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DIPROニュース

2026

2月号

2026.02.06NEW

デジタルプロセスセミナー2025
「製造業のデジタルトランスフォーメーション ~開発・生産プロセスの革新、最前線~」のご報告

吉野琢也 社長
代表取締役社長 吉野 琢也

セミナーの様子
会場の様子

このたびは「製造業のデジタルトランスフォーメーション ~開発・生産プロセスの革新、最前線~」と題したセミナーにご参加いただき、誠にありがとうございます。日頃より、弊社ならびに富士通グループをご支援いただいておりますこと、心より御礼申し上げます。

本セミナーは、製造業のお客様に向けて、DX(デジタルトランスフォーメーション)をテーマにコロナ禍を経て昨年より再開いたしました。

急速な環境変化や情報の不確実性が高まる中、経営判断や投資判断が難しくなる現状において、製造業の現場はかつてない挑戦を迫られています。こうした背景を踏まえ、今回のセミナーでは以下の4つの価値を提供する場といたしました。

  1. 一歩先にある可能性を眺め、視野を拡げる
  2. この時代に求められる、勝ち抜くための戦略を知る
  3. 現実に立ちはだかる課題に向き合い、解決の糸口を探る
  4. 混迷の時代を共に進む仲間を見つけ、繋がる

基調講演では、量子コンピューティングの最新動向をご紹介し、特別講演では製造業のプロセス革新に向けた戦略を深掘りします。さらに今年は、パネルディスカッションを復活させました。業界を代表する企業の皆様によるディスカッションを通じて、DXの現実と課題を共有し、懇親会では交流の場をご用意しました。

本セミナーが、皆様にとって新たな視点や実践的なヒントを得る機会となり、製造業の未来を切り拓く一助となれば幸いです。

基調講演:「量子コンピューティング実用化に向けた取り組み」

富士通株式会社
富士通研究所 フェロー 兼 量子研究所長
佐藤 信太郎 氏

佐藤 信太郎 様

本講演では、富士通の佐藤様より、量子コンピューティングの可能性と、お客様との共創により未来を切り拓くという強い意欲を語っていただきました。

量子コンピューターは、既存のコンピューターでは計算不可能な問題を高速に解ける可能性を秘めており、新素材開発や新薬探索に画期的なブレークスルーをもたらすと期待されているとのことでした。また、「金融計算」の高度化や、これまで未解明であった物理原理・現象の解明といった広範な分野での応用も視野に入っていること、さらに、熱流体計算などへの応用を模索しているお客様との共創事例も紹介され、量子コンピューティングが持つ計り知れない可能性を示してくださいました。

しかし、量子コンピューティングの実用化には多くの課題も存在することを指摘され、それら課題に対し、富士通は社内での研究開発に加えて、世界トップクラスの研究機関との共同研究を積極的に推進しているとのお話でした。

佐藤様は、お客様が抱える複雑で困難な課題に対し、最適なコンピューティングリソースを柔軟に活用できる環境を提供することで、新たな発見、そしてこれまでにないソリューションの実現を強力に支援すると強調されていました。量子コンピューティングはまだ発展途上にありながらも、お客様と共にこの未踏の領域を探索し、社会や産業の変革を加速させていくという、強い期待と決意が示された、示唆に富む講演でした。

特別講演:「全体最適可能な開発・生産・物流プロセス革新と会社全体の変革へ」

元・マツダ株式会社 代表取締役副社長執行役員 兼 COO
合同会社 Office F Vision 代表社員
株式会社ミクニ 取締役専務執行役員 チーフイノベーションオフィサー
SETO iS POWER株式会社 代表取締役社長
藤原 清志 様

藤原 清志 様

藤原様は40年間マツダに勤務され、その中で2017年にはEV-CAS社の設立に関わり、日本自動車産業における画期的な取り組みをご経験されました。マツダを退職後に独立され、企業支援や地方経済への貢献を目指して活動される傍ら、現在は株式会社ミクニでCIOとして変革を推進されています。

講演の主題は「プロセス革新」であり、日本製造業の生き残りには二つのシナリオがあるとのお話しをされました。一つは独自技術で大量生産を維持する戦略、もう一つは多種多様な製品を変種変量で生産できる柔軟な仕組みへの進化です。これには開発・調達・生産・物流の全体最適化が不可欠であり、モデルベースシステムエンジニアリング(MBSE)やシミュレーション技術の活用が鍵となります。

さらに、経営層が企画段階から全体最適視点で仕事の進め方を変革し、組織横断的な風土を整えることが最重要と強調されました。

まとめとして、独自技術開発、全体最適化、変種変量対応、そして経営層の視点変革が日本製造業の未来を左右すると結論づけられました。

パネルディスカッション「製造業DX:その狙い・壁・現実」

パネリスト

  • 東京エレクトロン株式会社
    業務デザイン戦略本部 デジタル統括ユニット DXデザイン部 部長 小林 仙尚 様
  • 株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ
    洗浄装置技術統轄部 装置生産技術部 部長 中尾 勝巳 様
  • 株式会社デンソー
    基幹システム推進部 部長 鳴戸 雅之 様
  • 株式会社SUBARU
    IT戦略本部 DX推進室 室長 田中 勇司 様
  • 京セラドキュメントソリューションズ株式会社
    プリンティングプロダクト事業本部 生産技術統括部 部長 小西 英向 様

