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DIPROニュース

2012

8月号

2012.08.10

世界一が三つ - 歯科技工を革新する高速ワックス加工機「WAXY」の開発

去る6月20日から22日の3日間、東京ビッグサイトで行われた「設計・製造ソリューション展(DMS展)」併催の「医療機器開発・製造展」に弊社デンタル事業室から出展し、新たに開発した超小型・軽量・低価格で高速加工が可能な歯科用ワックス専用加工機「WAXY」を発表いたしました。

WAXY 外観
WAXY 外観

従来の歯科用CAD/CAMシステムは、多数を占める小規模の技工所にとって高価で導入しにくく、また導入した場合は、主に収益性の高い高価な自費診療の補綴物(セラミックス製のクラウンやジルコニアコーピングなど)を製作するために利用されてきました。しかし日本における自費診療の比率は、件数で僅か3.9%(金額では12.5%)にすぎないため、CAD/CAMシステムが歯科技工作業全体の効率化や自動化に果たす役割には限界がありました。

一方、現在、日本で生産されている技工物の大半を占める保険医療向けの技工物は、歯科技工士が手作業で製作しています。そこで、保険対象の技工のなかで、最も重要で熟練を要する“ワックスアップ”作業の自動化を目指し、専用加工機とCAMの開発に取り組んで参りました。そしてこのたび、全く新しい機構の加工機とCAMシステムとして「WAXY」の発表・展示を行ったものです。

パラレルリンク機構
パラレルリンク機構

「WAXY」はワックス加工に特化することで、“安価な高性能加工機の実現”を目指した全く新しいコンセプトの加工システムです。そのため、主に組み立て作業用のロボットとして使われているパラレルリンク機構を敢えて加工用として採用しました。パラレルリンク機構は、精度を出すのが難しく、切削加工機用としては次世代の技術といわれているほどです。しかしこの難しい新技術にチャレンジし、このたび精度・剛性などの課題を解決し、ワックス専用機として、

『世界最速加工』
『世界最小』
『世界最軽量』

の3つの世界一を実現することができました。もちろん小規模技工所でも導入可能していただけるよう、加工機の常識を超える低価格化にも成功しました。

医療機器開発・製造展の様子
医療機器開発・製造展の様子

数々の新機構を盛り込んだ「WAXY」は展示会場で歯科関係者の評判となり、クチコミで評判を聞いて訪れる技工士の方々が日ましに増え、お陰様で大盛況となりました。「こんな機械を待っていた」、「すぐにでも購入したい」、「若者から人気のない最近の歯科技工業界も近代的で魅力的な職場になりそう」といった嬉しい意見を寄せられました。

今回の展示を通して、歯科医療に真に役立つCAD/CAMシステムが待ち望まれていることや、業界内でのクチコミの早さに改めて驚かされました。これからも歯科医療・歯科技工の発展に貢献できるよう一層の努力をして参りたいと思います。


(デンタル事業室 原)

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