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DIPROニュース

2011

1月号

2011.01.10

新しい年を迎えて ~ 多様性から新たな未来を ~

代表取締役社長 山田 龍一
代表取締役社長 山田 龍一

明けましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。

本年も引き続きお引き立ていただきますようお願いいたします。

さて、昨年12月恒例の2010年の漢字として選ばれたのは『暑』でした。確かに昨年の記録的な猛暑はさすがに体に堪えました。しかし、一転この冬は大雪とのこと、一番身近な環境条件である寒暖の差が極端であることに対応していくのはなかなか大変なことです。一方、経済環境も2007年までの上り坂から、2008年後半から2009年にかけての急落、そして2010年の緩やかな回復(あるいは踊り場)と変動の荒波が続いてきました。異常気象という言葉もだいぶ聴きなれたものになってきましたが、景気の変動についても、『百年に一度の世界的景気後退』と言われた割には、何となく緊迫感が薄れてきたような気もしています。巷では、よく使われてきた(日本の)『失われた10年』という言葉に対し、いつの間にか『失われた20年』という言葉が使われていたりします。慣れというのは怖いもので『ゆで蛙』の喩えを思い起こしてしまいます。古くから言われていることですが、年が改まるという節目に、こうしたことについて面と向かって現状を見直し、改めて考えてみるというのも価値があると思います。

視点は変わりますが、企業の環境適応力を考える上で昨年後半に気になった二つの話題に触れてみたいと思います。

一つ目は、9月に名古屋で開かれた生物多様性条約締結国会議(通称CDB/COP10)です。メディアの報道では、新薬開発をはじめとする遺伝資源の扱いや所有権について、先進国と開発途上国間での駆け引きが大きくクローズアップされていました。しかし、そうした生臭い議論の一方で、科学的には生物多様性の本質的な価値は、環境の大きな変動に対し多種多様な種あるいは遺伝子構成が組み合わされ淘汰されることで適応していけることとされています。コメをはじめとする農作物で気候の変動や虫害・病気に強く美味しい品種への改良は古来、そうした環境にさらされ残ったもの同士を掛け合わせることで実現させてきました。前提となるのは、元々あった多様性です。企業も厳しい環境の変化に適応し、生き残り進化していくためには、その中に色々な形で多様性を持っていなければならないと思いますし、これだけ変化の激しい時期にあって、特に人の多様性が重要と感じています。

二つ目は、今春の新卒者の就職戦線を巡る話題です。文部科学省の発表では今春の新卒者の就職内定率は昨年10月1日現在57.6%と、調査が開始された96年以降最低の水準にあるとの事です。

その他、就職活動のために留年を選択した学生も大変多いとの調査も出ており、まさに氷河期と言える厳しい状況です。しかし一方で、有力な企業で外国人社員の採用枠を増やすという動きが報道されています。特に、伸長著しい中国市場を念頭に中国人社員の採用を増やす企業も多いと言われていますが、直近の大市場中国へのビジネス展開を念頭にそうした施策をとっていくのも当然かと思います。しかし、これも視点を変えてみると、こうした動きにより国内の社員構成を結果的に、多国籍な、多様化されたものにしていくことにつながると捉えることもできます。従来『和を以って貴し』を是に、どちらかといえば均質さを大切にしてきた日本の企業にとっては結構なインパクトですし、波風も起こすかもしれません。しかし、今後の環境を考えると、そうした多様性のもたらす強い適応力は大きな意味を持つと思います。

足元を見てみると、弊社の外国人社員の比率は今春には4%を超える見通しです。出身国をみても7カ国ですし、男性あり女性ありと多彩なメンバーです。勿論、こうしたメンバーに出身や語学を活かして海外ビジネスで活躍してもらうことも重要ですが、そうしたある意味で異質な人材が加わることにより、日本人社員を含め組織が活性化すること、あるいは、異なる文化をバックにした意見の交錯が、新しい発想を生み出していくことで企業としての環境適応力を強めていければと考えています。

こうした観点に立つと、女性の活躍や、シニアの経験活用等も合わせたいわゆるダイバーシティ(多様性)の重要性を改めて考えさせられますし、積極的に多様性の持つ強さを発揮させていきたいと考えています。

今年も、いわゆるエネルギーシフトを中心とした新技術開発・商品化や開発部門を含む海外展開といった流れは一層スピードを上げていくと思います。見通せない要素の多い状況の中で、弊社としましては、製品や技術はもとより、こうした多種多様な人の持つ強さを組織の強みとし、お客様の多様なご要請に対し、積極的にお応えしていきたい、そして、日本の製造業の更なる飛躍の一端を担っていきたいと考えております。

重ねて、本年もお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。

 

(代表取締役社長 山田 龍一)

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