日産自動車様のNX採用のプレスリリースを受け、DIPRO MASTER(I-deas)をご利用いただいておりますお客様方はもちろん、他業界を含めた多くの方々がNXに大きな関心を寄せておられます。I-deasからNXへのスムーズな移行(マイグレーションなど)は、多くのI-deasを販売/サポートさせていただいております弊社の役割だと考えています。本連載の最終回となります今回は、I-deasからNXへのマイグレーション支援サービスについてご紹介させていただきます。
I-deasからNXへの移行において、システム上では、①CADデータ、②管理情報(メタデータ)、③カスタマイズ環境の大きく、3つを移行する必要があります。これまでの連載でご説明しました通りTeam Data Manager(以下TDM)で管理されているI-deasのデータは、Teamcenter Engineeringへの移行が推奨されています。
①CADデータは、UGS社提供のCMM(Content Migration Manager)というツールを用いてTeamcenter Engineeringの中で変換します。このCMMは現在、パート、アセンブリ、図面に対応しています。パートは、履歴情報も渡る「フィーチャー変換」と、履歴を持たない代わりに変換結果が軽く処理も速い「B-Rep変換」が選択できます。また、図面レス推進のために重要な3次元注記も渡る仕様となっています。
②管理情報は、パッケージファイルを用いてTDMのデータをTeamcenter Engineeringへエクスポート/インポートすることで移行します。この場合に管理体系の違いからエラーとなるケースがあり(連載第一回ご参照方)、これを事前にチェックするAuditと呼ばれる調査と、必要に応じて管理情報を修正する作業が発生します。
マクロであるProgram Fileや開発環境Open I-deasを用いて開発された③カスタマイズ環境は、基本的には作り直しとなります。作り直し工数を低減させるためのツールがUGS社から提供されています。このツールにはProgram File中のニーモニック(コマンドの省略形)の英文化や、Open I-deas関数のそれぞれに対応するNX Open関数の情報表示などの機能があります。
移行するものはデジタルデータだけではありません。現在では一般的にCADの周辺に手配システムや図面管理システム、部品表システムなどが存在しています。また、お客様がこれまで効率化のために蓄積してこられたモデリングノウハウなども考えられます。これらの「環境」や「使いこなし」までを移行できた時に、初めて移行が完了したことになります。
移行に際しては、規模の大小はあっても「準備」、「導入」、「立ち上げ」の大きく、3つに分けられるフェーズがあり、それぞれ、下図のような検討内容、および作業が発生します。Auditから始まる現状調査サービス、移行計画立案のためのコンサルティング、開発や環境構築受託、データ移行サービス、立ち上げ時の工数増大をサポートするデータ変換やコンテンツ作成、教育などの受託サービスで、お客様のスムーズなI-deas to NXマイグレーションをサポートいたします。
DIPROは、OEMメーカー様の基幹CAD移行から業務適用、そしてサポートまで、長くお手伝いさせていただいてきた経験を持っています。また従来からI-deasとUnigraphics(現在のNX)の両方を販売・サポートさせていただいています。部品表システムを始めとした業務システムの構築やコンテンツ作成業務、業務コンサルティング等においても高い評価をいただいております。このような経験、知識を結集して、お客様にご満足いただけるI-deas to NXマイグレーションサービスをご提供させていただきたいと考えています。今後とも弊社をご愛顧くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
来る6月21日(水)から23日(金)までの3日間、東京ビッグサイトにおいて「第17回設計・製造ソリューション展」が開催されます。弊社出展ブースでは、NX展示コーナーにてこの「I-deas to NXマイグレーション」についてご説明させていただく予定です。ご来場の際は、是非とも弊社ブースへお立ち寄りいただき、お気軽にご質問、ご相談くださいますようよろしくお願い申し上げます。
(エンジニアリングサービス部 上村 彰信)
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