航空機・自動車・建設機械業界などにて広くご活用いただいておりますDIPRO VridgeRの最新バージョン「DIPRO VridgeR V4」(以下 V4)を2月よりリリースいたします。
V4は、サプライヤー様向けに新コンセプト「データ衝ビューワ」を掲げ、3D図面の適用を進める機能を実装しました。また、大規模データを扱うお客様向けに大幅な性能の向上を図りました。
ここでは、それぞれの内容についてご紹介いたします。
自動車・電機業界では3D図面が本格化し、3Dデータの活用が急務になっています。
自動車工業会(JAMA)の調査結果によりますと、自動車メーカーの3D図面の適用率は2010年時点で72%となっており、2012年までには80%の業務で3D図面が適用できると発表しています。
また、電子情報技術産業協会(JEITA)では、3D単独図を新しい情報伝達方法とし、2010年4月に3D単独図規格を発行、電機業界・精密業界はもとより関連業界へ3D単独図の展開を推進しています。
しかし、3D図面適用には、いくつか課題があります。
これらの課題に対して弊社は、モノづくり工程で「何を」「どう見たいか」を徹底的に追求し、エンジニアリングの意味を読み解き可視化することを目標に、ビューワの領域における新コンセプト「データ衝ビューワ」を掲げました。
「衝」は、“中心”や、“要(かなめ)”を意味し、「データ衝」とは、「デジタルデータを要として、コンピュータ上の仮想的な世界の中でモノづくりを進めることにより、市場ニーズに合った製品を正確に、早く創ることを実現しよう」という考え方です。
「データ衝ビューワ」は、3D図面だけでエンジニアリングチェーンをつなげ、プロセスを成立させることを目標としています。従来のビューワは、3D形状とアノテーション(文字・図形)を可視化します。現行のDIPRO VridgeRでは、業界別・企業別アノテーションまで可視化対象としていましたが、「データ衝ビューワ」はさらに、デジタル基準でモノづくりに必要となる形状特徴や、エンジニアリング的に意味のあるアノテーションを、技術者が必要とする形で可視化します。
今回のリリースでは、まず、自動車サプライヤー様向けの初期検討業務に有効な機能を実装しました。ここでは、この中から形状特徴を可視化する機能についてご紹介いたします。
今までは、断面機能を駆使して計測すべき特徴線を手作業で抽出し、計測機能で計る作業を繰り返していましたが、「データ衝ビューワ」では検討したい形状に対して、切断条件パラメータと任意の方向を与えるだけで、切断可否結果を可視化することができます。この機能により簡単に問題箇所を検出することが可能となり、プレス方向の検証作業が楽に行えます。
今までは、計測する穴の中心や軸を手作業で作成し、計測した値から技術者が判断していましたが、「データ衝ビューワ」は、設計者が指示した穴情報を穴として認識しているため、指定方向に対して指定角度以上傾いた穴や、穴間の距離が指定長さ以下の穴の検出、また、ピンの干渉も簡単に検出することができます。
このほか、「スポット情報(関連スポット・関連板組部品)」、「インバース面」、「断面線展開形状」や「指定範囲の面積」などを可視化することができます。
今後、さまざまな業界や適用シーンへと拡大し、各業務において技術者が必要な情報を必要な形で可視化していきます。「データ衝ビューワ」では、作業時間が半減され、若手や海外の技術者でもベテラン技術者と同じ品質で業務が行えるようになります。これが「データ衝ビューワ」が生み出す3Dの新しい価値です。
V4の特徴は、「データ衝ビューワ」だけではありません。大規模データを取り扱っている航空機、建設機械業界のお客様よりご評価いただいている高性能プラットホームを刷新し、さらには表示性能の高速化と各機能の処理速度の向上を行いました。
ここでは、表示性能の高速化と、干渉チェックの処理速度向上についてご紹介いたします。
大規模フルアセンブリデータを読み込めるだけでなく、表示も高速に行えます。V4では、現行バーションと比較して表示性能10倍の高速化を達成しました。これにより、今までできなかった複数仕様、複数仕向地のデータを同時に読み込み、検討することも可能になります。また、素早く検討箇所に焦点を合わせられるので、技術者の思考を妨げません。
V4の性能向上は、表示性能だけではありません。干渉チェック機能や、形状比較機能など処理速度の向上を行いました。
例えば、干渉チェック機能では、現行バージョンと比較して20倍の性能を達成しています。8,000部品の総当たりチェック(6,400万通りチェック)を、30秒という圧倒的な速さで行うことができます。
これにより、今まで夜間バッチで行わなければならなかったチェックも、即結果が得られることでリアルタイムに干渉箇所を確認し、その場で解決することができます。
さまざまな業界、さまざまな領域で3Dデータの適用が拡がり、属性情報が付与されています。V4では、3Dデータの適用が拡大されても、効率的に業務が進められるよう、モノづくりに必要な属性情報を、技術者がほしい形で表現する機能をお客様と共に開発し、実装いたしました。また、形状の詳細化により爆発的に膨らんだ3Dデータに対して、今まで以上に軽快に活用していただけるよう改善を行いました。今回ご紹介しましたV4に関する詳細、または、ご不明点などございましたら、弊社までお問い合わせください。
V4 リリースに先立ち、1月16日~18日に開催されます「第1回 クルマのITソリューション展」に出展いたします。 (詳しくはDIPROニュース2012年12月号をご覧ください)
是非「DIPRO VridgeR V4」の進化した性能や、「データ衝ビューワ」が生み出す3Dの新しい価値を体感ください。
(技術ソリューション部 二見)
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