VericutはCGTech社が開発する切削シミュレーションソフトです(※1)。
新バージョンのVericut V9.5ではユーザインタフェースの改善やシミュレーション時間の短縮など多くの機能改善でより使いやすくなっています。
今回はその中から(1)モデルのドラッグ移動、(2)最適化時の最小 / 最大送り速度の設定、(3)工具概要パネル、(4)シミュレーション時間の改善の4点を紹介します。
ドラッグ操作でモデルを移動できるようになりました。X・Y・Zの各軸に沿った平行移動と回転移動を操作できます。またドラッグ移動では移動後の部品が半透明で表示されるため、誤操作の防止に役立ちます。従来の移動メニューでは事前に正確な移動距離の計測が必要でしたが、ドラッグ移動ではグラフィック領域で部品間の関係を確認しながら移動することができます。モデルのドラッグ移動は機械部品や切削モデルの移動の他、工具マネージャー内でツール部品と工具ホルダモデルの位置合わせをする際にも使用できます。
Force機能による送り速度最適化の際、最適化後の最小 / 最大送り速度を「元の送り速度に対する割合」として指定できるようになりました。切削最小送り速度・切削最大送り速度の設定に従来の直接最適化後の送り速度を指定する方法の他に「指令値の%」という項目が追加されており、どちらの方法で最適化後の送り速度を指定するか任意に選択できます。元の送り速度の値に関わらず割合で最適化後の切削速度を指定することにより、最適化のための設定手順・考え方がシンプルになります。図2の例では元の送り速度の50~150%の間で最適化されます。
新たに追加された「工具概要」コマンドによる工具モデルの色分け表示と統計情報で、各工具がどのように使われたか、また工具に及ぼす切削の影響を把握できます。シミュレーションの実行後に「工具概要」コマンドを実行します。シミュレーションで使用された各々の工具に対し、除去体積・加工時間・エアカット時間・切削距離といった統計情報を確認できます。ヒートマップ機能では、切削時間・切削距離・切り取り厚さ・接触角度・周速のいずれかの情報によって工具モデルを色分け表示し、工具負荷の分布を確認できます。工具の寿命をより正確に予測し、工具の在庫管理の改善に活用できます。
シミュレーション実行時間が以前のバージョンに比べて削減されました。プロジェクトの設定によって削減率は多少異なりますが、平均でおよそ40%程度削減されています。他の機能改善による操作手数の削減と合わせて、加工準備のリードタイムを大きく短縮します。
その他V9.5ではシミュレーションの終了時にメールで通知を受け取る通知機能が追加されました。シミュレーションの様子を都度確認しなくても、通知が届けばシミュレーションが終了したことがわかります。
Vericut V9.5ではご紹介した他にも工具のパフォーマンスデータ追加やグラフのインターフェース改善など、多数の新規機能、機能改善がなされています。Vericutの新規導入、およびバージョンアップについてご興味のある方はお気軽にご相談ください。
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