樹脂製品を設計・製造する際、樹脂製品特有の品質不良(そり、ウェルド、バリ、ショート等)が起こる可能性があり、ひとたび上記不良が発生すると、製品形状の修正 / 金型修正 / 成形条件の変更等を繰り返し検討し、品質の改善を行わなければなりません。
今回ご紹介する3D TIMON®, TIMON MOLD DESIGNER® (TMD), PD Advisorは成形性の良否をシミュレーションするソフトウェアです。これらの製品を利用することにより、事前に製品の成形後品質の確認が可能となるだけでなく、問題があった場合には、効果的な対策案の事前検討も可能となるため、開発期間や開発コストを大幅に削減することが出来ます。
3D TIMON®、TIMON MOLD DESIGNER®、PD Advisorの特徴として、3D TIMON®は生産技術部門、TIMON MOLD DESIGNER® (TMD)は設計部門、PD Advisorは設計の中でもより上流工程で利用されることを想定して開発されています。各ソフトウェアの検討例・機能の一部をご紹介いたします。
樹脂成形をした製品に見られる代表的な不具合としては、製品に細い線ができる(ウェルド)、製品の部分的欠落(ショート)、製品の肉厚不足、製品のそり変形等が挙げられ、これらを発生させないための製品形状や、製造要件を事前に3D TIMON®で検討出来ます。
検討項目 | 3D TIMONでの検討例 |
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ウェルド |
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充填バランス |
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そり / 収縮率 / ヒケ |
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成形機サイズ |
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サイクルタイム |
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金型温度のムラ |
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また、3D TIMON®は汎用最適化システムAMDESS(※1)と連携し、「製品のそり変形を最小にする」あるいは「特定位置にウェルド位置を発生させない」等の条件を入力することで、その条件を満たす製造要件を自動解析する機能(最適化機能)も有しています。
また、樹脂流動解析で得られた繊維配向解析結果を元に、材料強度(破断応力)分布を計算させることも可能です。
充填パターン
材料強度(破断応力)分布
3D TIMON®は以下のモジュール、パッケージで構成され、どのような解析をしたいのか、その解析したい内容に応じて、必要モジュール、パッケージを導入する必要があります。
FLOWという充填パターンを解析するモジュールが必須モジュールとなります。
3D TIMON®は樹脂メーカである東レ様のCAE部門により開発された国産樹脂流動解析ソフトウェアで、累計600社、1100ライセンスの導入実績を持ち、自動車業界の大物樹脂部品から、 電気・電子・精密業界の超精密樹脂部品の設計、製造現場で活用されています。
また3D TIMON®は1980年代から開発され、下記年表にあるようにユーザニーズに対応し、機能強化を続け、現在に至っています。
TIMON MOLD DESIGNER® (TMD)は3D TIMON®と比べ、解析に必要な入力項目が簡素化され、かつワークフロー機能(ウィザード機能)を採用し、次に解析者が何を定義すべきか手順を指し示すことで簡単な操作性を実現しています。(下図参照)
このため、設計者が設計初期段階で複数の設計案の中から相対的に成形性の優れた設計案を導くことが可能です。また設計者が利用するために計算の高速化が図られています。
TMDは下記2つの解析モジュールのみで構成され、解析機能も限定されています。
TMDで解析出力される項目は、下図を参照願います。
PD Advisorは製品形状に起因するそり変形を予測する解析モジュールです。このためTMDよりさらに解析に必要な入力項目が少なく、製品形状を読込むだけでゲート、ランナー作成成形条件の入力が不要です。
そり感度解析の結果を見て、赤色箇所の収縮が小さくなるように形状修正を行えばよいことがわかります。
以上、3D TIMON®、TIMON MOLD DESIGNER® (TMD)、PD Advisorのご紹介をいたしました。弊社では、今回ご紹介いたしましたシステムに関して、販売元の東レエンジニアリングDソリューションズ社と連携して総合的なご支援をさせていただきます。
樹脂流動解析にご関心のある方、本製品に関するご不明点、ご質問などございましたら、弊社までお気軽にお問合せください。
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