対極のモデリング手法である、「ヒストリベースモデリング」と「ノンヒストリモデリング」を統合した、Solid Edge with Synchronous Technology の日本語版が完成しました。4月のリリースに先立ち、新バージョンの概要をご紹介させていただきます。
皆様がご利用されている3次元CADは、「ヒストリベースモデリング」と「ノンヒストリベースモデリング」のどちらのタイプでしょうか。「ヒストリベースモデリング」タイプは履歴操作ができ、パラメータによる設計変更が可能ですが、変更しづらくなり、データが重くなってしまいます。一方、「ノンヒストリベースモデリング」タイプは、直感的な設計変更が可能ですが、パラメトリックな設計変更はできません。従来のSolid Edgeは「ヒストリベースモデリング」でした。このタイプでは、データの作り方によっては変更しにくい、変更に時間がかかるという問題が発生してしまいます。
この問題を解決するために、開発元のシーメンスPLMソフトウェアは、「ヒストリベースモデリング」と「ノンヒストリベースモデリング」の2つのタイプを融合した手法、「シンクロナス・テクノロジ」を開発いたしました。4月リリースのSolid Edge with Synchronous Technologyがこの技術を最初に取り入れた製品となります。
Solid EdgeはシーメンスPLMソフトウェアが開発し、弊社がご提供する機械系ミッドレンジ3次元CADで、V1からV20まで10年に渡って開発してまいりました。
今回、革新的な新技術の実装にあたり、バージョン名をその技術手法からとり、Solid Edge with Synchronous Technology(シンクロナス・テクノロジ)としてご提供させていただくことになりました。
シンクロナス・テクノロジでは、ヒストリベースの寸法駆動モデリンング手法とノンヒストリの直感的モデリング手法が統合されています。つまり、ヒストリベースの寸法駆動モデリングを維持しつつ、ノンヒストリの柔軟なモデリング手法を組み込むことにより、変更したい形状を直接、直感的に操作することが可能となっています。さらに、ノンヒストリモデリングでの変更の際に発生していた、形状間の関連性を失う問題を解消するライブルールの機能を追加しています。
新バージョンでは、フィーチャ履歴をなくしたモードを新たに備えました。この新たなモードでは、2つのメリットがあります。第一に、履歴がないため履歴による形状変更の際、再計算時間が発生せず大幅に時間を削減できます。第二に、容易に形状変更ができます。従来の「ヒストリベースモデリング」では、どこを変更すると何が変わるかを考えながらの作業が必要でしたが、シンクロナス・テクノロジでは直接選択するだけで変更することができます。
また、選択した変更部と一定の幾何関係を持つ部分を同時に変更するライブルールという機能を備えています。これは形状がもっている、同心・対称・同一平面などの関係情報を読み取り、その意図を維持した変更を行おうとする試みです。簡単なだけでなく、効率的な変更操作を実現します。
昨今、3次元データの活用範囲は、自社の設計部門だけでなく、製造部門、さらには関連会社まで広がっています。CADを日常的に利用していない方が、社内外のデータを問わず、データを変更する機会や、外部のデータを変更する機会が増加しています。従来のテクノロジでは、このようなケースでのデータの変更が困難でした。
今回のシンクロナス・テクノロジの直感的な操作性により、普段CADをあまり使用されない方でも簡単に形状を変更することができます。またパラメータがない外部データも、Solid Edgeのネイティブデータと同様な操作で変更可能です。同心、対称、同一平面などの形状間の関係性を判断し、最適な変更を行うライブルールや、3次元形状を直接駆動する3次元寸法が更に効率性を高めます。
弊社では4月の出荷に向けて、各種イベントを企画しております。昨年12月と今年2月に東京と大阪で機能紹介セミナーを実施させていただきました。1月からは、毎月体験セミナーを実施しております。
紹介セミナーに参加されたお客様からいただきましたご意見をご紹介いたします。
「他CADのデータを扱うことが多いので、形状変更が容易だと非常に助かる。」
「フィーチャエラーの発生に困っていたので、ノンヒストリの機能は楽しみである。」
「従来よりも、モデルの編集が楽に行えそうである。」
貴重なご意見をありがとうございました。
弊社では、引き続き体験セミナーを実施してまいります。シンクロナス・テクノロジにご興味を持たれた方はぜひ、体験セミナーの機会を有効にご活用ください。体験セミナーに出席された方とWEBからお申し込みいただいた方には、1ヶ月の評価版をご提供しております。
当サイトにて随時情報をご提供いたしますので、お気軽にお問い合わせ一覧の「Solid Edge」までお問い合わせください。
(第一技術サービス部 課長SE 宮沢 勇人)
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