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DIPROニュース

2008

9月号

2008.09.10

ICAD/SX 金型設計システム ~日本の金型設計者が育てた日本製CAD~

大規模金型CADデータ
大規模金型CADデータ

ICAD/SX金型設計システムは、大規模なアセンブリである機構部設計を強力に支援し、ハイエンド3次元CADと組み合わせて使用することにより、最適な設計環境をご提供します。

ハイエンドCADでの金型設計の問題点

ハイエンドCADは、パラメータ編集機能・多彩なモデリング機能・ナレッジ機能など金型設計に役立つ、様々な機能が備わっています。しかし、実際には下記のような問題があります。

  • モデリング作業に多くの時間を費やし、設計者の思考が阻害されてしまう。
  • データ容量が膨大になり、作業レスポンスが悪化してしまう。
  • 様々な機能を使いこなすためには、総合的なIT技術者の育成が必要になる。
  • 金型の進化に、設計システムの作り込みが追い付けず、メンテナンスに時間がかかる。また、ノウハウがシステムに埋め込まれ、設計者のスキルが上がらない。

金型設計の特性

  • 金型構造は、自由曲面を駆使し、形状設計を行う製品部と、アセンブリ設計が主となる機構部に分けることができます。
  • 機構部は、金型構造の約8割を占め、大型製品(例えば車のバンパーやインパネ)になると、冷却穴の本数やエジェクターピンなどの型部品点数が大幅に増加します。

金型設計へのICAD適用メリット

大規模アセンブリでも高速動作するICAD/SXの利点を活かし、機構部の設計に特化したシステムを、シミズ工業株式会社様と共同開発しました。

設計対象が違えば、当然最適な3次元CADも違います。製品部はハイエンド3次元CAD、機構部はICAD/SXと使い分けることにより、設計工数を大幅に削減することができます。

金型設計システムの適用範囲

現在求められる金型設計

ICAD/SXでの取組領域

現在の金型設計には、前倒し・コンカレント業務が求められています。切り分け方としては、製品部の型要件モデリングと金型機構部設計に分けて、同時並行に進める方式が考えられます。

今回、開発対象とした金型機構部設計は、考える作業とデータ作成作業に分けられます。

考える作業

  • 過去不具合対策の織り込み検討
  • アンダーカット処理構造検討
  • 製品レイアウト、成形性、加工性などの検討

データ作成作業

  • 標準DBからの部品配置、編集
  • 金型モデルの作成
  • 部品ファイル分け
  • 部品図作成 その他

考える作業は、品質・コストにおける概略構想が主であり、設計者の育成にも繋がります。そのために、まずは「データ作成の効率化」を行い、考える作業を充実していくことを目的としました。

どのようなCADシステムが必要?

データ作成を効率化するためには、下記の要件が必要です。

変化に柔軟に対応できること

常に進化する金型構造に対応するため、自由に思い通りにモデル編集が可能である。

思考プロセスに沿う

設計者が思考の流れに沿って、手足のように扱える。

視覚的で編集しやすい

パラメータ操作や履歴操作によるモデル編集ではなく、直感的にストレスなくモデル編集できる。

使える金型設計機能

高度なカスタマイズをすることなく、使える金型設計機能を有する。

作業レスポンス

設計者の思考を阻害せず、流れるように操作でき、既存のデータを柔軟に、簡単に活用できる。

以上の要件を検討すると、ICAD/SXでの効率的な同時並行金型設計は実現可能と考えました。

ICAD/SXでの金型設計システム開発

シミズ工業株式会社 型設計課様にご協力いただき、日本の金型設計者が本当に必要な機能を、徹底的に議論を重ねて開発いたしました。

思考プロセスに沿った冷却穴設計機能
平面上での経路指示と自動3次元モデル化

3次元CADでの金型専用機能には、冷却設計コマンドを持つものも多いのですが、その多くは冷却穴を1本ずつ配置していくものです。これではデータ作成時に、思考が中断してしまいます。
冷却穴を設計する場合は、冷却穴1本ずつを検討するのではなく、必要部位や繋がりの検討を行う必要があるので、思考プロセスに沿った機能を追加しました。
平面レイアウト上で冷却穴経路指示を行い、自動3次元モデル化(水穴高さや穴深さの自動設定・ドラッグでの編集など)を行うことができます。
レスポンスよく、設計者の意のままに動くため、冷却穴の仮置き~調整~決定に至る設計の流れをサポートします。

金型部品 配置機能
エジェクターピン先端一括編集機能

部品配置機能は、平面的に配置位置を指示していくだけで、3次元上組み付くべき位置へ自動的に配置されます。
さらに締付けボルトの長さや、エジェクターピンの逃がし穴深さ・先端編集についても、自動計算を実現しました。

その他 基本機能の強化
位置の変更/モデルの伸縮
  • 作業レスポンスの向上
  • モデル編集機能の向上

などを行いました。

変化に柔軟に対応し、モデル編集が、フルアセンブリ状態でも、レスポンスよく作業できます。

これからのICADの金型設計への取り組み

シミズ工業株式会社様のご協力を頂き、設計者の思考プロセスとオペレーションを十分に検討した上で、本機能の開発を行いました。本機能を使用することで、ハイエンドCADによる設計作業と比べて、大幅な工数削減と単純ミスの防止が可能になりました。

効率のみを重視してしまいがちなCAD作業の中において、設計者が自由に思考しながら作業していくことも大切です。ICAD/SXは、それをストレスフリーでサポートしていきます。今後も引き続き改善を重ね、ICAD/SXによる金型設計を、より効率的に行える機能をご提供していく予定です

ご紹介しました機能の提供形態、価格などの詳細については、弊社営業までお問い合わせください。今後ともご愛顧の程、よろしくお願い申し上げます。

(プロダクションエンジニアリング部 兼 ICADビジネス部 梅下 智弘)

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