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DIPROニュース

2018

12月号

2018.12.11

TCAP(Teamcenter Automotive Preset)を活用した開発情報プラットフォームの構築
~ファルテック様導入事例~

会社紹介

株式会社ファルテック様(以下:ファルテック様)は、国内外の自動車メーカーを顧客として、樹脂外装部品、モールディング、ルーフレール、各種電装品、さらにエアロパーツなどの純正用品の設計開発・生産・販売を担うグローバルメーカーです。同社は、変化著しい時代に対応した開発データの効率的蓄積や活用、部門間の協調的連携や海外拠点とのコラボレーション体制強化などを指向し、それを実現するためのPLMソリューションとしてTeamcenterを導入されました。独自の開発情報プラットフォーム『FORCE1(Faltec Original Reliable Corroboration Engine)』を確立し、2018年度から全社運用を開始しており、確かな成果を上げつつあります。今回はFORCE1の適用についてIT企画推進室 室長 成田浩様とグローバル開発部 設計一課 主担 富井真史様にFORCE1適用経緯や導入効果についてインタビューした内容をご紹介いたします。

IT企画推進室 室長 成田浩様
IT企画推進室 室長 成田浩様

グルーバル開発部 設計一課主担 富井真史様
グルーバル開発部 設計一課主担 富井真史様

設計データの相互活用と工程間連携を目指して

ファルテック様は、『ものづくり力の強化とグローバル収益構造の変革』を掲げ、『強い商品の構築・最高品質の追求・グローバル事業基盤の強化』を重点項目の3本柱に設定。その一環として、開発~生産管理~工場を貫く情報連携の加速・強化の必要性を痛感されていました。2008年の導入以来活用してきたPDMパッケージの老朽化が進み、データ活用が図りにくくなっていたからです。さらに業務の発展に対応したさまざまなシステムが林立した結果、システム間相互でデータの分断状況が進んでいったことも悩みの種でした。IT企画推進室室長 成田浩様は、こう説明しています。

「2015年頃から開発系システムの刷新、データ活用性の向上、システム間連携の強化、さらに業務プロセスやルールの見直し、海外拠点との連携強化などを目指した改革を展望し始めました。つまり、ものづくりに関わる各プロセスで必要な時に必要なデータを必要なカタチで利用できる環境を築き、標準手順に基づいて製品開発の上流から下流に至るスムーズな流れを形成しようということです。そこで、新たなPLMソリューションの導入を目指しました」

新たな製品開発情報管理の基盤となるPLMは、開発コストや期間、運用性などをトータルに考え、ゼロベースでスクラッチするよりは、優れたパッケージを導入した方が得策であると判断し、早速、複数の製品を比較検討しました。

「製品としての成熟度が高く多くの実績があり、自動車業界のデファクトであること、基幹CADのCATIAと実績があることなどから、Teamcenterの採用を決定しました。さらに、今後のバージョンアップを含めた中長期的な運用性を考慮。国内ベンダーとして責任をもってサポートしてくれる点を評価して、DIPROを選定しました」

上流から下流に向け3ステップに分けた段階的適用

2016年10月より、表示メニューや部品属性項目、検索メニュー、承認ワークフロー等の基本設定が、自動車業界に特化してプリセットされたDIPROのTeamcenterソリューション『TCAP』を導入。カスタマイズを極力排除しながら標準手順に準拠したプロセスを確立し、導入時の検討項目を最小限に絞り込むことで、製品データ管理の早期立ち上げを目指しました。

ファルテック様は、TCAP環境を基盤にしたTeamcenter導入プロジェクトを実施するにあたり、自社のシステム名として『FORCE1』と命名。2018年3月までに、『FORCE1』に移行することとしました。本プロジェクトは業務への適応性などをチェックする事前トライアル期間を経て、2016年10月からスタート。「できるところから、着実に」という思想のもと設計部門からスタートさせ、以降生産管理部門、工場に至る3ステップの段階的な適用を計画。それぞれ、要件定義3ヵ月/システム設定3ヵ月として部門ごとに適用を進め、2018年4月からの全社適用が実現されています。

本プロジェクトで特徴的なのは、その推進母体として情報システム部門とともに開発部門、生産管理部門、工場のキーパーソンを巻き込んだワーキンググループ(WG)を結成したことです。その狙いを成田様はこう語られています。

「WGには、各部門のキーマンで且つ部門を越えて発言してくれる人を選びました。それぞれの部門内での最適化を図るだけではなく、ファルテック全体として『システムをより良くしたい』という、現場からの貴重な改善要求をFORCE1に反映させたかったからです」

開発部門からWGに参加したグルーバル開発部 設計一課主担 富井真史様も以下のように力説されています。

「WGに参加したのは、各現場で最も忙しい人たちでもあります。しかし、プロジェクトの立ち上げ段階から参加し、自分たちが本当に求める機能や操作性などをしっかり発言することで、システムの質的向上が図れ、逆に稼働後の運用負荷は軽減されるはずです。各部門のリアルな声を摺り合わせることで、より全社的な視点に立った全体最適を実現させようという思いで皆が参加しました」

また、プロジェクト開始当初からDIPROの2名のSEが常駐し、WGへも参加し、ベンダーの視点から無用なカスタマイズの排除など適切なアドバイスを行ったことも、プロジェクトの円滑な推進に寄与しました。さらにファルテック様では社内のデザイン部門の協力で、『FORCE1』のロゴマークも作成。「全社一丸となって改革を進めよう」という気運の高まりを、一層加速させていかれました。

グローバル展開も視野に「FORCE1」を進化させていく

2018年4月から全社展開を実施し、その中で部品情報のマスタ管理、ワークフロー機能による情報回覧のペーパーレス化、エビデンス保持、トレーサビリティの確保などが実現しています。

例えば、車種や部品名称・番号など任意のキーから、求める情報がタイムリーに抽出できる独自の検索クエリの作成なども、今回の大きな成果のひとつになります。開発業務に精通し、業務を横串する視点で標準化を進める役割をもったグローバル開発部 開発統括課は、数ある情報を可視化し、必要なものだけに削ぎ落として効率化を図り、属性値の選定や、さらに効果的な検索を可能にするキーワード設定の最適化などを進めました。

「運用上のアイデアやマニュアルなども、ユーザーの視点から徹底して使い勝手を追求したものになっている、と自負しています」(富井様)

今回『FORCE1』は、1物1部品番号化や設計手配情報の一元管理、製造現場での3Dビューワー活用、出図日程管理などを達成しました。

「これに続く第2ステップとして、実験結果とCAEの分析結果の蓄積、工程管理、品質管理などを今年度中に実現させたいと計画しています」(成田様)

「設計部門でも、自動車メーカーごとに異なる仕様に対応していた手順の統合を図りたいと考えています。現状、数十種管理しているパーツなどを再度棚卸しして、点数を絞り込んでパターン化を図るなど、さらなる業務の合理化や効率化、シェイプアップを図るべき課題はたくさんあります」(富井様)

成田様は「今後ともDIPROの支援を仰ぎながら、『FORCE1』の成長を加速させていきたい」と語られています。ファルテック様では、さらに4~5年先を見据えた第3ステップとして、グローバル展開やMBOM、BOP(Bill of Process)連携への拡張を目指しており、将来への大きな伸びしろを秘めた『FORCE1』は、それら業務改革を加速させるエンジンとして期待されています。

お問い合せ先

TCAPの製品サイト

(第一エンジニアリングサービス部 課長SE 松井)

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