MENU

DIPROニュース

2023

3月号

2023.03.10

治工具 / 設備を含めたデジタル工程設計の
取り組み

はじめに

昨今の製造業、とりわけ生産準備領域を取り巻く環境として、混流ラインを前提とする多品種少量生産や自動化の推進、品質の向上などモノづくりへの要求はますます複雑化しています。

一方で生産準備業務では、現場、現物、及び紙の図面(2D図面)や量産に関わる多種多様な帳票(EXCEL)を用いた検討が主流であり、モノづくりへの要求が複雑化している現状において、人の知識や労力に頼った業務には限界が来ています。

こうした背景から、デジタル化の推進は急務であり、弊社では、帳票ではなくデータで仕事をすることでデジタルツールを活用した情報の一元化、また3Dの分かりやすさを活用して、生産準備業務に携わる皆様の想像力を引き出すことが重要であると考えています。

製品設計 3D CAD
PDM/BOM→試作・生産準備 量産に関わる検討で多種多様な帳票を用いており、整合性をとるのに苦労している→量産 IoT活用、自動化推進スマートファクトリー
図1:試作・生産準備業務の現状イメージ
※クリックすると拡大します

生産準備業務における3D活用

弊社では、生産準備業務の様々な領域でお客様業務を支援する製品を扱っています。図2は、製品企画・見積から製造に至るまでの主だった生産準備としての検討項目に、弊社の取扱い製品をマッピングしたものです。

3Dデータを活用することで現物レス、現場レスで検討を行うことが可能となり、3次元データに対して動きの情報を付加することで、これまで図面や帳票などで机上検討していた工程検討を高い精度で行うことができます。また、現場のカイゼン活動においても、3Dデータを用いた仮想環境で検証を行うことによって、カイゼン効果を事前予測できるため、改善案の妥当性を判断する方法としても活用できます。

企画・見積→製品設計→工程計画→設備設計→生産準備→製造
図2:試作・生産準備業務への弊社取り扱い製品マッピング
※クリックすると拡大します

近年では、生産準備領域の個別の業務をデジタル化し、業務の効率化や検討精度の向上、検討期間の短縮などの効果をあげているお客様も多いかと思います。しかし、個々の業務に合わせてシステムを導入しただけでは、得られる効果には限界があります。

システムの導入によって個々の業務では効果を得られますが、一方で対象となる業務ごとに、必要な情報の収集やデータの加工などを行い、インプット情報を準備した上で検討する必要があります。また個々の業務がデジタル化されていても、業務間でデジタルデータが繋がっていなければ、情報の整合をとらなければならなくなるため、業務を繋ぐ部分がボトルネックとなります。

弊社は、これら個別の業務を3Dでつなげる、という視点で業務全体を俯瞰し、3Dデータを衝、かなめ、とすることで更なる業務効率化に繋げられると考えています。

2D・EXCEL利用(製品設計は3D定着しているが生産準備は2D)→3Dデータ活用(業務ごとに個別で3D活用)→3Dデータ衝プロセス(生技全体で3D活用)→つながる工場(現場データと3Dデータをつなぐ)
図3:生産準備領域の3D活用ステップ
※クリックすると拡大します

治工具 / 設備を含めたデジタル工程設計の取組み

弊社が提供する生産準備業務の製品を活用した3Dデータ衝プロセスの取組み事例を紹介します。 下図は、組立領域の工程設計支援ツール『COLMINA デジタル生産準備 VPS』(以下VPS MFG)を軸として、治工具・設備設計に特化したCAD『COLMINA 設計製造支援 iCAD SX』(以下、iCAD)と生産工程の作業シミュレーション『COLMINA デジタル生産準備 VPS GP4』(以下、GP4)をつないだイメージです。

軸となるVPS MFGで量産に必要となる製品、工程、作業手順、品質、治工具・設備などの情報と3Dデータを一元管理することで、多種多様な帳票で整合性をとる手間を削減することが可能です。更に、VPS MFGの外部ファイルリンク機能を利用して量産で使用する治工具、設備の3Dデータと紐づけることが可能です。異なるツールで作成した各種データもこのようにリンク機能で紐づけておくことで、サーバ管理で必要な情報にたどり着くのに時間が掛かるといった問題の解決にも繋がります。また3Dデータを活用することで設変による治工具の更新の必要性も視覚的に確認でき、更新漏れによる手戻りを削減できます。

VPS MFGで検討した工程設計情報は、連携機能を使用してGP4に渡すことが可能です。GP4に渡す情報は、組立手順や工数、品質、治工具情報に加え、3Dデータになります。更にGP4データで設備ライブラリを構築しておくことで、VPS MFGで管理している設備情報や構想レイアウト情報をもとにGP4上に自動で配置できます。このような連携機能は、自社で開発しているアプリケーションであるため可能となっています。この弊社の強みを活かし、今後もお客様の業務効率化に向けた各種機能の開発に努めてまいります。

COLMINA 設計製造支援 iCAD SX→COLMINA デジタル生産準備 VPS→COLMINA デジタル生産準備 VPS GP4
図4:組立領域のデジタル工程設計の取組み
※クリックすると拡大します

COLMINA デジタル生産準備 VPS の詳細はこちら
COLMINA デジタル生産準備 VPS GP4 の詳細はこちら
COLMINA 設計製造支援 iCAD SX の詳細はこちら

業務の流れは、一般的にシーケンシャルなイメージで描かれることが多いですが、実際の生産準備業務は、製品開発部門、品質部門、設備部門、製造部門など多くの部門が関わりながら、最適な工程になるように推進されており、様々な業務を同時並行で進めていることが多いかと思います。

弊社が考える3Dデータ衝プロセスのあるべき姿は、上記取組みのように循環するつながりです。

まとめ

上記でご紹介した取り組みは、標準機能を活用した事例です。3Dデータ衝プロセスの実現には、他にもバリエーションの管理や設変情報のトレーサビリティ、工数算出などお客様ごとに様々な課題があります。

弊社には、生産技術の各領域で様々な支援経験を積んだエンジニアが在籍しています。お客様の関心事に合わせて最適なメンバーを人選し、お客様と共に生産準備領域の3Dデータ衝プロセスの実現に向けて取り組んでまいりますので、ぜひ一度弊社にご相談ください。

【関連記事】

生産技術業務のデジタル化に向けたコンサルティングサービス [DIPROニュース2021年10月号]

GP4・Plant Simulation連携のご紹介 [DIPROニュース2022年9月号]

BOPの構築による生産準備業務のDX推進

お問い合わせ先

製品・サービスに関するお問い合わせ
(プロダクションエンジニアリングサービス部 課長SE 伊東)

TOP