デンタルビジネス室では、顎模型をスキャンして補綴物(クラウンなど)を設計する「DORA」システムと、設計した補綴物データを削り出す「WAXY」システムの開発、製造、保守、サポートを行っています。今回は、10月に予定しているバージョンアップで提供するDORAとWAXYの新機能をご紹介します。
DORAの付属CADソフトexocadの最新版v3.0をカスタマイズして提供予定です。主な新機能を紹介します。
Googleが提唱する”Material Design”に基づき、より直観的に、効率的に、シンプルにGUIデザインが一新されます。初めて使うユーザーでもこれまで以上に簡単に使い始めることができ、経験豊富なユーザーも違和感を覚えることなくこれまで通りに操作することができます。
世界中の歯科技工士の設計作業を体系的に分析し、設計時間を大幅に短縮できる咬合面の自動変形技術が導入されます。ライブラリーからロードしたクラウンモデルを配置しながらリアルタイムに咬合面を自動変形させることができます。
裂溝の深い若年歯から擦り減って平坦になった老年歯まで、スライダーで咬合面の摩耗具合を調整できるようになります。残存歯の摩耗具合に合った咬合面をこれまでよりも速く簡単に設計することができます。
ブリッジコネクターの遠心、中央、近心3か所の輪郭線を別ビューで編集できるようになります。同時に複数の視点で確認ができるため、より効率的にブリッジコネクターを設計することができます。
抜歯前の顎スキャンデータを基に抜歯後の補綴物を設計する必要がある場合に、ソフトウェア上で仮想的に抜歯することができるようになります。バーチャル抜歯した歯の形を設計に利用することもでき、抜歯後の歯肉の窪み具合も調整することができます。
バーチャル咬合器機能で利用できる咬合器モデルに、Amann Girrbach社のArtexシリーズ、FAG DENTAIRE社のFAG QuickMaster、SAM社のSAM NEOが追加されます。高価な咬合器を購入することなくソフトウェア上で顎運動のシミュレーションを行うことができます。
WAXYで使用するCAMソフトに、下記の機能を追加する予定です。
WAXY Plus 2021年度モデルから搭載された新サーボモーターに対応した加工モードを追加しました。効果が大きいのは WAXファインモードで、従来の半分の時間で加工できるようになりました。その他のハイブリッドレジン、ジルコニアなども概ね10~20%程度の高速化を実現します。
※ 本機能は、対応装置を接続した場合のみ有効になります。
昨年の保険改定で、CAD / CAM冠ブロック材料の分類が追加されました。このため、各CAD / CAM冠ブロックの種類が大幅に増えています。
今年のバージョンアップでは、目的のブロックを絞り込んで表示するフィルター機能を追加します。
昨年にグラデーション前歯ブロック材料に向けて、色彩表現のための上下位置の変更が可能になっています。今回のバージョンアップでは、上下のほか、前後左右への移動を可能にします。ブロックに収まってしまう小さな歯冠を加工する場合でも、左右位置を寄せることで、加工物の切断が簡単になります。
引き続き、歯科技工のデジタル化に貢献できるソフト、システムの開発に取り組んでまいりますので、ご期待ください。
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