今回は「製造業DX:その狙い・壁・現実」をテーマにディスカッションを行いました。

初めに司会より、製造業DXにまつわる各種課題として、目的定義の重要性、DX推進を阻む各種障壁、AI活用のハードルやレガシーシステムの呪縛などを問題提起し、パネリスト各社のDX取り組みや実情をご紹介いただきました。

パネリスト間の議論においては、まずDXを推進するにあたってトップダウンとボトムアップ両方のアプローチが必要になるという認識が確認されました。ボトムアップの現場主導だけでは部門ごとの孤立につながるため全社的な活用が難しくなり、一方でトップダウンはユーザーから遠いところから始まるため、なかなか根付かない。UX(ユーザー体験)を重視し、現場に新しい世界を実感してもらうことがポイントになるということでした。

日本の製造業の特性としては、やはりボトムアップが主流ですが、組織、設備やプロセスを変えて全社最適をしていくためにはトップダウンの意思決定や投資が必要になります。経営層に動いてもらうために、現場の業務効率や利益率の向上をデータで示し、経営層の意思決定を促すことが重要であるというお話もありました。

AI活用についての議論もありました。ボトムアップ文化によりデータがサイロ化されている中で、現在を含めて過去のデータを全てAIにまとめ、分析させる。この分析結果をもって人がすり合わせを行い、新しい商品・戦略を組むという方向性が示されました。また、AIやデジタルを使うことによって、日本のすり合わせをもっと高速化できるのではという意見もありました。

今回のパネルディスカッションでは、当日配布チラシのQRコードから会場質問を受け付けましたがたくさんの質問をいただきました。

DX時代に求められる人材像についての問いには、様々な立場や経験を積むことが重要で、異業種・異文化への挑戦や海外経験を積む場を増やす活動をしているという取り組みのご紹介がありました。また、データサイエンティストの需要が大きくなっているがその中でも、分析結果から仮説を立てて未来志向で行動できる人材が求められているというお話がありました。

DX投資に消極的な経営層への働きかけ方については、日本の製造業では経営層も元は現場出身が多く、体感させることが有効になるとのお話がありました。体験型ワークショップやAI勉強会を通じて、経営層自身にAIの価値を実感させることで、DX推進への理解と意欲を高めている例が説明されました。

最後に司会より、今回は業種を越えてパネリストを集めましたが、それぞれ通ずるものがあって多くのことを学べたという所感と、ボトムアップで支えている日本のものづくりには他の国に例のない強さや良さを持っており、これらの知恵を共有してさらに日本のものづくりが発展していくことを祈念してディスカッションが締めくくられました。

京セラドキュメントソリューションズ(株) 小西 英向 様
京セラドキュメントソリューションズ㈱
小西 英向 様

(株)デンソー 鳴戸 雅之 様
㈱デンソー 鳴戸 雅之 様

東京エレクトロン(株) 小林 仙尚 様
東京エレクトロン㈱ 小林 仙尚 様

(株)SUBARU 田中 勇司 様
㈱SUBARU 田中 勇司 様

(株)SCREENセミコンダクターソリューションズ 中尾 勝巳 様
㈱SCREENセミコンダクター
ソリューションズ 中尾 勝巳 様

司会 吉野 琢也
司会 吉野 琢也

パネルディスカッション
パネルディスカッション

最後に

最後に22回となるデジタルプロセスセミナーも、皆様の温かいご支援とご協力のおかげをもちまして、無事に終えることができました。

ご多忙の中、貴重な時間を割いてご参加くださったお客様、遠方よりお越しいただいたお客様には心より御礼申し上げます。

今回は、皆様から多くのご期待をいただいておりましたパネルディスカッションを6年ぶりに実施いたしました。パネリストの方々の説得力あるご発言はもちろんのこと、チームワークも素晴らしく、あっという間の80分間でした。スマートフォンアプリを用いて会場のお客様からリアルタイムにご質問をいただくセッションも大変好評で、大いに盛り上がりました。

弊社は、本セミナーを日頃お世話になっておりますお客様への感謝を示す場として位置付けております。至らぬ点も多々あったかと存じますが、セミナーに関するご意見がございましたら、弊社担当者までお気軽にお申し付けください。今後のセミナー企画に活かし、より魅力的な場となるよう尽力してまいります。

最後になりますが、DIPROはこれからも社員一同、お客様に寄り添いながら、お客様のモノづくりを支え、デジタル化を推進するプロセス革新をご支援してまいる所存です。今後とも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。

(DIPROセミナー事務局)

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