会社名(英文社名) |
株式会社ニデック(NIDEK CO., LTD.) |
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本社所在地 |
愛知県蒲郡市拾石町前浜34番地14 |
設立 |
1971年7月7日(創業日同年8月8日) |
代表者 |
代表取締役社長 小澤 素生 |
従業員数 |
1,628名 役員・顧問除く |
資本金 |
4億6,189万円(非上場) |
事業内容 |
眼科医向け医療装置、眼鏡店向け機器、コーティングの加工 |
(2020年3月末現在)
医療・眼鏡店向け製品
株式会社ニデック様は、目に関する病気の治療や検査、診断に必要な機器を開発・製造する「医療分野」、快適で高品質なメガネづくりの支えとなる機器を開発・製造する「眼鏡機器分野」、メガネレンズのコーティングや液晶画面の反射防止膜、光学部品にコーティングをおこなう「コーティング分野」の3つの事業に取り組まれ、眼科医療の発展に貢献されています。
同社では、2012年に開発部門にてCOLMINA デジタル生産準備 VPS Standard(以下VPS STD)を導入して以降、活用の幅を広げていき、生産技術領域でも全社標準ツールとして使っていただいています。VPS STDを利用してバーチャルデザインレビューや組立手順書などの帳票を作成しています。2017年にはVPS GP4も導入し、工程検討を詳細化して動線改善や人と機械の協調ラインの検討も行っています。
本稿では具体的な取組事例として①VPS STDを全社標準ツールに根付かせる取り組み、②VPS STDの活用事例、③VPS GP4を利用した工程設計についてご紹介します。
3DITツールは、導入をすればすぐに誰でも使えるというものではありません。運用ルールの策定や操作の習得が必要になります。そのため、導入当初は専任者を設けてVPS STDオペレーションを集中利用されていましたが、部内方針が変わり、生産技術部のメンバー全員がVPS STDを利用できる環境にする取り組みをはじめました。
まず運用ルールとして、VPS STDを使わないと業務が回らない状況を作りました。操作習得に関してはテキストとテストを作成し、1グループ(4名ほど)の単位で30名程に教育しました。教育には1ヶ月の期間を設け、座学で説明したあと、月末にテストを実施します。テストでは主体的にVPS STDを使ってもらいたいという観点から、自作のカンペに限り持ち込み可として対応しました。少し間が空いて操作を忘れた時も、自作のカンペを見て思い出してもらいたいという思いもありました。こういった地道な活動からVPS STDを全員が使える環境が構築されました。
VPS STDを利用して、組立検証、工数算出、帳票作成に取り組まれています。組立検証の際にはVPS STDの機能を使って効率よく進めています。組立構成編集モードを利用することで直感的な操作で組立順序を作成し、一括生成機能を利用してアニメーションと視点を作成しています。また、工具のデータを69種類用意しており、1,800種類もの工具設定ルールと組み合わせることで締結部品のほぼすべてに工具の情報を割り振ることができます。この工具付きアニメーションを利用してデザインレビューに取り組んでいます。3Dデータの完成度が高まってくると工数算出も実施します。作業ライブラリ機能と一斉挿入ルールを組み合わせて、60%程度の作業は自動で工数算出ができるようになっています。帳票はVPS STDから出力した情報をエクセルマクロに連携して作成しており、エクセル側では編集を行っていません。VPS STDの情報を正とすることで変更への対応などがスムーズになります。
組立検証の効果として、直近の機種では部品点数約700点の製品で98件の指摘を行い、91%の採用率、部品点数約500点の製品で205件の指摘を行い、89%の採用率、となっています。早期から指摘できていることと、改善案が具体的に提示できるため採用率が高くなっています。手順書作成業務では以前より約50%の工数が削減されました。
VPS STDでは製品を中心に工程設計を行ってきましたが、工場のレイアウト検討などより詳細な工程設計を行うべく、VPS GP4を導入されました。
利用初期段階では、狭い作業室での動線検討にポイントを絞りシミュレーションをしました。2D図面でレイアウト決定間近のものが、VPS GP4を利用することにより、15%程度の動線の改善や、隙間が狭くなる動線を無くすなどの効果が得られました。また、シミュレーションなので色々なアイデアをすぐに試して結果を確認することができました。
続いての活用では、フロア全体の動線シミュレーションも実施し、新製品の生産エリアの確保と9%の動線改善を実施しました。このレイアウト検討では複数案を作成して検討会を行うなどしています。
また、設備導入にあたっては、最適なレイアウトにするため、山積み表を利用してマンマシン検討を行いました。動線検討から各作業と工程の細かいデータ作りを実施し、データ作成ではサポートセンターも活用して複数案を作り、決定まで至りました。
VPS STDを業務に根付かせる活動は進んできましたが、さらなる適用範囲の拡大を推進していただいています。
別ツールを利用して作成しているパーツリストをVPS STDだけで作成する運用に変え、VPS STDで作成した情報からVPS GP4に連携させ、工程設計の効率化を図ることを検討されています。
VPS GP4はまだ利用できるメンバーが限られていますので、VPS STDと同様に皆が使えるツールにしていただくとともに業務適用範囲の拡大についても推進していきたいと思っています。
DIPROは、VPSファミリー全体を通して業務適用深化を加速されるニデック様を引き続き、強力にご支援させていただきます。
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