Space Vertexの起源は、自動車会社で長年鍛え上げられた内製エンジニアリングツールです。そのため、業務フロー / ユースケースに合わせた各種機能を装備し、細かい使い勝手まで考慮したインターフェースや、機能間の連携にも配慮されています。現在も自動車会社をはじめ、さまざまな製造業のお客様と共に進化し続けています。
Space VertexはCAD・Viewerでは困難な設計技術検討・生産技術検討を効率よく行うことを狙いとしています。
Space Vertexは、ISO国際規格の3Dフォーマット(JT)と高い互換性があり、形状はもとよりPMI・属性情報を損なうことなくデータを流通させることができます。また、CADと同じ精度の形状データ(B-REP)を持つことで、Space Vertexで検討した結果を、CADに戻し編集もできるため、業務の継続性を維持できます。
※クリックすると拡大します
Space Vertex の最新バージョンV3.6を2022年9月にリリースいたします。
本記事では、最新バージョンの代表的な新機能について、ご紹介いたします。
「ホース挿入作業性チェック機能」は、組立工程においてホース挿入時に必要な力、及び作業者の手を入れるスペースが確保できているかを評価する機能です。ホース形状・コネクタ形状・周辺部品形状の3Dデータを読み込み、作業位置・判定値・ホース種類を指示することで、コネクタ径からホース呼び径を決定し、登録されたホースの中から呼び径にマッチするホースを抽出、抽出した全ホースの挿入性を評価します。
自動車のパネル部品の組み立て工程において、クリップの挿入しやすさ、正しい位置にはめられるかといった評価を行いたいというニーズがあります。Space Vertexでは1ピースクリップ、2ピースクリップそれぞれの挿入性のチェック機能を開発しました。
「1ピースクリップ挿入作業性チェック」は、組立工程において1ピースクリップ挿入時に、クリップを垂直に押せない場合の挿入不良、及び隣のクリップとの段差が大きい場合のクリップと取り付け穴のずれによる挿入不良が発生しないかをチェックする機能です。クリップの挿入方向と押し面の法線を求めて角度差をチェックします。また、挿入済クリップと挿入対象のクリップから、ずれ量を求めてチェックします。
「2ピースクリップ挿入作業性チェック」は、組立工程において2ピースクリップ挿入時に、穴(板)がずれると2ピースクリップの2段目のロックができないため、最初の2つのクリップが穴ずれで挿入された場合、3番目以降のクリップが挿入できるかチェックする機能です。また、手でクリップを押すスペースがあるかをチェックすることもできます。
電着塗装の際、電着液が溜まったまま乾燥工程に入ってしまうと塗装が乾かない箇所ができて上塗り塗装に支障が出てしまうほか、水溜まりが発生し錆の発生要因ともなります。そのため、あらかじめ形状から電着液の溜まる箇所を特定し、電着液が抜ける構造になっているかどうかをチェックする機能として、「液溜まり・空気溜まりチェック」機能を開発しました。
「液溜まり・空気溜まりチェック」を実行すると、検出個所に引き出し線付きで形状に色付けされ、視覚的にもわかりやすく確認できます。また、一覧表が同時に作成され、溜まる体積の大きさも一覧表で確認できます。一覧表から形状のどの箇所かを絞り込み表示させることもでき、抜け漏れないチェックが可能です。
荷姿設計機能は、指定された容器の中に部品を配置し、容器の充填率を検討する機能です。
V3.6では、複数の姿勢・複数の容器を同時に検討することができるようになりました。
工具を動かすスペースが確保できているか、といった交換部品の脱着の作業性検討など、3D上で動的干渉チェック、動的クリアランスチェックを行うことで、簡単にシミュレーションできるようになりました。
干渉したら停止する、干渉相手部品の色が変わるなど、視覚的にもわかりやすく、移動・回転等のレイアウト機能を利用しながら確認ができるようになっており、干渉だけでなくクリアランスチェックも可能です。
詳細は製品ホームページをご覧ください。Space Vertexはこれからも3Dデータでの設計業務を支援していきます。今後もエンジニアリング支援ツール「Space Vertex」にご期待ください。
PICK UP