3月初旬、シーメンスが開発するミッドレンジCAD、Solid Edgeの最新バージョン2021のリリースを予定しています。
Solid Edge 2021には、設計をより効率化するための新機能や改良された機能が多く搭載されていますが、今回はその中から、 (1)デザイン形状を自由に作成する追加機能である「サブディビジョン・モデリング」、 (2)形状検索が可能な外部部品のライブリ「3dfind.it」の統合、 (3)AIを活用した操作メニューの最適化機能「アダプティブ・ユーザー・インタフェース」、 (4)熱流体解析「FLOEFD」と構造解析の連成 に関してご紹介します。
3DCADでは辺や面を正確に定義して形状のモデリングをするため、精密な形状を作成できるものの、感覚的な形状作成はしづらいという課題があります。
新たに搭載されるサブディビジョン・モデリングは、CGソフトなどで使われているモデリング手法であり、面を分割して粘土細工のように変形させていくことで感覚的に形状をモデリングする手法です。Solid Edge 2021では、このモデリング手法が取り入れられました。この機能を使って早期にデザインコンセプトを検討できます。
またサブディビジョン・モデリングで生成される形状は近似的なポリゴンデータであり、CADで定義する精密な形状データとの相性が悪いため、CADと連携して使いづらいという点があります。Solid Edgeには精密なデータとポリゴンデータを統合して扱えるコンバージェントモデリング機能が備わっており、サブディビジョン・モデリングで生成した形状データをそのまま活用できます。
機械設計においては自社で設計する部品だけでなく、外部標準部品を効率的に使うことが重要です。
Solid Edge 2021は、数多くの外部部品を検索できるCADENASが運営する3Dモデル検索エンジン「3dfind.it」と完全統合されました。Solid Edgeのメニューでデータを開く操作をすることで、直接「3dfind.it」から外部部品を検索して使えるようになりました。
部品の検索においては、形状が類似しているものを探す機能が需要ですが、「3dfind.it」にはアップロードした形状と類似の部品を検索する機能が搭載されています。
操作メニューをAIによる学習で効率化する「アダプティブ・ユーザー・インタフェース」の機能が搭載されました。
「アダプティブ・ユーザー・インタフェース」は、熟練操作者のコマンド利用状態を学習し、ユーザーが次に実行するのに適したコマンドを予測して操作上部の領域に10個提示します。熟練ユーザーの操作の学習結果により提示されるコマンドなので、とくに初心者の方の操作レベル向上や効率化が期待できます。
CADのコマンドは機能向上とともに追加、置き換えなどが行われ、熟練の方でも新しいバージョンの操作を習得するには時間を要します。そのようなケースでも、操作支援の一助となります。
Solid Edge ST10より提供を開始した熱流体解析ソフト「FLOEFD」は、毎バージョン熱流体解析の機能を向上しています。
今回は、熱流体解析ソフト単体の機能向上だけでなく、構造解析ソフト「Solid Edge Simulation」と連成した解析が行えるようになり解析の精度向上を実現しました。「FLOEFD」で解析した熱流体の解析結果、温度の分布や圧力の状態を構造解析ソフト「Solid Edge Simulation」に渡して、熱流体解析の結果を踏まえた構造解析を行えるようになりました。熱流体解析の結果を反映した、より実際に近い正確な解析結果を得られます。
なお「サブディビジョン・モデリング」「3dfind.it」「アダプティブ・ユーザー・インタフェース」に関してはClassicとPremiumのみに提供される機能となっております。「FLOEFD」「Solid Edge Simulation」はオプション製品となります。
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