明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年も引き続きお引き立ていただきますようお願い申し上げます。
昨年の暮は、米国FRBが量的金融緩和の縮小を決定したことを受け、為替相場では5年2カ月ぶりに1ドル=104円台の円安ドル高水準となりました。一昨年12月初旬は82円台の超円高環境でしたし、その年の春には76円12銭の最高値を記録していましたから、1年ないし1年半の間に、トレンドは円高から円安に一転し、為替レートが25~35%も変動した事になります。
その結果、円高を想定してきた輸出企業の利益は大きく改善しました。しかし、世界の市場は単に生産コストが安ければ戦えるというほど単純ではなくなっており、それによって所謂日本製品の競争力がストレートに高まったという訳ではありません。
また、この間、日経平均株価も一昨年12月3日の8,876円82銭から、昨年12月19日の15,859円22銭へと80%近くも上昇し、12月の政府月例経済報告では「デフレ」の表現が削られるなど、上向きの話題が続いています。しかし、実体経済が力強く歩み始めたかと言えば、未だそういう訳ではありませんし、今春に予定されている消費税引き上げも不安要因となっています。そうした中、政府の要請もあり今春の賃金改定交渉では久し振りにベースアップ要求が行われるという報道も耳にしますが、現実には、産業や企業によって業績もまだら模様を呈しており、世間全般で押しなべて良くなるという訳にもいかないように思えます。
さて、今年は十二支でいうと「午(ウマ)」。WEBで調べてみると「午」には「草木の成長が極限を過ぎ、衰えの兆しを見せ始めた状態」という、どちらかというと今後の衰退を表す意味があるようです。一方、十干との組み合わせである干支では、「甲午(キノエウマ)」の年となりますが、「甲」には、「堅い殻に覆われた種」あるいは「草木の芽生え」といった、どちらかというと新しいことの始まり、いわば誕生や成長を表す意味があるようです。このように、相反する二つの組み合わせとなるわけですが、変化点にあるというニュアンスでは共通しています。
我が国の経済環境は、実体はともかく、少なくとも為替や株価といった指標でみると昨年一年間で大きくトレンドが変わりました。干支は還暦の謂われとなっている様に、60年を周期としていますが、60年前の1954年は戦後が終わり高度成長に入った年とも言われています。今年は、ここまでの流れを確実な上昇に向けた変曲点とできるかどうかが問われることになるようにも思えます。2020年の東京オリンピック開催も決まったことであり、干支の周期にあやかるわけではありませんが、何としてでも良い方向に向けた変化の一年にしていきたいものです。
一方、これだけ変化が激しい環境の下では、各企業にとって、先を見通すことも極めて難しく、目先の変化に合わせて猫の目の様に方針を変えていくことも困難です。モノづくりを生業とする製造業にかかわる身としては、この様な時であればこそ、ブレることなく新たな技術のフロンティアを追求するとともに、愚直に自らのQCDの向上に注力し、自らの価値や競争力を高めていくといった姿勢を堅持することが大切だと思います。
弊社では、本年もこうした考えの下、製品や技術、そして、これまでの経験をフルに活かしたサービスのご提供により、お客様のご要請に対して、しっかりとお応えしていく所存です。その上で、日本の製造業の再飛躍に向けた取り組みの一端をしっかりと担っていきたいと考えております。
重ねまして、本年もお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
(代表取締役 社長 山田 龍一)
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