかからない」、「対合歯データをどうAIに計算させるかが今後の課題だが、臨床での応用も近い将来必ず実現できると期待する」というご評価をいただきました。
和田精密歯研(株)様にご評価いただいたバージョンでは、対合歯データと干渉している部分を取り除くことしかしていなかったため、結果として下図のように噛み過ぎ(当たる面積が大きい)、噛んでおらず隙間になっているという課題がありました。
歯冠には対合歯に当たる山(機能咬頭)と、当たらない山(非機能咬頭)があります。歯並びが悪くない場合、上顎の歯は舌側の山が、下顎の歯は頬側の山が機能咬頭になります。現在、機能咬頭と非機能咬頭で処理を分けて、機能咬頭は対合歯に程良く接触させ、非機能咬頭は隣在歯の咬頭高さに揃えるという対策を行い、確認・評価を行っています。
この他にも、完全自動化に向けて両隣在歯の自動認識機能(ユーザーが両隣在歯を指示する操作を不要にする)の開発なども行っています。
歯の形、並びは千差万別であり、デザインする歯冠形態も何を重視するかにより正解は1つではありません。AICADでどんな症例に対しても完璧な歯冠をデザインするということはまだ難しいですが、AICADがデザインした形をベースに歯科技工士が微修正をするという使い方でも十分に有効であると考えています。AICADによりデザイン時間を短縮するだけでなく、新人技工士でもベテラン技工士に近い歯冠形態をデザインすることができます。歯科技工業界が抱えている人材不足、長時間労働といった課題を、弊社が培ってきたデジタル技術を活用することによって変革していけるように、引き続き開発に取り組んでまいります。
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