製造業においてリードタイムの短縮は重要課題の1つです。金型製造の大手メーカーである富士テクニカ宮津様においても同様に、金型製造期間の短縮化が求められており、様々な取り組みを実施されています。今回はその中で富士テクニカ宮津様と協力会社とのデータ流通における取り組み事例についてご紹介いたします。
株式会社富士テクニカ宮津 | |||
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本社 | : |
静岡県駿東郡 |
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創立 | : |
1957年2月 |
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代表者 | : |
代表取締役社長 長谷川 浩 |
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資本金 | : |
30億8,156万円 |
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事業内容 | : |
車体用プレス金型製造 |
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ホームページ | : |
富士テクニカ宮津様では、金型の検図業務や現場でのデータ確認でDIPRO VridgeRをご使用いただいています。表示のレスポンスが速いことやノートPCでも簡単に扱えることが評価され、また100件を越えるチェック項目により、必要な機能が揃っているかの検証を行った上でVridgeRの導入を決められました。
その後、富士テクニカ宮津様からCAD変換の業務についてお話を伺う機会があり、今回のシステム開発が始まりました。
富士テクニカ宮津様では、金型の設計において外部に設計を委託するケースがありますが、その場合は各種データの受領、送付の作業が必要となります。データの内容は3D CADデータ、2D図面、ドキュメントなどですが、特に3D CADに関しては様々な課題がありました。
委託先が使用する3D CADの種類が複数存在することに加え、社内にて設計フェーズや検討内容によって複数種類のCADを使用するため変換が複雑となり、CADデータ変換やファイルサーバへの格納の専任担当者が必要になっていました。また、変換作業が人の手で行われるため、業務時間内しか対応できません。夜間に設計データが届くと、朝から変換を開始するため社内の各作業者が変換を待つ状況が発生していました。さらに委託先から受領するデータにCAD以外のファイルが混在していることもあり、変換システムでエラーが発生していました。
富士テクニカ宮津様への繰り返しのインタビューからこれらの課題を抽出し、さらに変換の担当者に実際の作業を見せていただくことで、システム化に向けて必要な内容を整理しました。
これらの課題解決のために手作業を自動化し、データ受領、変換が一連の流れになるような構成を検討した結果、以下のような構成でシステムを構築することにしました。
システムの機能
①データ格納時に必要なCADデータであるかのチェックを行い、エラーの場合は通知します。
②受領データのCAD形式、設計の段階において必要なCAD形式を判断して変換します。
③送付先のCADバージョンに合わせた変換を自動で行い、メール送信をしてデータ送付先に知らせます。
④データ受領、送付の処理の内容は随時更新され、一覧に進捗状況が表示されます。
委託先からのデータ格納時にチェックを行うことで、変換時のエラーを未然に防げるようになりました。変換の自動化に伴い、データ授受の対応工数は1/3と大幅に削減されました。
またCAD変換システムの利用に伴い、変換処理の85%が休日、夜間など人のいない時間に終了できるようになり、変換待ちの渋滞を軽減できるようになりました。変換の実行中に進捗状況を確認できるため、待ち時間を把握できるようになりました。変換終了後のデータをすぐに利用できる点もご評価いただいています。
本システムでは人が作業していた内容を一体的なデータ流通の仕組みとして整えたことにより、変換担当者の工数削減やリードタイムの削減に効果を出すことができました。
富士テクニカ宮津様では、年間1,000件を越えるデータ受領を本システムで対応されています。
今後はCAD変換以外の自動処理の組み込みなども検討を進められています。データ流通システムを基盤として様々なご業務にお役に立てるよう、私どももご協力させていただきたいと考えています。
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