「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA デジタル生産準備 VPS(以下、VPS:ブイピーエス)」の新バージョンを7月にリリースしました。今回はVPS MFGに着目し、3Dデータ上で工程情報の作り込みを行うための最新機能についてご紹介します。
VPSは、設計から製造に至るプロセスをデジタルデータで繋ぎ、工程設計 / 仮想検証 / 作業指示などの業務を支えることで、生産準備のDXを推進しています。ここでキーとなるのが3D-BOP(注1)です。工程情報をデジタルなBOPデータとして管理し、BOPデータを作り込む際に3Dデータを最大限活用する、そのような考え方が3D-BOPのコンセプトです。
工程設計を進めていく中で、納期の短縮、複雑な生産方式への対応、高度な品質管理への要求など、様々な課題に取り組まれていることと思います。3D-BOPを運用にのせることで、生産準備業務を早い段階から高い精度で、わかりやすく、効率的に進めていくことが可能になり、様々な課題解決に貢献できると考えます。
VPS MFGの新バージョンでは、この3D-BOPというコンセプトの実現に向けて、3つの狙いで機能強化を行いました。
以下、それぞれの狙いについてご説明いたします。
工程情報の作り込みをスピードアップするためには、効率的にデータ入力できることが重要です。そのために、必要な工程情報を少ない操作で入力するための各種支援機能を新たに設けました。工程ツリーの表示列を切り替える書式設定、入力値を絞り込む選択候補設定、表形式で必要な行だけ表示するフィルタリングの機能など、多数追加しています。これらにより3Dデータと工程データを集約したデジタル情報を効率的に作り込んでいくことが可能になります。(図1)
さらに、作り込みスピードアップのためには、データ作成をうまく分業することが重要です。まず、複数の作業フローを別々の担当者が並行して作り込んでいくための機能を強化しました。これにより他のメンバーと作り込み作業をうまく分業することができるようになります。従来は自分が編集するためには他の人の編集が終わるのを待たなければならなかったのに対して、今回からは同時並行で編集できるようになるため、完成までの時間を大きく短縮できます。また、他部門の作ったデータをうまく活用するため、設計部門で入力したPMIの注記や寸法線の情報をVPS MFGで活用するための機能も強化しました。(図2)
実際の現場で行われる作業をなるべくそのまま表現できるようにしたいと考えています。従来VPSでは、製品組立作業を表現する機能が中心でしたが、今回、製品組立作業だけでなく、部品交換などの保守作業を表現するための機能を強化しました。また、現場にある台車など3Dモデルが用意されていないものを表現する補助形状機能、現場作業を写真で指示するための機能、同じ部品に対して工具を使い分けるケースなど現場レベルのきめ細やかな表現に対応するための機能を強化しました。(図3)
3D-BOPを運用にのせるためには、データの信頼性が重要です。誤りのないデータを作成できるようにすると共に、そのデータを他システムへ正しく伝え、他システムのデータも正しく取り込めるようにする必要があります。今回、ファイルの上書きミスや誤消去を防ぐための機能を強化しました。さらに他システムとデータを確実に連携できるように、各種データ入出力機能を充実させ、データ連携用のユーティリティツールを各種ご用意しました。これらにより、データの信頼性を上げると共に、様々なシステムと連携したトータルソリューションをご提案していきます。(図4)
また、データの信頼性を確保するためにはデータ自体の質を向上していくことが必要です。データのどこを改変したのか判りやすく示して関係者と共有し、レビューによる指摘やそのフィードバックを適切にデータに反映していくことで、関係者のノウハウを集約した質の高いデータを作り込んでいくことができます。今回そのための機能として、工程ツリー / 製造フロー / 表形式にマーキングする機能を搭載しました。(図5)
以上、VPS MFGの新バージョンV15L24の代表的な機能強化内容をご紹介しました。ここでご紹介した以外にも、様々な機能追加・操作性改善を行っております。VPS MFGは、ビジュアルでわかりやすい3D-BOPを実現することで、生産準備業務のDX推進に貢献して参ります。VPS MFGをお使いいただくことで、製品の迅速な市場投入および生産性と品質の向上に寄与し、お客様の更なる企業価値創出に貢献していきたいと考えております。今後ともご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。
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