NXは、製品開発における基幹システムとして、自動車、電機、精密機械など幅広い業種で導入され、全世界で豊富な実績を誇っています。NX 3から始まったI-deasとの統合も最終段階を迎え、NX 5ではI-deasの解析機能がほぼ実装されました。今回、待望のNX 5リリースにあたって、DIPROニュースにて新機能をご紹介させていただきます。
NX 5では、使いやすさを追求しインタフェースに大きな改良を施しました。また、フィーチャに依存しない形状修正機能である「ダイレクトモデリング」や、標準部品・ユーザー定義フィーチャなどを管理する「再使用ライブラリ」など、資産(モデル)を有効活用するための機能が強化されています。さらに、「Inside NX」により、PDMを意識せずにNXから直接データベースにアクセスできるようになりました。CAEに関しては、I-deasに搭載されていた全ての解析種類がサポートされ、より幅広い検討が可能となりました。以下に、それぞれの機能の詳細をご説明いたします。
ダイアログがブロックベースに変更されました。変更されたダイアログは項目がグループ化されており、必須入力項目には*マーク、入力完了項目には?マークが付くなど、一目で入力状態を確認できるようになりました。オプション設定などは折り畳んでおくことにより、スッキリとしたダイアログ表示が可能となっています(図1)。
「ダイアログレール」により、ダイアログの表示位置を固定させることが可能になりました。NX 4までは、コマンド実行時に選択したいフェースの上などにダイアログが表示されてしまい、非表示にしたり移動させる必要がありましたが、NX 5では「ダイアログレール」をナビゲータ上に配置しておくことで、グラフィックウィンドウ領域を有効に活用することができます。
キーワードを入力してコマンドを検索する「コマンドファインダ」もNX 5で新たに搭載されました。検索結果には簡単なコマンド説明も表示されるため、名称だけではわからないようなコマンドの機能を簡単に判別することができます。また、検索結果から直接コマンドにアクセスすることができ、同時にメニューやアイコン位置をナビゲートしてくれるため、コマンドの実行と共にメニュー位置を覚えることもできます。
モデリング中にエラーが発生した場合などは「エラーレポート」が表示されるようになりました。“何が原因でエラーが発生しているのか?”がわかりやすくなり、必要な修正を判断しやすくなりました。
「役割」はNX 4からの機能ですが、表示するアイコンの種類や配列を、NXを使用する人の習熟度や役割によって切り替えることができます。1台のマシンを複数ユーザーで利用する場合や、設計対象によって使用するコマンドが異なる場合など、ボタン一つで配置を切り替えて操作ができます。
ノンパラメトリックなモデルに対して形状修正を加える「ダイレクトモデリング」は、Unigraphicsより実装されていた機能ですが、NX 5ではより直感的な操作になりました。
「ダイレクトモデリング」は、他のCADシステムから取り込んだパラメータのないモデルや、変更すべきフィーチャを分析するのが困難なモデルを修正する際に、有益な機能です。具体的には、フェースの移動・削除・置換、Rのサイズ変更などが可能です。
NX 5では、選択時に形状を推測する選択意図機能の選択タイプとして、「リブフェース」「スロットフェース」「ボスおよびポケットフェース」などが追加されました。
例えば、リブを移動する場合、従来であれば移動対象となるすべてのフェースを1つずつ選択する必要がありました。NX 5では、選択タイプを「リブフェース」とすることでリブの一部のフェースを選ぶだけで、リブ全体を自動認識しますので、操作にかかる手数は大幅に削減されます(図2)。
また、ダイレクトプレビュー機能により、変更後のイメージを確認しながらの操作も可能になり、より検討しやすくなっています。
ライブラリの使い勝手が大幅に向上しました。検索機能により必要な部品を検索し、ドラッグ&ドロップで簡単にアセンブリに対してライブラリ部品を追加することができます(図3)。JISのボルトやナットなどの標準部品が初期状態で装備されており、リソースバーに「再使用ライブラリ」として表示されます。
これらの標準部品は「パートファミリー」で作成されていますが、凡例をウィンドウ表示させることが可能になったため、変更すべきパラメータを視覚的に確認できるようになりました。
ナレッジの組み込みも可能であり、穴の大きさに応じて適切な径のボルトを自動的に配置させることも可能になりました。
もちろん、このライブラリはカスタマイズできますので、お客様独自の標準部品ライブラリを構築することも可能です。
NX 5では、NXとTeamcenterの一体化がさらに進みました。NXのリソースバーに「Teamcenterナビゲータ」を表示し、このナビゲータを介してデータベースの内部にあるデータに直接アクセスすることが可能です。データベースから必要なCADデータをキーワード検索し、ドラッグ&ドロップでアセンブリに追加するといった操作を実現しますので、設計者はPDMを意識することなく、作業することが可能です(図4)。
NXのCAEは、I-deasが得意としたCAEの機能を多数取り入れながら、NX独自の機能を追加することにより、設計者から解析専任者まで幅広く、ご利用いただけるCAEツールとなっています。
NX 4では、I-deasの構造解析に関する基本機能を中心に統合を開始し、多くのI-deasの機能を実現しました。また、熱流体解析機能も実装されました。
NX 5では、さらに応答解析機能などを加えて、より広範囲でご活用いただけるツールに進化いたしました(図5)。
メッシュ作成機能が強化され、より高品質なメッシュ作成が可能になりました。ポストプロセッサには、XYグラフ作成機能が追加されています。このように、従来からの機能に対してもますますの充実を図っています。
NX 5は、幅広い業種、業務のお客様にご満足いただけるよう、従来までの品質を保持しつつ、より使いやすい製品に進化しております。同時に、弊社のNXサポート体制も更なる充実を図っております。
この機会に是非、飛躍を続けるNXをお試しください。
(エンジニアリングサービス部 高尾 梨恵子)
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