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DIPROニュース

2017

7月号

2017.07.10

Aras Innovatorを活用した品質管理ソリューションのご紹介

はじめに

製品開発のグローバル化、市場ニーズの多様化が進む中、製造業では、効率性や競争力をさらなる高い次元で確立するために、デジタル革新の対応に迫られているお客様も多く、PLMシステムを活用したソリューションの需要が昨今高まってきていると感じています。PLMへの投資は今に始まったわけではなく、これまでも十数年来、CADデータ管理や部品表の統合化などが行われてきました。

昨今のキーワードとして1つ目は「変更管理」です。より複雑化した製品開発において、変更情報を上流から下流へ精度よく伝達する仕組みを再考したいという要望です。もう一つは「トレーサビリティの確保」です。1つ目の変更管理とも密接に関係しますが、ある事象(不具合や変更)が製品に係わるあらゆる情報のどこに影響しているのかを効率的に且つ正確に知るために業務プロセスの上流から下流までのさまざまな情報を関連づけて管理することです。情報を効率的に手繰り寄せる仕組みを設け、製品やプロセスの品質を担保したいというようなご相談をいただくことが増えてきました。

ここにきて、PLMへの需要が再燃した理由として1つ考えられるのは、これまでメカ、エレキ、ソフトウェアという機能の切り口や、設計、生産技術、品証など部門の切り口で夫々に最適なシステム構築を行ってきて、その間のつなぎは専ら表計算ソフトやEメールで補間してきたものの、製品やビジネスプロセスの複雑性が加速度的に増してきました。そのため、既存の仕組みや業務のやり方では各領域間のコミュニケーションが難しくなり、実際にエラーや遅延、製品の完成度に影響も出始めたことで、新たな次元での製品情報管理が求められPLMシステムの再定義が活発化していることがあげられます。

製品開発においてCADデータ管理や部品表などの基幹システムがその中心にあることは変わりないのですが、製品開発、生産準備、生産管理において取り扱う情報というのはこれだけではなく、コストや品質、日程管理、業務基準書類などの様々な情報や成果物を参照し、アウトプットすることで業務プロセスが流れています。表計算ソフトやEメールでの補間業務においては人が柔軟な対応ができますが、標準化、定型化できておらず各領域間の情報をつなぐのを難しくする側面もあります。

昨今では、これまでCADや部品表とは直接結び付けずに、ファイルサーバや個人の端末で管理していたような業務プロセスの情報を標準化し、PLMシステムでBOMやCADデータと統合管理することで、業務プロセス間のトレーサビリティを確保したいというようなニーズが高まっています。

今回ご紹介するAras Innovatorを活用した品質管理ソリューションもそのようなニーズに応えたソリューションです。

設計FMEA

製品設計段階において、製品を構成する部品やユニット毎に故障モードを挙げ、潜在的な事故・故障をリスト化し、影響と原因、対策と実施結果を予測し記入するドキュメントで、Aras InnovatorではExcelライクなユーザーインターフェースを提供し、これらの品質情報を管理することが可能です。

設計品質ドキュメント-入力画面イメージ
設計品質ドキュメント-入力画面イメージ

マニュファクチャリング・プロセス・プラン

マニュファクチャリングプロセス・プランでは、設計BOMからプロセスプランの各工程へ部品を引き当てることでBOPを編集することができます。部品と同様に画像イメージやツール、マシン情報を引き当てることで同時並行的に組み立て手順書も作成されます。作成したBOPより部品情報のみに絞り込んだ情報はM-BOMとして表現され、E-BOMとM-BOMの部品の使用個数や版数の差異を確認することが可能です。

製造プロセスプランを通じたEBOM・MBOMの連携
製造プロセスプランを通じたEBOM・MBOMの連携

工程FMEA

製造プロセスで発生する故障・不良・バラツキ等の現象が、製品に対してどう影響するかを解析し事前に問題点を予測・摘出し対策方法を検討することで製造品質を担保するためのドキュメントです。これは、マニュファクチャリングプロセスプランで構成されたプロセスプランを元に作成することができます。元となる工程は各ドキュメントで共有されているので、共有されている項目は一か所のみ更新することで同時に反映されるため、ドキュメント間の整合性を保つことが可能です。

プロセス品質ドキュメント-画面構成イメージ
プロセス品質ドキュメント-画面構成イメージ

CAPA(是正・予防措置)

製品出荷後の様々なイベント(クレームや監査、製造部門からのFB、等)をトリガーに調査、分析、是正・予防処置情報を一元管理する仕組みです。設計変更情報や各種品質ドキュメントと品質計画という切り口で統合管理することで、情報のトレーサビリティが確保され、欲しい情報を容易に手繰り寄せることができるようになります。

CAPA(Corrective Action & Preventive Action:是正措置・予防措置)画面構成イメージ
CAPA(Corrective Action & Preventive Action:是正措置・予防措置)画面構成イメージ

上記のような品質情報管理の仕組みは、部品表やCADとは別システムとして導入していたり、表計算ソフトなどを利用して業務を行っているお客様も多いと思います。これらの情報をPLMシステムへ統合し部品表や製造工程プランと関連付けて管理することにより、製品仕様の変更に伴う影響をBOMやCAD領域だけでなく製造工程や品質情報との関係を効率的に把握できるようになり、さらに過去の類似製品でのトラブル情報や対策などのノウハウを再利用することが容易になります。効率的且つ革新的なモノづくりを支える高度な製品情報管理の実現に寄与することで、お客様の競争力向上、魅力的な製品造りにつながると考えています。

Aras Innovatorのようにオープンアーキテクチャを採用したソフトウェアは、お客様の業務に合わせて柔軟にカスタマイズできる仕組みを備えています。これらオープン性、柔軟性を最大限に活かした短期間でのシステム構築が可能となりました。弊社はAras Innovatorを活用したPLMシステム構築においては、国内では早くから取り組んでおり、システム構築のノウハウと経験のあるエンジニアを有しております。ご用命の際は、お客様の期待に応えられるよう努めてまいりますので、お困り事などございましたら是非一度ご相談ください。

Aras Innovator の詳細はこちら

(PLMソリューション部 次長システムズエンジニア 毛利)

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