「歯科技工士法施行規則の一部を改正する省令」が本年4月1日から施行され、歯科技工におけるリモートワークが解禁されました。これまで、歯科技工作業は個人情報を含む医療情報を扱う関係で、管理監督責任を曖昧にできないなどの理由により、「届け出された歯科技工所内でしか作業を行ってはいけない」という規則がありましたが、歯科技工士の高齢化が進み、年々減少している現状を受け、また歯科技工士団体からの強い働きかけもあり、この度解禁となりました。これにより、歯科技工士資格を持ちながらも、子育てや介護など就業時間や勤務場所を理由に離職した歯科技工士の復職はもちろん、現役歯科技工士がより働きやすくなることが期待されます。
歯科技工リモートワークに求められる条件は以下となります。
弊社の歯科用CAD / CAMシステム「DORA / WAXY」と、DataClasys(データクレシス)社のファイル暗号化ソフトウェア「DataClasys」を組み合わせて、前述の要件を満たす「歯科技工 リモートワークシステム」を開発し、4月1日から提供を開始しました。
通常、歯科技工所で「DORA / WAXY」を使用して、補綴物(詰め物や被せ物)を製作するフローは以下となります。
この度の法令改正により、2)の設計作業を自宅で行うことができるようになりました。
弊社が提供するリモートワークシステムはCADを自宅に持ち出した下図の構成となります。
自宅で設計作業を行う際は、CADを起動する前に指紋認証デバイスで指紋認証をする必要があります。登録した歯科技工士の指紋でない場合、CADを起動することはできません。自宅PCのCAD関連ファイル(歯科技工所からインターネット経由で送信されたスキャンデータ、設計中の中間データ、設計データなど)は、「DataClasys」にて自動的に暗号化されます。仮にファイルが外部に流出しても、暗号化されているため、患者名や治療情報などが漏れることはありません。自宅にて設計した暗号化された設計データは、自宅作業者が所属する歯科技工所に返信されたタイミングで自動的に復号されます。歯科技工所内ではこれまで通り何も特別なことをすることなく「WAXY」他の製造用機器にて設計データを利用することができます。仮に自宅作業者が他社から設計作業の仕事を受けた場合でも、設計データは暗号化されるため、他社が設計データを受け取っても開くことはできません。
歯科技工業界は人材不足、長時間労働といった課題を抱えています。弊社が提供する「歯科技工リモートワークシステム」が、歯科技工士の働き方を変える一助になれば幸いです。今後も歯科技工士の役に立てるソフト、システムの開発に取り組んでまいります。
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