テイ・エス テック株式会社様は、四輪/二輪シートとドアトリムなどの内装部品をグローバルに自動車メーカーへ供給されています。ものづくりにおいては、自動車メーカーのCATIAによる設計に合わせて約25年前からCATIAを導入し、製品設計/開発がおこなわれています。
同社では、設計部門以外の営業、購買、技術、試験、生産の複数部門でDIPRO VridgeR(VridgeR)が導入され、CATIAデータの有効活用が進み大きな成果を上げられています。
本社 | : | 埼玉県朝霞市 |
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会社設立 | : | 1960年12月5日 |
代表者 | : | 取締役社長 井上満夫 |
資本金 | : | 4,700百万円 |
取扱製品 | : | 自動車部品 |
事業内容 | : | 1.四輪車用シート、 四輪車用内装品等製造販売 2.二輪車用シート、 二輪車用樹脂部品等製造販売 |
テイ・エス・テック株式会社HP |
1990年頃から自動車メーカー様からのCATIAデータ配信に伴い、CATIAの利用を開始されまた。当初CATIAデータはワイヤー+サーフェースであったため、自動車メーカー様から配信されたデータは意匠面の確認に利用され、製品形状は2DCADで設計していました。
その後、CATIAのフルソリッド化により製品形状の設計が3Dとなったことで、CATIAデータが営業、購買、技術、試験、生産の後工程部門の検討/検証業務にとって意味のある情報源となりました。これは、3D形状から容易に断面と寸法が得られ、さらに投影面積、表面積、重量も得られるからです。
CATIAデータを用いた検討/検証により精度が向上したことで、全社でCATIAデータ活用が加速しました。後工程部門では、CATIAデータを元に製造方法や組み立て順序、製造コストについて検討/検証を行っています。CATIAデータの3D形状から、断面作成と計測によって部品間の隙間や形状の厚み、加工のためのサイズ、さらには重量や表面積、投影面積などを求め検討/検証に利用します。
しかし、CATIAは設計部門にしか導入されていなかったため、CATIAデータからの検討/検証情報を後工程部門が求めるようになると、設計部門に依頼が集中し、以下の課題が生じました。
この課題に対して、当初Viewerの導入も検討されましたが、必要箇所の計測が十分行えず、計測精度も悪かったため導入が見送られました。このため一部の後工程部門はCATIAを導入しましたが、CATIAは費用が高く、操作が複雑なため、後工程部門でのCATIA利用は限定的でした。
CATIAデータの後工程部門での活用が拡大しましたが、高価なCATIAの導入には膨大なコストがかかります。そこで、2003年頃からCATIAと同等の情報を得るために以下の要件を満たすViewerを導入し、各後工程部門でのCATIAデータ活用が進められました。
2010年に導入Viewerのエンハンスが打ち切りとなり、CATIA最新バージョンアップへの対応が行われなくなりました。そこで対応できるViewerの選定が行われ、VridgeRも候補となりました。選定の結果CATIAバージョンアップの追従性とCATIAデータ活用のための要件を満たすことに加え、以下のVridgeR固有機能が評価されVridgeRを選定いただきました。
特長的なVridgeRのご利用方法を2部門(試験部門、生産部門)でのご活用事例からご紹介します。
実験・研究課では、形状から製品要件の検討/検証を行います。例えば、ドアトリムのアームレストの軽量化により強度的な欠陥が発生しないか、ドアトリムに取り付けられている部品との間が一定以上に確保されているかを確認されています。ここでVridgeRは、検討箇所の断面を作成し、ドアトリムの厚み、ドアトリムと取り付け部品の隙間の計測に、利用されています。
またアームレスト等の強度をCAE解析する前に、加える加重方向や、形状の厚みから強度的に脆弱な箇所をVridgeRで見つけ出し、CAE解析部門へ伝えています。CAE解析は適切な加重方向設定や、計算用データ準備に時間がかかります。ポイントを事前にVridgeRで絞り込むことで、おおよその当たりをつけてから解析を行えるため、解析の精度向上と期間の短縮につながっていると伺っています。
VridgeR上でのアームレスト外観
アームレスト断面
工程検討部門では、シートやドアトリムのアセンブリーデータを元に組付け順の工程を検討し、工程フローを作成されています。組付け順検討では、シートのサブアセンブリ―単位で全部品をVridgeRに読込み、外側部品から順番に外しながら、組み立てる逆の順序で検討を行います。同時に部品間の隙間を確認し、組付け可否を判断します。また、新機種が既存設備で生産できるかなどを計測して確認します。
VridgeRは、設計段階のCATIAデータを直接読込めるため、早期のフィードバックが可能となり、設計手戻りの軽減につながっています。これにより、データ確認に掛かっていた時間を約1/4に短縮できました。また、従来では組立設備を製品データに加えると扱うデータサイズが膨大となり、検討自体を3Dデータで行えませんでしたが、VridgeRは、サクサク軽快にデータを扱えるので、検討中の思考を止めることなく、治具データを含めた組み立て順の検討を3Dデータで進められるようになったと伺っています。
最後に、3Dデータ活用について、VridgeR導入を主導されたシステム部システム二課の増渕課長様からお話を伺いました。今後のVridgeRによる3Dデータ活用として、「3Dデータによる検討/検証を必要とする全部門、全業務で3Dデータを活用できるようにしたい」。
そのためには、以下2つ課題があるとのことでした。
弊社は、今後も進むテイ・エス テック様のグローバルでの3Dデータ活用に対してお客様の適用部門/業務が拡がるように一層努め、今後もご期待に応えてまいります。
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