「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA デジタル生産準備 VPS (以下、VPS)」の新バージョンV15L25を7月にリリースします。今回は、生産準備の様々な業務シーンを例にして、VPS新バージョンの高い有用性をわかりやすくご紹介します。
製品製造工程の工程設計時に作業内容を品質観点でチェックする場合、QC工程表に工程ごとの品質管理方法を記載したり、工程FMEAで工程ごとのトラブル時のリスクを洗い出したりされていると思います。
VPSでは、製品3Dモデルを用いて表現された工程・作業の各項目に対して、表形式データを付与できます。QC工程表や工程FMEAは、一般にExcelなどの表計算ソフトを利用して作成するケースが多いのですが、VPSの表形式データを用いれば、ファイルやソフトウェアを別々にすることなく、1つのVPSファイルの中で、製品3Dモデルや工程・作業の情報と一緒に一元管理することができます。
またVPSでは、工程・作業の内容を3Dモデルの動作アニメーションで表現しています。「こういう部品をこういう動作で組み付けるから、こういう品質チェックが必要」という風に、見た目から気づきが得られるため、品質チェック観点の抜け漏れを防止できます。
新バージョンでは、表形式データで計算式が利用できるようになり、入力値に応じてセルや文字の色を自動変更する条件付き書式が追加され、別の箇所の入力値を流用するテキストリンク機能も強化されたため、より効率的に表形式データを作成できるようになります(図1)。
工程設計において、工程・作業のデータやQC工程表・工程FMEAなどの表形式データを担当者が作成した際に、レビュー者が確認して問題点を指摘し、担当者が指摘された箇所を修正する、というサイクルを考えます。VPSでは各指摘事項に対する対応状況を関係者間で共有し、確実な対応を行うための支援機能としてマーキングと呼ぶ機能があります。レビュー者はマーキング機能を用いて、工程・作業・表形式のレビュー指摘箇所に付箋紙を貼ります。付箋紙にはタイトルを付けて、指摘内容をテキストで記入します。付箋紙の色を変えて重要度などを表すこともできます。担当者は貼られた付箋紙をマーキング一覧画面で確認できます。マーキング一覧画面をクリックすると該当する工程・作業・表形式の指摘箇所にジャンプします。
新バージョンでは、マーキング一覧画面にタイトルや色でフィルタリングする機能が加わり、指摘箇所を素早く確認することができます。担当者が指摘箇所を修正したら、付箋紙に修正内容を追記して色を変更し、レビュー者に再確認を依頼するような運用が可能です(図2)。マーキング一覧は履歴として残りますので、改変記録としても活用できます。このようにマーキング機能は、メンバー間のコミュニケーションを円滑にすることで情報の質を高め、工程設計の品質向上を支援します。
製品3Dモデルに対して工程設計を行った後で設計変更が入ったケースを想定します。工程情報を含むVPSファイルに設計変更を反映するには、工程情報を変えずに3D形状などの設計情報だけを最新化する必要があります。変更された部品が少ない場合は、変更された部品だけを選んで単独で3D形状を最新化することも可能ですが、全体的に変更が入った場合、製品3Dモデル全体の3D形状を一括で最新化する必要があります。新旧の製品3Dモデル全体を見比べて、どの部品にどの部品が該当するかを全て特定した上で、変更の有無に関わらず旧部品を新部品に全て一括で置き換える方法です。これを自動的に行うのがVPSの設計変更対応です。
設計変更対応では、部品番号や配置座標などが同じかどうかで新旧部品の自動一致判定を行い、どの部品をどの部品で置き換えるかを特定します。うまく新旧部品の自動一致判定さえできれば、手間なく全ての設計情報を更新できます。しかし、あるアセンブリ全体の取り付け位置が変更されたケースでは、アセンブリ配下部品の配置座標が新旧データで異なるため、配置座標による新旧部品の自動一致判定はできません。
また、あるアセンブリ配下だけ設計変更が入ったケースでは、そのアセンブリ配下だけ新しいモデルを取り込めばよいのですが、新旧データの座標系の向きが異なるような場合には、取り込んだ際にアセンブリ全体の配置位置が変わるため、配置座標による新旧部品の自動一致判定はできません。これらのケースでは、これまで該当する部品を手動で探す手間がかかっていました。
新バージョンでは、上記のような課題に対応するため、アセンブリ配置合わせの機能を追加しました(図3)。新旧でアセンブリ全体の配置座標が変わっているケースでも、位置を合わせた上で各部品の一致判定を行えるため、自動一致判定できる比率が飛躍的に高まり、工程情報を保ったまま手間なく設計変更を反映できます。
以上、VPSの新バージョンV15L25の代表的な機能強化をご紹介しました。今回ご紹介した以外にも、メンテナンス作業のアニメーション作成、ハーネスのねじれ解消や結束、補助形状作成など様々な機能の操作性を改良しています。VPSはビジュアルでわかりやすい3D-BOPを実現することで、生産準備業務のDX推進に貢献して参ります。VPSをお使いいただくことで、製品の迅速な市場投入および生産性と品質の向上に寄与し、お客様の更なる企業価値創出に貢献していきたいと考えております。今後ともご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。
詳しいご紹介はDIGITAL PROCESS SHOWROOM VPSよりご覧ください。
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