本稿では、弊社が長年BOMシステムおよび周辺システム構築において培ってきたノウハウを活かした「DIPRO仕様組合せ支援ソリューション」のご紹介をさせていただきます。本ソリューションでは、設計者が商品仕様に基づき部品仕様を検討する作業を強力に支援することを狙いとしています。
「高速な仕様組合せ計算」、「複数アイデアの履歴管理」、「高度な検討支援機能(マトリックス形式、絞込み)」を具現化しており、部品仕様の品質向上や検討作業の改善、迅速化に大いに貢献できます。
一般的に、商品の成長・成熟に伴って、顧客(市場)からの商品への要求は多様化していきます。また、他社商品との競合優位性を確保するための差別化戦略も必要になってきます。これらの個別要求に応えるために、従来、メーカーは市場や商品シリーズごとに、都度、最適な部品・商品を造りこむ傾向にありました。このようにして、メーカーは市場でのシェアを獲得・維持・向上させてきましたが、一方で開発・設計・生産だけではなくアフターサービスまでも含めて、膨大な「似て非なる部品」を維持管理しなければならないという新たな問題に直面しています。
また、周知の通り昨今は、市場のグローバル化によって競争が激化しており、競争力を確保するためには部品の種類数を抑えて、多くの商品シリーズで部品を共用する設計標準化の重要性も高まっています。
標準化設計では、あらゆる要求に対応可能な標準部品を設計することになります。これを実現するためには、あらゆる要求、つまり、商品仕様をあらかじめ抜け漏れなく十分に検討しておくことが非常に重要となります。
商品開発においては、「少ない商品モデル・部品種類で数多くの顧客要求に応える」が設計の目標になります。図1は、BOM関連業務フローとして仕様(商品、設計、販売)の流れを示しています。
商品企画部門は、商品仕様として、次の3項目を設定します。
設計部門では、機能(Function)毎に、上記の商品仕様に基づき、以下の設計作業を行います。
ただし、商品仕様項目にあまり複雑性がない機能(部品)の場合は、「組合せ計算」と「部品仕様検討」の作業を逆に行うこともあります。つまり、設計者自身の設計作業結果(組合せ結果)の抜け漏れを確認するために、組合せ計算を行うこともあります。
部品設計では、その機能に関連する複数の商品仕様項目を抽出して、その仕様内容(値)を直交表的に組合せて、最終的には部品共用化(標準化や機能のワイドレンジ化など)を行い、部品仕様を決定します。
図2は、仕様組合せ計算の入力情報である仕様適用表と制約条件、出力情報である部品適用表の関係を示しています。
この例では、設計対象の機能を「エアコンシステム」とし、その関連する商品仕様項目として「エアコン/クリーンフィルター/バッテリー」の3つを抽出しています。エアコンの仕様値としては、「マニュアル/オート」の2種類が設定され、同様にクリーンフィルターでは3種類、バッテリーでは2種類が設定されています。これにより、論理的には組合せが2×3×2=12通りとなりますが、制約条件と設計標準化により4通りの部品バリエーションに統合化(共有化)されています。しかし、部品により、この仕様組合せの件数は増大します。
例えば、トラックのカプラー部品の場合は17,000通り(最終的には約2,000通り)となることもあり、人手による管理は到底不可能な値となります。このように仕様組合せの件数は、数十から数百以上になる場合が一般的であり、その組合せ計算時間も数時間から十数時間以上におよびます。部品仕様の検討作業では、この仕様組合せ計算を数回繰り返しながら設計品質(商品仕様を抜け漏れなく織り込む)を高めることが非常に重要です。しかしながら、組合せ件数の多さおよび計算時間の長さに起因して、複数アイデア(複数条件による組合せ計算案)の比較、検討作業は困難を極めているのが現状です。
仕様組合せ支援ソリューションは、図3に示す機能群とデータ群から構成されます。単体システムとしても活用できますが、既存の商品仕様管理システムやEBOMシステムなどと連携して総合的に活用することにより、さらなる効果が期待できます。
本ソリューションでは以下の機能をご提供しています。
図4、図5は画面例(実施例)を示しています。
図4は、仕様組合せ計算の結果である仕様組合せ一覧(Spec Combination List)の例です。
これにより、抜け漏れなく商品仕様を簡易に管理することができます。
図5は、図4の部品仕様を設定モデルに適用した部品適用表(Function Application List)です。
本リストはマトリックス形式で表現されており、部品仕様の設定モデルへの織り込み状態や漏れを視覚的に管理することができます。
このように、仕様組合せ支援ソリューションは、設計者の部品仕様を検討する作業を強力に支援することができます。本ソリューションの主な特長は以下となります。
弊社では、ご紹介した「仕様組合せ支援ソリューション」をはじめBOMフレームワークをベースにBOMおよびBOM周辺ソリューションを提供させていただいております。まずは、ご相談からで結構です。お気軽にご用命いただけると幸いです。
(技術ソリューション部 志村)
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