5月1日に開幕した上海万博も10月末の閉幕まで残りわずかとなりましたが、上海万博に行かれた方も多くおられると思います。私も7月上旬の日曜日に中国のお客様と一緒に行ってきましたので唯一入場できた日本館を中心にご紹介します。
9時の開園に先立ち、30分前に入口に行くと日曜日と子供の夏休みと重なってか既に大勢の人が列を作って待っていました。9時前でも並んでいるだけで汗が吹き出てくるほど大変暑い中での始まりです。開園と同時に人気のパビリオンはすぐに長蛇の列となり、10時には5~6時間待ちとなるほどです。日本館は、人気のパビリオンであることや、中国館と同じAゾーンの入場門近くにあることもあり、あっという間に長い列ができるという状況です。やはり、人の多さは半端でないと思うと同時に地元中国の人の多さが目立つのも経済発展の裏付けとも感じました。
各パビリオンは5年前の愛知万博以上にユニークな造りとなっており、それぞれの特徴がわかりやすいことも印象的でした。その中でも特に日本館は、(ズーツァンダオ:紫蚕島)という愛称が付けられており、紫色を基調にした蚕の繭を連想するような外観となっています。全体として高貴さと未来に向かって成長する期待感を表現しています。
上海万博の日本館は、日本政府だけでなく企業を含め官民一体となった出展で多くの中国の人たちに日本をアピールできるようにしています。
* 弊社の親会社である富士通㈱をはじめ多くのお客様も日本館の協賛企業となっています。
日本館は、より良い都市、より良い生活という上海万博全体のテーマの下、日本と中国そして世界が未来に向けてつながっていくことを体験できるように大きく3つのZONEから構成されています。
まず、ZONE1では遣唐使の時代を中心に、日本の文化が中国の文化と交流しつつ発展してきた過程をCGにより動く絵巻の中を歩いているように思わせる工夫がなされています。
ZONE2では、四季の自然や日本文化の紹介とともに水資源問題や環境問題の解決に向けた日本が誇る多くの先端技術(エコカー、有機EL照明、燃料電池、水処理など)のゼロエミッションタウンを強調する展示がされています。
ZONE3は、日本と中国が協力して保護活動を行っている「トキ」をモチーフとして里山を舞台としたプレショーと中国の昆劇と日本の能を組み合わせたメインショーの2つのショーで未来技術と心のつながりの大切さを訴求する内容となっています。プレショーでは、愛知万博でも展示された未来型パーソナルモビリティの「i-REAL」をはじめ未来カメラの「ワンダーカメラ」や介護・医療・家事などを支援する「パートナーロボット」、壁と大型テレビが一体化した「ライフウォール」などを通じて「心のつながり」を育む未来技術が演出されています。
メインショーでは、日本の伝統的な木造の演劇空間の中で、昆劇と能のコラボレーションによるミュージュカルショーを通じて、「自然の大切さ」「未来の地球を思う心のつながりの大切」を実感させる内容となっています。一緒に行ったお客様(中国人と欧米人)からも、「日本の和の心と先端技術がみごとに調和された内容で未来に向けて、より自然と人の大切を実感した」という感想をいただきました。
日本館の他に日本産業館(合同出展型)などもあり、日本の多くの方が参加しています。328ヘクタールといった広大な敷地面積を誇る上海万博を全て見学するには、かなりの時間を要するとは思いますが、ぜひ行かれてみてはいかがでしょうか。なお、上海万博の開園時間は、9時~24時までとなっていますので、人が少なく、幻想的な夜景が楽しめる夜間に行かれるのもお勧めかと思います。上海万博は、2008年の北京オリンピックに次いで中国でのビッグイベントとして近代中国を象徴するかのように鉄道や道路などのインフラも整備・充実され、凄い勢いで発展し続けていることも実感できます。
最後になりますが、多くのお客様も中国とは無縁と言えない状況になっている中で、弊社も微力ながら中国PLMビジネスを通じてお役に立てるように順次、進めて参りますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
(名古屋事業所長 川見 昭)
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