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DIPROニュース

2020

8月号

2020.08.07

樹脂・複合材料成形CAE総合製品のご紹介
(3D TIMON®,TIMON MOLD DESIGNER® (TMD), PD Advisor)

樹脂製品を設計・製造する際、樹脂製品特有の品質不良(そり、ウェルド、バリ、ショート等)が起こる可能性があり、ひとたび上記不良が発生すると、製品形状の修正 / 金型修正 / 成形条件の変更等を繰り返し検討し、品質の改善を行わなければなりません。

今回ご紹介する3D TIMON®, TIMON MOLD DESIGNER® (TMD), PD Advisorは成形性の良否をシミュレーションするソフトウェアです。これらの製品を利用することにより、事前に製品の成形後品質の確認が可能となるだけでなく、問題があった場合には、効果的な対策案の事前検討も可能となるため、開発期間や開発コストを大幅に削減することが出来ます。

3D TIMON®、TIMON MOLD DESIGNER®、PD Advisorの特徴として、3D TIMON®は生産技術部門、TIMON MOLD DESIGNER® (TMD)は設計部門、PD Advisorは設計の中でもより上流工程で利用されることを想定して開発されています。各ソフトウェアの検討例・機能の一部をご紹介いたします。

1-1. 3D TIMON® での検討例

樹脂成形をした製品に見られる代表的な不具合としては、製品に細い線ができる(ウェルド)、製品の部分的欠落(ショート)、製品の肉厚不足、製品のそり変形等が挙げられ、これらを発生させないための製品形状や、製造要件を事前に3D TIMON®で検討出来ます。

ウェルド予測
ウェルド予測
充填性予測(ショート等)
充填性予測(ショート等)
そり変形予測
そり変形予測
検討項目 3D TIMONでの検討例
ウェルド
  • ゲート位置・形状
  • 製品形状・肉厚
充填バランス
  • ゲート位置・形状
  • ランナーレイアウト
  • 製品形状・肉厚
そり / 収縮率 / ヒケ
  • 冷却管のレイアウト
  • ゲート位置
  • 成形条件の変更
  • 製品形状・肉厚
成形機サイズ
  • 材料
  • 射出速度
  • ゲート位置・方案
サイクルタイム
  • 冷却管のレイアウト
  • ゲート方案・ランナー径
  • 製品形状・肉厚
金型温度のムラ
  • 冷却管のレイアウト

また、3D TIMON®は汎用最適化システムAMDESS(※1)と連携し、「製品のそり変形を最小にする」あるいは「特定位置にウェルド位置を発生させない」等の条件を入力することで、その条件を満たす製造要件を自動解析する機能(最適化機能)も有しています。

くいんと社から提供されているパラメータ最適化支援ソフトウェア

16通りの最適化

充填バランス最適化 型締め力最小化 そり最小化

また、樹脂流動解析で得られた繊維配向解析結果を元に、材料強度(破断応力)分布を計算させることも可能です。

充填パターン
充填パターン
PA66-GF30%

材料強度(破断応力)分布
材料強度(破断応力)分布
 

1-2. 3D TIMON® 機能概要

3D TIMON®は以下のモジュール、パッケージで構成され、どのような解析をしたいのか、その解析したい内容に応じて、必要モジュール、パッケージを導入する必要があります。
FLOWという充填パターンを解析するモジュールが必須モジュールとなります。

標準モジュール(熱可塑性樹脂)

PRE / POST
ゲートやランナー等の解析モデル作成と解析結果の表示(コンター図、グラフ出力等)
FLOW
射出成形時の充填パターンを解析(基本部の必須モジュール)
PACK
保圧・冷却工程時の収縮による、比容積変化を解析
FIBER
射出成形時の繊維の配向を3次元的に解析
MCOOL
射出成形時の金型温度を解析(定常・非定常)
WARP
射出成形品のそり変形を解析

オプションモジュール(熱可塑性樹脂)

INSERT
インサート成形時のアセンブリ状態での変形を解析
MultiMold
色あるいは材質の異なる材料を組合せ一体化する2色成形時の変形を解析
OPTICS
光学素子成形時の応力 / ひずみを解析
SuperThin
通常の樹脂と挙動が異なる液晶ポリマー(LCP)の充填パターンやそり変形を解析
AWARP
結晶性非強化樹脂の収縮率を高精度に予測
PRESS
射出圧縮成形での充填パターン、収縮ひずみ、そり変形を解析
TetMesh
3D TIMON®用テトラメッシュ生成モジュール
StructVE
成形品の熱変形を解析(残留応力の発生と緩和を考慮)
nStruct
構造解析との連携のためのモジュール。繊維配向から材料の異方性物性値を予測

パッケージ

CompositePRESS
熱可塑性樹脂スタンピング成形、熱硬化性樹脂SMC / BMC成形用ソルバー
ReactiveMOLD
熱硬化性樹脂の複雑構造品における充填パターン、そり変形を解析

1-3. 3D TIMON® 製品概要(ご参考)

3D TIMON®は樹脂メーカである東レ様のCAE部門により開発された国産樹脂流動解析ソフトウェアで、累計600社、1100ライセンスの導入実績を持ち、自動車業界の大物樹脂部品から、 電気・電子・精密業界の超精密樹脂部品の設計、製造現場で活用されています。

自動車<超大物>
自動車<超大物>

自動車・電機<中小物>
自動車・電機<中小物>

電気・電子・精密<超精密>
電気・電子・精密<超精密>

また3D TIMON®は1980年代から開発され、下記年表にあるようにユーザニーズに対応し、機能強化を続け、現在に至っています。

2. TIMON MOLD DESIGNER® (TMD)

TIMON MOLD DESIGNER® (TMD)は3D TIMON®と比べ、解析に必要な入力項目が簡素化され、かつワークフロー機能(ウィザード機能)を採用し、次に解析者が何を定義すべきか手順を指し示すことで簡単な操作性を実現しています。(下図参照)

このため、設計者が設計初期段階で複数の設計案の中から相対的に成形性の優れた設計案を導くことが可能です。また設計者が利用するために計算の高速化が図られています。

解析ワークフロー

TMDは下記2つの解析モジュールのみで構成され、解析機能も限定されています。

TMD-FLOW
充填解析+そり変形解析(ただし変形量の絶対値出力は不可)
TMD-COOL
金型冷却解析用ソルバー。金型の温度分布を予測

TMDで解析出力される項目は、下図を参照願います。

TMD-FLOWの出力
TMD-COOLの出力

3. PD Advisor

PD Advisorは製品形状に起因するそり変形を予測する解析モジュールです。このためTMDよりさらに解析に必要な入力項目が少なく、製品形状を読込むだけでゲート、ランナー作成成形条件の入力が不要です。

PD Advisor解析結果例

形状起因のそり結果
形状起因のそり結果

そり変曲点結果
そり変曲点結果

そり感度結果
そり感度結果

そり感度解析の結果を見て、赤色箇所の収縮が小さくなるように形状修正を行えばよいことがわかります。

以上、3D TIMON®、TIMON MOLD DESIGNER® (TMD)、PD Advisorのご紹介をいたしました。弊社では、今回ご紹介いたしましたシステムに関して、販売元の東レエンジニアリングDソリューションズ社と連携して総合的なご支援をさせていただきます。

樹脂流動解析にご関心のある方、本製品に関するご不明点、ご質問などございましたら、弊社までお気軽にお問合せください。

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(メカニカルエンジニアリングサービス部 シニアエキスパート 高橋)

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