弊社デジタルプロセスは、弊社が開発・販売しているエンジニアリング支援ツール「Space Vertex」V3.5のリリースを2021年秋に予定しております。次期バージョンでは、内突チェック機能や形状検索の属性付加機能などの新機能を追加します。
本記事では、Space Vertexの概要およびV3.5の新機能について紹介します。
Space Vertexは3Dデータを使って設計検討をするエンジニアリング支援ツールです。Space Vertexは、自動車会社で長年利用されてきた内製ソフトウェアであり、お客様業務フローやユースケースに合わせた様々な機能を装備しています。現在は開発から販売まで弊社にすべて移管され「高性能エンジニアリングツール」として自動車会社様始め多くのお客様にご利用いただいています。
3Dデータを扱う代表的なツールとしてCADやViewerがあります。一般的なCADは多機能な反面、大規模データでの検討に不向きというデメリットがあります。一方、一般的なViewerはデータが軽く高速処理ができる反面、お客様業務に即した機能が少なく、検討した結果をCADに戻せないというデメリットがあります。
Space Vertexでは表示速度や読込許容量といった性能面は維持しつつ、お客様業務に即した機能でエンジニアリング業務を支援します。そのため、CADやViewerではできない、もしくは非効率な検討業務の実施が可能です。CADはモデリングに集中的に利用し、それ以外の領域はSpace Vertexを利用することで、運用コストの削減や作業効率の向上を図ることができます。さらに、Space Vertexで検討した結果をCADに戻すことができるため、業務の継続性も維持することができます。
CADに戻せるデータ構造
画像提供:日産自動車株式会社
続いて、次期バージョンのSpace Vertex V3.5でリリースされる機能をご紹介します。
自動車開発では、事故発生時に運転者や同乗者を傷つけないよう、安全基準が守られているかをチェックする必要があります。従来、このチェックはCAD上で手作業、および、目視にて実施され、多くの時間がかかっていました。
今回リリースされる内突チェック機能では、設計者がこのチェックを効率化できるよう支援することができます。これにより、従来に比べ判断時間の短縮につながり、設計者の負担を軽減することができます。また、乗員の安全だけでなく整備の際、手を入れた箇所に鋭利な突起物がないかをこの機能を使いチェックすることで、作業者の安全を守ることも可能です。
Space Vertexの内突チェック機能は以下の2種類です。
対象部品全体に対して、指定した方向にひざモデルを衝突させ、衝突位置の「曲率半径」が指定した条件を満たしていない箇所を自動で検出する機能です。
対象部品全体に対して、指定半径の頭モデル(球)を接触させ、接触位置の「曲率半径」が指定した条件を満たしていない箇所を自動で検出する機能です。
類似形状検索機能では、蓄積された大量の3Dデータの中から、類似形状を高速に検索することができます。この機能を使うことで、企業内に蓄積された過去の3Dデータを効率的に再利用し、流用設計や部品原価の見積もり等に活用することが可能です。
V3.5では、類似形状検索用のデータベースに対して任意の属性を付加できる機能を追加しました。付加した属性は、類似形状の検索結果から確認することができます。これにより材質や原価など、検索結果から形状に関する様々な情報を閲覧でき、より効率的な3Dデータの利活用ができます。
今回紹介した機能の他にもお客様からの声をもとに機能を追加・強化しました。
投影面積機能に、投影した形状の輪郭線を作成する機能と輪郭面積(外周に囲まれた領域の面積)を計算する機能が追加されました。
CATIA V5 R30、Captureに対応しました。
詳細は製品ホームページをご覧ください。Space Vertexはこれからも3Dデータでの設計業務を支援していきます。今後もエンジニアリング支援ツール「Space Vertex」にご期待ください。
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