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DIPROニュース

2005

2月号

2005.02.10

SPIEより最優秀論文賞を受賞

SPIE(the Society of Photo-optical Instrumentation Engineers)より、2004年12月、最優秀論文賞2004を戴きました。受賞したのは、第一開発部部CSE鈴木建彦です。鈴木は大阪大学大学院三好研究室Taeho Ha助手とともに昨年10月フィラデルフィアにて開催されたSPIE Optical Eastにて、「超曲面校正法を用いた高精度オンマシン3次元計測」と題する論文を発表しました。これが最優秀論文として評価されたものです。なお、SPIE Optical Eastは規模が大きく、今回は同市カンファレンスセンター内の27会場で光学計測関係の最新技術が発表されています。

弊社第一開発部のCAMグループは、金型製作用素材をインラインで計測し、現場で現物にあったNCデータを作る方式を、従来から提案しています。それに必要な高精度高能率な計測機が市販されていないので、非接触型計測機の開発に取り組んでいました。CAMグループは,2000~2003年度に経済産業省「デジタルマイスター」プロジェクトに応募し,中核技術の一つである非接触計測システムを開発しました。今回の論文は,このために開発した計測データの情報処理の新手法を論文にまとめたものです。

計測技術はアプリケーションに大きく依存します。金型のインライン計測における最大の課題は、工作機械の座標系で非接触型の計測を行い、現場の機械加工に耐えられる絶対精度を保証することです。ここでは、対象物上の2点を異なるものとして認識する「分解能」がまず要求されます。

また環境温度・計測機脱着に対応するときの誤差が加算されるので、「系統誤差」を抑える必要があります。例えば、優秀なレンズでも0.1%程度の歪曲収差を生じます。したがって、光学モデルを作りそれに近づけると言う従来からの方法では、特に今回のような投影と受光の二つのレンズをもつ場合、歪み除去は極めて実現が困難です。

弊社第一開発部CAMグループは、データ処理技術でこれに対処できないかと考えました。光学モデルを用いずに、実際の計測データのみを参照して計測値を得る方法にすれば、歪みなどの系統誤差は格段に小さくなります。

計測機の校正は計測ボリューム全体に対してなされ、校正データは3次元的です。3次元的な校正データを保存し、取り出す仕組みとして、CADで使用する自由曲面の技術が利用できないかと考えました。ただし、曲面は3次元空間中の2変数(2次元)のデータです。そこで、今回は4次元空間中で3変数(3次元)のデータを作ればよいことになります。これは数学では超曲面と言われます。テンソル積曲面の理論を拡張し、次元を一つ増やしたシステムで実現しています。このアイディアと実装・実現がSPIEで評価されたものです。

論文としてまとめた鈴木は次のように語っています。「弊社は計測機の光学設計もできるようになり、計測も分かるようになってきました。また、世界の計測の専門家に先駆けて新しい方式の計測データ処理手法も生み出す力もついてきました。今後は、CAD/CAMのみならず計測の分野でも情報処理の切り口で、お客様のシステム作りのお手伝いができれば幸いです。」

(第一開発部 部長 森 博己)

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