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DIPROニュース

2025

1月号

2025.01.10

新しい年を迎えて

代表取締役社長 吉野 琢也

代表取締役社長 吉野 琢也

明けましておめでとうございます。旧年中はたいへんお世話になりました。
本年も、よろしくお願い申し上げます。

昨年は、能登半島地震で始まり、異常気象に関する話題や政治の問題に混乱させられつつ、為替の問題や企業不正にも悩まされつつ、一方ではパリ五輪での日本勢の活躍や大谷翔平選手のニュースに沸いたシーンもあり、悲喜交々の慌ただしい年でした。まさかあの人が、という著名な方が逝去された話題も少なからずあり、過ぎし日の記憶を辿ることも多々あったように思います。これらの影響か、日常の中では少しでも安定や安心を求める風潮が、社会的に広まってきているような気がします。

一方で経済の面から環境を見渡すと厳しいものがあります。失われた30年に関する記事は、ネットを簡単に検索しただけでも、経済評論家やジャーナリストの様々な論説を得ることができますが、「政策のミス」、「企業の戦略ミス」、「国民性の問題」、「労働力低下や若年層の問題」など着眼点は様々です。そんな中、個人的な視点では、経済学者のマリアナ・マッツカート(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン教授)のGDPに関する論説に共感しています。具体的には、経済活動状況を表すGDP(国内総生産)の定義が変遷してきた歴史に関する話です。過去にはGDPとして、第一次産業、第二次産業の生み出す価値のみが対象であったものが、歴史の流れの中で第三次産業、そして金融までもが生産境界(GDPの計上対象)となり、近年では付加価値を生み出していない経済行為(価値の抜き取りなど)も、GDPに計上されるようになり、大手投資家など富める人達が、莫大な価値創造をしているように扱われる社会になってきたということです。

やはり、日本が誇るモノづくり産業は、決して30年間も「失われ」てはおらず、工夫と苦労、或いは苦悩の中で、製品の機能や品質、生産性を高め続けてきたように思います。近年では、30年も前には想像だにしなかった数のバリエーションの製品が生み出され、増え続けている各国の様々な規制をクリアし、厳しい市場競争の中で、事業を支えるだけの販売量を生み出し、保守・サービスはユーザーの信頼を繋いでいます。日本のモノづくりは、少しも世界に引け目をとっておらず、むしろ本当のモノづくりを知る世界の人達からは羨望の目を向けられ、ベンチマークで有りつづけていると思います。もっと、日本のモノづくりに関わる方々に希望と誇りを持っていただきたいと考えます。

翻って自社のことを考えると、この日本のモノづくりの現場で役立てる、より良いツールを開発・練磨し、少しでも技術者の知恵や力を捧げることで、より良い製品開発に貢献させていただくことを、私たちの存在価値とし、喜びとすることが継続的に必要だと考えます。

本年も一意専心、日本のモノづくりの持続的発展のために尽くしたいと考えておりますので、引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

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