明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年も引き続きお引き立ていただきますようお願い申し上げます。
昨年は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による公衆衛生の危機、それに伴う急激な経済活動の落ち込みという想定外の事態に直面し、先の見通せない不安感の中での社会的な混乱に翻弄された一年でした。昨年3月の世界保健機関によるパンデミック認定、海外でのロックダウン実施や日本政府による緊急事態宣言発出と異例の動きが続く中、私たちの生活や仕事も一変しました。テレワークやオンライン授業などが急速に広がり、大多数の人達が経験したことのない状況に置かれました。年末にはワクチンの承認など明るい動きもありましたが、感染状況は一進一退を繰り返しており、新しい年に入っても感染防止と経済活動の両立という難題への対応が続いています。
世界経済に目を向けると、デカップリングやソーシャルディスタンスの推奨、国内外の移動抑制はしばらく解消されそうになく、供給および需要サイド共に回復のペースは緩やかにならざるを得ないと思われます。又、このような中にあっても、自国第一主義やポピュリズム台頭の傾向は変わらず、インターネットの分断を意味するスプリンターネットや規制で囲い込むデータローカライゼーションの導入といった動きも見られ、世界経済を刺激してきたグローバル化を逆行させ、回復を一層難しくする懸念もあります。
一方、コロナ禍の中で強いられた生活や仕事の変容は、結果として、企業活動から官公庁、そして個人の生活へと、社会全般にわたりデジタル技術の活用を大きく加速しています。「オンライン〇〇」という表現が流行しましたが、こうした現象は社会全体のデジタル化に対するリテラシーが一段高くなったことを示しているようにも思えます。この動きは、従来から進められてきたICT活用による課題解決の取り組みを促進すると同時に、より大きな変革への挑戦を可能とする好機と捉えることができます。又、そうした中で起こる産業構造の変化は経済全体を活性化する可能性を持っていると考えられます。
製造業においては、地球温暖化による気候変動をはじめとした環境意識が世界で一層高まり、中国や日本の政府によるカーボンニュートラル達成に向けた具体的なマイルストーンが表明されたことが注目されます。とりわけ自動車については、欧米や中国に続き昨年末には日本でもガソリン車販売禁止に向けた動きが具体化し、自動車各社は従来の想定より早く電動化シフトを進める必要に迫られています。製造業全般においても、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みに関する報道を多く目にするようになりましたが、こうした課題解決に必要な次世代技術開発をはじめとする種々の取り組みが、コロナ禍からの経済回復にもつながることを期待したいものです。
このような状況を踏まえると、ニューノーマルと言われる時代において、新たな生活様式や考え方を背景に、社会基盤や産業構造の変革が、この先数年間で同時多発的に起こっていくように思われます。そして、その急激な動きはオープンイノベーションを必要とし、新たな企業の誕生やダイナミックな企業連携を促進するように思えます。又、既存企業においても、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが一層加速されていくと考えられます。
一貫して製品開発プロセスの革新をご支援させて頂いている私共としては、お客様の次世代技術開発や生産革新に必要となるPLMやエンジニアリングIT分野のソリューションとサービスをスピーディにご提供できるように取り組みを加速していきたいとの思いを改めて深めています。
一方、変革のスピードが強く求められる中で、変えるべきでないこともあると考えています。結果を出すことを急ぐために、最初からシステム構築ありきで進むケースが増えている様に思いますが、まず、お客様の目的をしっかり理解し、明確な目標を共有させて頂く私共のアプローチは堅持していきたいと思います。AI、Cloud、IoT等のデジタル技術、MBD、MBSE等の開発手法は、あくまで方法論であり手段です。『何の為の革新なのか』、『現場をどうしていくべきか』をお客様とご一緒に考え、突き詰めつつ取り組んで行きたいと考えています。
又、当社の特徴である『ものづくりとITの融合』を支える専門技術にも、より一層の磨きをかけていきます。そして、ソリューションやサービスのご紹介に加え、その活用事例を、オンラインセミナーやバーチャル展示などのニューノーマルな方法でも発信していきたいと思います。今後も、当社ならではの『モノづくりの現場に根差したソリューションとサービス』の高品質でタイムリーなご提供を目指し精一杯取り組んで参りますので、引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
今年は「丑年」です。先を急がず一歩一歩着実に物事を進めることが大切な年と言われているそうです。先を見通す事が難しい中で大胆な変化とスピードが求められる状況下に、多様なエンジニアが繋がり、アイデアを出し合い、数多くのブレークスルーを着実に成し遂げること、一人ひとりが仕事に専念できること、そして、何より安全・安心な生活と社会が実現すること、新しい年がそのような一年になってくれればと思っています。
重ねまして、本年も従来同様お引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
PICK UP