富士通株式会社とデジタルプロセス株式会社は、組立製造業のお客様向けに、製品の組立プロセス検討を3次元モデルで支援するデジタル生産準備ツール「VPS(ブイピーエス:Virtual Product and Process Simulator)」の新版を2017年5月31日に発表しました。
今回の最新版では、組立動画作成、設計変更対応機能を大幅に強化し、これまで困難であった設計変更や現場カイゼンにより、常に変化する組立工程データを正確かつ短期間に作成、最新化することを実現します。
VPSはCAD構成を組立順に並び替え、組立動画を作成、作業時間などの工程情報を付加し、BOP情報へと編集できるツールです。今回、作業指示書などで利用するために、分かりやすい視点に自動で切り換えを行う機能や、工程情報を注記として一括で挿入する機能を追加、さらに設計変更反映機能に差分形状表示や色分け機能を追加したことにより、組立工程データを正確かつ短期間に作成、最新化できます。(作業時間を従来比で1/5に短縮)
多種多様な仕様のある製品に対し、全ての仕様に含まれる部品および工程情報を形状情報と共に1つのVPSファイルに集約し、製品仕様ごとに切り替えを行うことができる機能を追加しました。本機能では、指定した仕様の工程情報の表示・出力や組立動画の再生が可能です。これにより、仕様ごとにVPSファイルを作成・運用していた従来の方法と比べ、共通する部品や工程に変更が発生しても、仕様別の全てのVPSファイルを修正する必要がなくなり、データの最新化を大幅に短縮できます。
これまでのVPSはCAD構成を取り込み、組立て構成への編集、工程情報の追加を行うことが可能でしたが、BOM情報を元に組立工程情報を作り込みたいお客様のニーズに応えるために、BOM-CAD割当て機能を追加しました。これによりBOMシステムから構成情報を取り込み、CADから取り込んだ形状情報を割り当てることで、BOMに3次元モデル情報を付加したデータが作成できます。作成したデータは、VPSの持つ強力な構成編集機能により、視覚的・直感的にBOP情報に編集可能です。
VPSで作成した組立手順の動画や工程フロー情報などの組立工程データを生産現場で閲覧するための「製造指示Viewer」を提供します。従来の紙での作業指示書に代わり、ディスプレイ上の動画によってわかり易く作業指示を行うことで、作業者のスキルに依存することなく、効率的かつ正確に組立て作業を行うことができます。「製造指示Viewer」は、カスタマイズにより工具やピッキングシステムと連携させて、作業実績情報をMES(Manufacturing Execution System)に登録することが可能で、IoT化の促進につながります。
生産ラインのレイアウトや工程検討を3次元で検証する「VPS GP4」では、1ラインで複数製品を混流生産する場合に対して、作業待ち時間を含めた評価が可能になり、より現実に近い工程バランスの検討が行えるようになりました。 また季節変動など生産量の変化における作業者人数の変更、複数の人が協力した作業にも柔軟に対応できるようになりました。 仮想ラインを使った事前検証の適用範囲を広げると共に検証精度も高めました。
3次元モデルを元に作成した仮想メカでデバッグを行い、実機がない段階でのソフトウェア検証を可能にする「VPS IOC」では、今回6軸垂直多関節ロボットの姿勢検討を可能にしました。
ロボットメーカーが提供するオフラインティーチングソフト無しで、VPS IOC上で直感的に6軸垂直多関節ロボットの姿勢検討することを可能にしました。ツールチェンジャー機能も装備し、ロボットを含む装置の制御検証を上流から支援します。
VPS の詳細はこちら(富士通サイト)
2017年6月より順次提供予定です。ご不明点につきましては、弊社営業部までお問い合わせください。
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