機械装置向け3次元CADシステムiCADの最新バージョンV7を2010年末にリリースいたします。リリースに先駆け、新バージョンの概要と特長をご紹介させていただきます。
iCAD V7では、従来より高速処理を可能としていたCADカーネルをさらに高速化させることにより、世界で初めて100万点もの部品をわずか0.2秒で超高速に処理することを実現しました。また、機械装置設計を支援する機能にも大幅な開発・改良を施し、機械設計の成熟化プロセスを今まで以上に強力にご支援いたします。
これにより、メカ設計の構想設計段階から使用できるだけでなく、メカ設計と同一システムでエレキ・制御設計が可能になります。また、同一システムで設計を行うことで設計情報を一元化し、その設計情報を製造部門が活用することにより、製造時に実機依存になっている検証作業を設計確定前に行うことが可能です。
機械装置は部品点数が非常に多いため、一般の3次元CADでは数万部品の取り扱いが限界です。iCAD V7では、100万部品もの超大規模データでも0.2秒の高速処理が可能になり、装置全体、複数装置間を連携させる設計などが制約なしに可能になります。
(1)構想段階から活用できる設計検討機能
設計検討機能を大幅に強化し、機械装置全体でのタクト検討や配線・配管ルートの検討をCAD上で行うことが可能です。また、応力や振動による剛性・強度検討も計算可能です。別ソフトへのデータ変換など煩わしい作業を必要とせず、すぐに設計検討をすることができます。
(2)メカの配線情報と連携する回路設計機能
回路設計機能を新たに開発し、従来メカ設計と別々の環境で行っていたエレキ設計を、メカ設計と同一環境で行うことが可能です。一元化されたメカ・エレキの設計データで連携を図ることで配線の自動接続や接続先チェックを行い、配線の実装漏れや誤接続を未然に防止することができます。
(3)設計データを活用する制御ソフト連携機能
制御ソフトとの連携機能を新たに開発し、CADデータを直接活用して制御設計とメカ設計を同時並行で行うことが可能です。メカやエレキ設計で定義した機構や回路情報を活用できるため、制御ソフトに必要な定義を最小限の手間で行えます。試作前に素早くデジタルデータでの動作検証が実施できるため、実機検証期間を大幅に短縮できます。
従来、大規模な装置では3次元データを用いたデザインレビューが不可能で、設計と製造の担当者が、実機による立会い検証を行っていました。iCAD V7では、設計が最終確定する前に、製造部門が3次元データを用いて立会い検証を行い、製造時に検出される不具合を事前検証する「デジタル立会い」を実現します。各設計部門で一元化された機械装置全体の3次元データを設計・製造部門で活用することで、開発のリードタイム短縮に貢献します。
(1)設計者の思考を支援する直感的操作性
「見ればわかる」「やればわかる」「触れば分かる」など、設計者の感覚をより追求しました。これにより、少ない手数で設計者の思考に沿った直感的な操作をすることが可能になります。
(2)試行錯誤を支援する構造計算機能
構想設計段階での素早い構造検討に応えるため、難しい定義が不要な構造計算機能を開発しました。これにより、従来電卓で計算していた煩わしい作業をより簡単に何度でも行い、構造検討を行うことが可能です。
この他にも約300以上の機能を新たに開発いたしました。今まで以上に使いやすく直感的な使い勝手を実現しております。
iCAD V7に関するご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
恒例となりました「ICADフォーラム」を2010年6月10日(木)東京、6月15日(火)大阪にて開催いたしました。今回はトヨタ自動車株式会社様、株式会社荏原製作所様に貴重な事例講演をいただき、また、弊社よりiCAD V7のコンセプトをご紹介させていただきました。当日は約千人ものお客様にご参加いただき、大変活気のあるフォーラムとなりました。ご多忙の中、ご来場いただいた皆様方に厚くお礼を申し上げます。
本フォーラムは富士通・DIPROが主催し、富士通の森執行役員常務(東京)、須山常務理事(大阪)に挨拶をいただき、幕を開けました。
初めにトヨタ自動車株式会社 メカトロシステム部 企画総括室 3D推進グループ GM(グループマネージャー)の小川 竜一様より「良品廉価、短納期の設備づくり実現に向けて」と題してご講演いただきました。講演では、従来の設備づくりプロセスの現状から問題点を洗い出し、その問題点に対して業務プロセスとツールでどのように対策されているかをご紹介いただきました。ご講演内に出てきた「設計技術力の低下」、「人為的単純ミス」、「現場風土」などの問題点について多くのお客様が共感され、その取り組み内容についても大きな関心を寄せられておりました。
次に株式会社荏原製作所 精密・電子事業カンパニー 装置事業部 CMP装置設計室 副参事 小林 賢一様より「次世代半導体製造装置開発を支える3次元設計の取り組み」についてご講演いただきました。3次元CADを導入された目的や当時導入されていた3次元CADの問題点、3次元CADの必要事項を当時の苦労話を交えながらご紹介いただきました。既存3次元CADに苦慮されているお客様や置き換えをご検討いただいているお客様からの共感の声が多く、大変参考になったようです。
最後に弊社の西村より「iCAD V7が実現する100万部品0.2秒の世界」と題して次期iCADのコンセプト紹介をさせていただきました。多くのお客様に本製品のコンセプトを共感いただき、期待の声を掛けていただきました。今後の開発へより一層邁進して参りますので、何卒よろしくお願いいたします。
今年もiCADは単独ブースを設け、本年末にリリース予定のiCAD V7のコンセプトについて紹介させていただきました。
会期中は多くのお客様に足を止めていただき、紹介終了後には、「詳細な説明を聞かせて欲しい」「弊社でやりたい内容とマッチしている」など、嬉しいお言葉を多く頂戴し、iCAD V7へ大変興味を抱いていただけたことと存じます。このようなお客様の声にお応えするべく、リリースに向け、しっかりと準備を進めて参ります。
また、両脇に設置しておりました展示コーナーへもたくさんのお客様にご覧いただくことができ、数多くのご質問をいただきました。当社では、会期中にいただいた数々のご質問やご要望を最大限に活かし、お客様のご期待により一層お応えできるよう最大限努力して参ります。お客様におかれましては、今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
(iCAD株式会社 技術部 牛嶋 智彦)
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